Interview | YUKSTA-ILL + MASS-HOLE


単純に友達というか

 YUKSTA-ILLの5thアルバム『82PLACE』(P-VINE | WAVELENGTH PLANT)は、パートナーや息子のことから、変わらずバスケットボール(NBAとBリーグをチェックし続けてるボーラーズたちは全員YUKのラップを聴くべきだと思う)のことまで、彼の近況を伝えている。5枚目のアルバムを聴いて、YUKSTA-ILL(以下 Y)の作品はこれまでも、その時々の個人的な近況、周りの環境、時代の出来事をラップしていると感じた。

 アルバムのタイトル・トラック「82PLACE」は、ISSUGI、仙人掌、Mr.PUG、MASS-HOLE、YAHIKO(今回は不参加)らから成るコレクティヴ「1982S」の実に5年ぶりとなる新曲だ。「Dogear Records」のアニヴァーサリー・パーティでの1982Sとしては事実上初のライヴ、そして当日撮影されたMVのリリースを記念して、82sのボスMASS-HOLE(以下 M)との対談をお届けします。


取材・文 | Lil Mercy (J.COLUMBUS | PAYBACK BOYS | WDsounds | Riverside Reading Club) | 2026年1月


――“82S”っていう言葉を一番最初に使ったのはMASS-HOLE?

M 「ISSUGIくんとのリミックス・アルバム『1982S (THE REMIX ALBUM)』(2015, Dogear Records | WDsounds | MidNightMeal)からですね。ISSUGIくんとユニットっぽく始めたのが82Sで、シングル『82S / SOUNDTRACK』(2020, DIRTRAIN | WDsounds)を作るときに82年生まれをみんな集めてやろうっていう流れになって、それでYUKSTA-ILLとMONJUとYAHIKOを誘った感じだったんです」

――その『1982S (THE REMIX ALBUM)』は車で聴くために作ったっていうのは本当?具体的にはどんな感じで制作を進めていたの?
M 「そうですね。当時は日産のステージアに乗っていて、カセットデッキ仕様だったので、ビート等を作ったものをテープに落として車で聴いていました。昔は鍛錬というか個人的趣味としてUSのアカペラを自分のビートに乗せてリミックスみたいなものをたくさん作っていて、その一環としてISSUGIくんに作品のアカペラを頼んだら快く送ってくれたので、1枚のアルバムにできるんじゃないか?っていう感じで作業を進めましたね」

――YUKSTA-ILLは82Sのプロジェクトに関してどういう風に話を持ちかけられたの?
Y 「自分はリミックス・アルバムの存在はチェックしてて、同世代が“1982”をモロに名前で使ってるプロジェクトだったので気になっていました。たしかP-VINEの40周年のイベントで1982Sとしてライヴに誘ってもらったのが始まりですね。多分マスくんに誘われたんやと思うんやけど違ったっけ?」
M 「た、たぶん(笑)。この頃、動きがハード過ぎて時系列がぐちゃぐちゃで記憶が曖昧(笑)。ISSUGI vs MASS-HOLEはアルバムのカセットがあって、3LPを作ってからのパーティだったかな?シングル作るのとパーティどっちが先だったかな」
Y 「それって82S主宰のパーティの話やんね?であればパーティのほうが先。自分の『DEFY』(2019, RCslum)のリリース・パーティを82Sのパーティとしてやってくれてたのが2019年だから。シングルのリリースは2020年とか。でも事の発端としてはP-VINEの40周年で1982Sの名義で全員でライヴやって、ぶちアガって何か作ろうってなって、次に繋がったんだと思う」
M 「あの頃はまだ1982Sの曲なかったよね」
Y 「なかった。全員が順番に出て、俺は“Where I Belong”をやったりとか。みんなで作ったショウケースだった。1982S名義でライヴしたのってこの間(2025年11月30日)のDogearのパーティを除くと、P-VINEの40周年と、HMVのインストア・ライヴ。そのふたつしか名前を出してライヴしていない気が」

