Review | 東京・澁谷藝術「祝祭の呪物展2」


文・写真 | イシバシ ユミ

 7月初旬、とても楽しみにしていた展示に行ってきました。「祝祭の呪物展2」。会期は7月4日までだったので、レビューするにはだいぶ遅くなってしまいましたが……。ごめんなさい……。記録しておきます。

 まず呪物とはなんぞ?というところなのですが、呪物とは“呪物”とは、超常の力が宿るとされる人工物、自然物。または、儀式に使用され、精霊や神の力が宿るとされる物である。近年では所有すると災いをもたらすとされる物に対しても“呪物”と呼称するオフィシャル・サイトより)でして、要するに“超すごいパワーが宿った物体”です。誰かを呪いたい気持ちが込もった曰く付きの物や、呪いの儀式に使われている物もあるけれど、幸福をもたらすために呪術をかけられている物も“呪物”。だから神社で授かるお守りや絵馬とかも一応“呪物”の類だそうで!“呪い”という字が使われているからマイナスの要素をイメージしちゃいますが、“呪い”と書いて“まじない”とも読むので、わりと広い意味があるようです。「祝祭の呪物展」では、災いをもたらすとされた曰くのあるマイナス呪物と、お守り的な用途で使用されていたプラス呪物がどちらも各国から集められて展示されていて、全部ひっくるめて愛でようじゃないか!という趣旨の企画です。それで展示タイトルにも「祝祭の」と付いているわけです。そんな呪物たちは全てオカルト・コレクター / 怪談収集家の田中俊行さんと、都市ボーイズというユニットのメンバーでもある放送作家・はやせやすひろさんのコレクションで、私はその2人の大ファンでもあるので行ってきた次第です(田中さんは「不思議大百科」、はやせさんは「都市ボーイズ」というYouTubeチャンネルを運営されてるので、ぜひ観ていただきたい)!

 当日、展示会場は12:00開場だったのですが、整理券配布制で朝10:30から並びました(笑)。本当は前日にも並ぼうと会場前まで行ったのですが、13:30の時点で整理券の配布が終了していたので……執念……。おかげで開場後の初回入場組となることができ、開場予定時間より少し早く入場することができました。昨年開催された第1回「祝祭の呪物展」にも行ったのですが、長時間並んだせいなのか、呪物の影響なのか、会場を出る際に同行した友達も私も体調が悪くなってしまいました……(笑)。だから今回は呪物の影響を少しでも受けないように(?)会場入口のカフェ・ブースでCBDビールを購入し、酒を体内に入れて挑みました(まだ午前中)。そしてこの時点で家に財布を忘れたことに気付きましたが、唯一使用できたPayPayの残り少ない残高でなんとかビールも入場料も支払うことができました……。

Photo ©イシバシ ユミ

 チケットを受け取ってすぐのところにもう呪物たちが並んでいて、観客のみなさんがそれらを囲んでじっと観ていました。田中さんとはやせさんのYouTubeで紹介されていた呪物がほとんどだったので、どんな曰くやストーリーがあるのか知った上で実物を間近で見ることは、感激というか緊張というか、静かに1人で興奮していました。かわいがったら死んでしまう人形のチャーミー、所有したら耳に異常をきたしてしまう耳の欠けた猫の置き物など、スタメン勢も正面に展示されていました。国内のみならずタイやアフリカなど各国から集まった呪物が置いてありましたが、それらは主に儀式に使われる道具だったりで、日本人の私には怖いというより異文化の勉強という感じで、やっぱり日本で生まれた人を呪うための道具たちを見ているときがゾワっとしました。太い釘の刺さったドデカ藁人形や、ある男性が人を呪うために独自に作った神棚と彼の血のついた呪具など……。古い呪物もありますが、神棚と呪具に関しては現代のもので、“人を呪う”という行為は古来から現在まで信じられ、実行されているから震えちゃいます。私は呪いたいほど人を嫌いになったことがないし、腹が立ったらだいたい相手に直接物申してスッキリしちゃうタイプですが、みなさんは人を呪いたいって思ったことあります?? 人を呪うとその見返りで体を壊したり、海外では悪魔が憑いたりしちゃうので絶対やめましょう~!

 「祝祭の呪物展2」は大阪と東京での巡回展の後、追加で北海道でも開催されていました。また「祝祭の呪物展3」が開催される際はぜひみなさんも足を運んでみてください……!

Photo ©イシバシ ユミイシバシ ユミ Yumi Ishibashi
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東京都板橋区生まれ。
大学でアジア文化を専攻していた事から、アジアの文化に興味を持つ。
街中のシュールな看板や鮮やかな商品パッケージなどからインスピレーションを受け、奇妙さと可愛さをテーマにセラミック、ペインティング、リソグラフプリントなどなど多種多様な技法を使って作品を制作している。