1982S

――実質、1982Sとしてライヴしたのはこの間のDogearのライヴが初めてですよね。今までもいろんな形態の1982Sがあったと思うんですが、MASS-HOLEがバックDJでYUKSTA-ILLがツアーしていたときも“1982S”というのを打ち出していたように記憶してます。
M 「YUKくんのプロフィールもずっと1982Sって載ってたもんね。嬉しいなって当時思ってた(笑)」
Y 「『NEO TOKAI ON THE LINE』のジャケットのうしろにTYRANTとRCと1982Sのロゴを載せてた。みんなでやれたのも嬉しかったし。スナップバックのキャップとか出てたよね」
M 「フーディとか作ってましたよね」
Y 「MidNightMealのdaichiくんが一点物でワークキャップに刺繍入れたのプレゼントしてくれて嬉しかった」
M 「たしかに。シングルの82Sからもう5年経ってるんだー。感慨深いね」

――今回、突然1982S名義の新曲「82PLACE」がアルバムに収録されたじゃないですか。これはどういう経緯で制作したんですか?
Y 「当時シングルを出したときにライヴを組んで、そのタイミングでMVを撮ろうって話してたじゃないですか?それが一発目の緊急事態宣言のときですよね。その話自体が流れちゃったから、自分的にはかたちにしたかったなーみたいな気持ちがありました。それもあってみんなでまた作りたいっていうのがあって、今回みんなに相談して“1982Sの曲を久々に作りましょう”みたいな」
M 「タイトルが先だったの?」
Y 「そう。“82PLACE”には元ネタとして、“76 Place”っていうのがあって。NBAの76ERSなんですけど(笑)。本拠地のフィラデルフィアには大きなスポーツ・チームが4つあって。EAGLESっていうフットボールのチームだったり、FLYERSっていうホッケーのチームだったり、野球だとPHILLIESがあるんですけど。スポーツ・コンプレックスっていうスポーツ施設が集まった公園みたいなのが街の外れにあって、そこにホームアリーナだったりスタジアムがあるんですよね。だいたいのアリーナってホッケーとバスケ兼用なんです。言いかたは悪いけど、76ERSだけ抜け駆けしてバスケ専用のアリーナをダウンタウンの真ん中に作ろうとしていたんですよ。そのアリーナの名前が76 Place。でもデモとかいろいろあって、周辺の労働者たちがやめろーって。大ブーイング。結局頓挫して話自体なくなっちゃったんですよね。単純に“76 Place”っていうフレーズがすごく好きで、ちょうど自分の作っているアルバムが自分の居場所だったり、そういうことをコンセプトに考えていたので、その言葉を拝借、サンプリングして。自分的に“82PLACE”っていうネーミングはけっこう気に入ってます。話を戻すと、Saäkåから制作佳境のタイミングで“82PLACEがアルバムのタイトルなんやから1982Sで1曲やってほしい”っていう助言もあって、たしかにな、って。そういう後押しもあった。良いきっかけになりましたね。快くみんな引き受けてくれて、良い曲ができた」

――YUKのパートナー・Saäkåさんは今回アートワークも担当しているし、YUKと話してるとSaäkåさんとアーティスト活動に関してよく話し合っているのだなと感じます。やり取りの中で特に印象に残っていることはありますか?
Y 「アルバム制作を通していろいろと話し合いながら進めていきました。もちろん楽曲に関して最終的に決めるのは自分なんですが、少しでも気になることがあったら相談していたかも。だから要所要所にSaäkåのエッセンスは入っていると思います。逆にアートワークは制作途中の段階で、自分の意見を伝えて微調整してもらったりもありました。CDに封入されているブックレットには収録曲すべてのジャケット・デザインが収められているので、Saäkåプロデュースのアート本として楽しんでもらえると嬉しいです」
M 「“82PLACE”の曲自体はYUKくんじゃないとできなかったよ。俺とかだったら絶対頓挫してたと思う。スケジュールを合わせるので疲れちゃいそう、みたいな。みんなの歩幅を合わせるのって難しいから。YUKくんの功績だなって思います」
Y 「さっきの話に戻るっすけど、2020年のリリースもできて嬉しかったんですけど、コロナによってやりきれない感もあったんで、今ならできると思って。ミニ・アルバムだったりアルバムだったりのロングレンジな作品は難しいと思いますけど。1曲単位でバシッといけたらいいな、って」

――『82S / SOUNDTRACK』はリリースが3月とかで、タイミングがもう緊急事態宣言でしたもんね。
Y 「そうですね。それでMV撮影も中止になっちゃったんで。今回は“82PLACE”のMVも撮れたし、自分の中での伏線回収って感じですね」
M 「撮影自体はすごくタイトでスムーズだったもんね。MV撮影は1日かけて途中ダレちゃったり、撮影中に飽きてしまうってことあるよね(笑)」

――いや『82dogs』(2021)のときも撮影タイトだったよ。
M 「途中でGoProかなんかがなくなっちゃって、帰ったら俺の車に積んであったんですよね」

――そう。だからタイトに、年末にISSUGIパートの最後の撮影をやったんだよ。LSBOYZのアルバムの打ち上げ、お酒飲まないで切り上げて撮影に行ったな(笑)。
Y 「楽曲として“82PLACE”の話をすると、まずMASSくんからビート集を送ってもらって。そこから選んだビートに自分がバースを書いて、プリプロ録って、みんなに投げようとしてるタイミングでMASSくんから“違う気がする。このビートじゃだめだ”みたいなメールが送られてきて(笑)。1982Sとしてみんなで久しぶりに曲をやるんだったら、ビート集から選ぶんじゃなくて、それ用に作りたいって言ってくれて。その心意気がうれしかった。来たビート、2つ3つあったよね」
M 「結局4曲くらい送ったと思う。全部同じBPMで」
Y 「リリックを書いていたんで、それに少し合わせてくれた。曲調が全部違って全部良かったんだけど、今回選んだビートでドンピシャリだと思います。最初にビート集から選んだトラックっていうのはシンプルでラップが前に来るような感じだったんですね。始めに録ったのと今のでは全然ノリが違うし。再度送ってもらった4曲の中だと、最終的に選んだビートがダントツで戦車みたいだった。ただ他の3つもすごく良かったんですよね。俺まあまあ優柔不断なんで、迷って。そこを進めてくれたのはMASSくん。これでいかない?みたいな。やりたかったんでしょ、むしろこれで(笑)」
M 「なんかメロウな感じでもないしね。ライヴありきというか」
Y 「よし、それでいこうとなって聴き直したら、やっぱこのビートかっこいいなって。そうしたらMASSくんから戦車みたいなラップが送られてきて」
M 「そうなっちゃうす(笑)。アルバム通してソウルフルなビートも増えていたし、それこそ地元が一緒のMET(as MTHA2)のビートも入ってたし。YUKくんのアルバムのイメージってOWLBEATSくんみたいな、インダストリアルな壊れたブロークンビーツみたいなイメージがあったけど、今回はだいぶソウルフルな、すごく聴きやすいイメージだったな。良かった。全体の流れも良かった」

YUKSTA-ILL

――「82PLACE」が入っている位置もいいですよね。もう1回ドカンと持っていかれるというか。
Y 「流れはけっこう考えたっすね」
M 「Sylvia Striplinのあのビートって誰?京都のM.Aくん?」
Y 「そうだね。あれはM.A。BONG BROS」
M 「あの使いかたとかめっちゃ斬新だった。なにこの感じはって。しかもあれ、子供の名前でしょ?すごいおもしろかった」
Y 「そうそう、あれ子供の名前で。あのトラックを聴いて考えていたら、これはもう家だなって(笑)。それでちょうど真ん中くらいに入れて、軽いインタールード感」
M 「M.Aくんは京都のイベント行ったときとか、箱にSP-1200(E-MU)とMPC3000(AKAI)を持ってきていてすごかった」
Y 「1stのときのタイトル曲“questionable thought”がM.Aプロデュースで、そのレックのときも鈴鹿のスタジオにSP-1200持ってきてたよ。フロッピーディスク使ってた」
M 「ちょっとアルバムの話ししてもいいですか?6曲目の CJ from HOMEBOYZって誰?」
Y 「地元のラッパー。まだ若くて25、6くらいで、日系ブラジル人。ここ5年くらいで知り合って。MASS-HOLEにも来てもらった四日市の“FIRST TAKE”っていうイベント、今は名前変わってるけど、そこにもHOMEBOYZで出てくれてて」
M 「リリックを聴いた感じとか、当時のCONCRET GREENとかああいう感じのラップを思い出してさ。イケイケ感と。久しぶりにフレッシュなラップ聴いたなって感じがしたんだよね」
Y 「自分らとは少し別の違うコミュニティがあって、彼は津なんですけど、ブラジルやペルーだったり、日系のアーティストが出ているイベントも多くあって。自分はDJ KIYOSHIROのイベントとかで一緒になったりします」
M 「工業地帯で働いていたりとかなの?」
Y 「なんかなぁ。工業地帯の中にいたりするのかもしれないし、力仕事してたり、現場出てそう。でもそういうのあまり表に出しているイメージはないかも。フレックス。シュッとしている感じで。はじめ、デモで送ったらP-VINEの升本さんから“これ新しいっすね”ってレスがきて。たぶん、CJをCENJUくんだと思って」

――J.COLUMBUSが入って次の曲だからね(笑)。違うんだけど、そのエピソードおもしろいですよね。誤読できるみたいな(笑)。
Y 「結果そうなったっていう感じなんですが、勝手に自己満のレベルで繋いでいて。JCでCJ、CJの苗字が松井なんですけど、自分も松井なんで、松井でつなげて、さらにその次の曲がMATSUIGODZILLA(太華のユニット)のトラックっていう流れになっています(笑)」
M 「そう考えるとすごいね。人選が幅広い」
Y 「これまでは、知り合って回数を重ねた人たちと制作するのがほとんどだったけど、ここ2年間くらいはマーシーくんのディレクションというか、このトラックメイカーとやったらどうすか?って繋いでくれた人たちと制作できた。CEDARLAW$くんとか、MILES(WORD)とやった曲のMETくんとかそうですね」

――ここはMASS-HOLEの2ndからの流れだよね。MULBEのアルバムもそうだったけど、『ze belle』(2021, WDsounds)で知り合って、そこから次に繋がっているトラックメイカーが多いですね。今回のMETのトラックは、MASS-HOLEを経由して当時送ってくれたストックで、ハードディスクが壊れたかなんかで本人も持っていないトラックだったんだよね。
M 「あれもドラムの鳴りがすごく良かったな。ネタの使いかたも今っぽいというか、METもやっぱりすごいなって思ったな」

――地元一緒ですもんね。
Y 「え、松本なの?」
M 「あいつはね、出身が松本。高校のときはダンス部に入っていて、ブレイクダンスとかやっていてその流れでビート作り出したって言ってた」

――そういえば、リリースの直前になって「この曲のミックス、METに確認してもらっていいですか?」ってYUKから連絡が来て、おいおいって思ったよ(笑)。
Y 「全員に確認していると思ったら、漏れがあるみたいな。あ、これもしかしてってなって連絡しました。GRADIS NICEも確認したと思ったらしてなくて。曲ができていて、トラックを押さえてもらってたんですけど、確定でっていう連絡をしていなくて。まだいけるかって聞いたら大丈夫で、事なきを得た。自分のダメなところですね」

――アルバム制作中の、今話しているような、完全に自分を起因とするトラブルってありますか?あればそのときどのように対処したかも含めて教えてください。
M 「自分はビートのデータ管理ですね(笑) 。ビートのタイトルと機材側のセーブのタイトルを日にちにして管理してるんですが、数が膨大過ぎて必要とするデータが見つからずに不貞寝することはよくあります。原因は単純で、例えば“20251214.bpm184”っていうタイトルがミスって“200251214.bpm184”になっていたり。見直す努力は怠らないようにしています(笑)」
Y 「重複しちゃいますが、自分はやっぱりトラックメイカーとのやり取りで期間が空いてしまって、その間にトラックが他の人に渡ってしまっていたことがあって。さっき話した内容の事なきを得なかったパターンですね(笑)。実はそれも今作の話なんですけど、自分の勝手な思い込みのせいで迷惑をかけてしまいました。MATSUIGODZILLAと作った曲なんですが、リリースされた曲とはもともと違うトラックでリリックを書いてレックまで進めちゃったんですけど、自分が連絡を怠っている期間に別のアーティストさんにそのトラックが渡ってしまっていて。レックしたアカペラを送って、BPMを伝えて、新たにトラックを組んでもらいました。そこからRECし直して、双方とも納得のいく作品が完成したので、結果オーライ、みたいな。以後気を付けます。GRADIS NICEの今回のビートに関しては『BANNED FROM FLAG』(2020, RCslum)のあとに送ってもらったものですね。もうEPは作ってしまってたから一旦置いてたんですよね。とあるタイミングで聴き直してみて、そのときに選んだトラックです。地元のやつらはアガってますね。GINMENとやっているのもあるし」

YUKSTA-ILL

――「82PLACE」は強い奴らが張り合っているような世界観があって、ラップそのものがとにかく堪能できる曲ですよね。
Y 「タイトに12小節で走り抜けたくて、本当はYAHIKOくんにもやってほしかったんですよね。TOKONA-Xの“女子大ROCK”っていう曲がモチーフで、あの曲は6人(ANTY the 紅乃壱, KEISHI, Killa-D, LOKU, MASH, TOKONA-X, WATT)で回してるマイクリレーで、構成が12小節12小節キックしてサビ4、4やって、12、12やって4、4。本当はそれでいきたかったんすけど、5人でってなったタイミングで、構成はちょっと変えちゃったすけど、それぞれがバースをキックして、そのあとにサビをそのままキックして次に繋いでいくっていう。この流れもスムーズで良かったですね。ちなみに最近買いました『トウカイXテイオー』(2004)のレコード(昨年4月にヴァイナル・リイシュー)」

――TOKONA Xのレコードの話で盛り上がったし、せっかくなんで、それぞれが一番好きなTOKONA-X(M.O.S.A.D.、ILLMARIACHI含む)を教えてくれますか?
M 「自分が一番好きなのは“H2”ですね」
Y 「 自分は“Let me know ya...”が和製BIGGIEみたいで好きです」

――さて、改めて1982Sの話をしようと思っているんですが、最初に話していたときも、わりとそれぞれで記憶が違うじゃないですか。それこそMASS-HOLEの「authentic city feat. YUKSTA-ILL」って1982Sの代表曲っていう言いかたをしてもいいように感じるし。キーになっている曲のように感じるんです。
Y 「“authentic city”は色褪せないというか、ライヴでやるときはいつも気合い入りますね。MASSくんが1982Sのボスだと思うので、今回の曲(82PLACE)に関しても頭はMASS-HOLEからやってほしかった。それこそ1982Sのパーティとかもそう。あのパーティは自分の中でも大きかった。DJしたことないのに、いきなりメインフロアで刺激になったし」
M 「そのときもILLMARIACHI流してたもんね。“Ms.アリハンダ”だったっけ」
Y 「インストで“勇者のテーマ”だったような。あと“Apollo Kids”(Ghostface Killah)かけたりとか」

――あのパーティは斬新でしたよね。楽しかったです。またやってほしいな。
M 「今、テーマに沿ったパーティって少ないじゃないですか。ああいうのはまたやりたいですね」
Y 「あのパーティは印象に残ってる。はじめはライヴだったりとか、MASSくんと一緒に作った曲から始まって、徐々に1982Sの名前でイベントがあったりとか。同世代のフワーッとした感じもすごく好きですね。グループって言い切っていない感じというか」
M 「なんだろう。82年ってまだいっぱいいるから。だけど、人選とかはちゃんとしているというか。単純に友達というか。そこだけかな」
Y 「先々のところでそういう話はされたりする」

――トピックにはなるよね。自分は79年生まれだけど、「82年生まれで自分も嬉しかったんですよ」って話しかけられたことがありますね。
M 「“俺も82年生まれなんですよ、もぞもぞ”みたいな人がいて。俺から“あなたも82Sですね”って言ってもらいたいみたいな(笑)。でも絶対言わない。“あー、そうなんだー”みたいな(笑)。そういうのはあるっすね。みんな地元とか音楽のバックボーンなんか背負うものがたくさんあるだろうし、そこを飛び越えて“クルー”ってなっちゃうと重くなっちゃうからね、今の距離感が良いと思うよ(笑)」
Y 「それでアガってくれてるなら嬉しいですね。MASSくんの地元の八十二銀行とかもやばいなって」
M 「奇跡だよね。あれ、できた当時の長野県は82市町村だったんですよ、それで八十二銀行になって、のちに長野銀行っていうのもできて、来年の1月にはその2大巨頭が合併しちゃうんですよ。八十二長野銀行みたいになって、でかくなるんですよ。エンパイアですよ(笑)」
Y 「それこそ、“INGLORIOUS”(2025, J.COLUMBUS feat. FREEZ, ILL-TEE, MASS-HOLE)のMASSくんのリリックに出てくる82は銀行の82やんね」
M 「そうだね。ミーニングとして、ダブルで使えちゃう」

Y 「82の話だとDAZZLE 4 LIFEっていうウェストコースト・ヒップホップの2人組が三重にいて、そのメンバーのT-TRIPPIN'くんとも今回、曲をやっていて。CMDっていうMCの相方は10年ほど前に亡くなってしまったんですけど、彼も82年生まれで。同い歳ではなくて早生まれなんですけど。だから82ってのは今回のアルバムの中でも、キーワードかもしれない。声ネタだったり、リリックだったり、バスケのギミックが要所に散りばめられてるんですが、ちなみにNBAのレギュラーシーズンも82試合です。MASSくんの地元って同い歳の人っているの?」
M 「DJやったりとか、ラップやったりっていう人は歳上にはいるけど同い歳はいないかなぁ」

――やってきたことが、意図的なところもあると思うけど、うまく繋がっていることがあると思うんですよ。MASS-HOLEの『ze belle』はそれをしっかりと記録として残している作品だと思います。そこに参加していたトラックメイカーが『82PLACE』にも入っているし。
M 「俺はまあ、性格的に紹介したくなりますね。スキルというか、やばい奴がいたら他の友達のラッパーにも教えたくなるし。それで世渡りとかしているところもあるし(笑)」
Y 「それこそ2日前にMEGA-Gくんと一緒だったけど、BOMB WALKERのこと言ってた」
M 「たしかMEGA-Gさんには俺がBOMB WALKERのビート・サンプルを渡したんだよね。前作は自分が参加したから次作は俺とやるよりは若い奴とやったほうが良いと思って。そうしたらけっこう反応してくれて」
Y 「ビートもやばいけど、ラップもやばいってそこにも反応してた」
M 「やっぱ、B-BOYは好きだよね」
Y 「自分は昔からトラックメイカーとかクレジットを見るのが好きで、このトラックメイカーがこっちにも入ってたけどあっちにも入っていて繋がってるんだ、とか思ってた」
M 「トラック聴くだけで情報がわかるからいいですよね。その人が何を聴いているかとかわかるじゃないですか。ビートだけで。心情も知ることができちゃうっていうのが好きですね。本当YUKくんのアルバムはYUKくんしか作れないアルバムだと思うし、ビートはもちろんだけど、YUKくんのラップが映えるビートだと思うから。それはやっぱり良いアルバムだなあと思ったな。がんばりたくなりますね」
Y 「そういうアルバムが作れたんだったら」
M 「負けてらんねーって気分になるよ」
Y 「そういうアルバムってあるよね。そういうアルバムに自分のもなっていたら嬉しい。この間MidNightMealのみんなに久々会ったら、アルバムを聴いてくれていて、良い反応をいただきました。本人たちにちゃんと気持ちを伝えられたかな。自分が仕上がってたんで(笑)」

YUKSTA-ILL '82PLACE'■ 2025年11月5日(水)発売
YUKSTA-ILL
『82PLACE』

P-VINE, Inc. | WAVELENGTH PLANT
https://p-vine.lnk.to/io5ZTi

[収録曲]
01. FULL CIRCLE Prod. by OWLBEAT
02. LOOK BACK FOR THE... Prod. by T-TRIPPIN' from DAZZLE 4 LIFE
03. HUMBLE PEEPS Prod. by UCbeats
04. RIGHT ON CUE feat. GINMEN Prod. by GRADIS NICE
05. QUESTION feat. J.COLUMBUS Prod. by Cedar Law$
06. Y.O.L.O. feat. CJ from HOMEBOYZ Prod. by P3T-BUSTARD / directed by DJ KIYOSHIRO
07. IT IS WHAT IT IS Prod. by MATSUIGODZILLA
08. ROLLIN’ RING 'RESE Prod. by M.A from BONG BROS
09. GRIT-N-GRIND Prod. by Ramza
10. MINDFULNESS feat. MILES WORD Prod. by MET as MTHA2 / scratched by DJ 2SHAN
11. 82PLACE feat. 1982S (MASS-HOLE, MR.PUG, 仙人掌, ISSUGI & YUKSTA-ILL) Prod. by MASS-HOLE
12. SUBWAY feat. JASS & Äura Prod. by Kojoe
13. NEW DECADE Prod. by DJ SCRATCH NICE