文・撮影 | 久保田千史
先日、尊敬する編集者 / ライターの先輩と談笑していた折、「“ニューヨーク系”っていう言い回し、あるよね(笑)」という話題になりました。要するに、あまりNYHCに触れてこなかった人は、メタリックなエッジのリフワーク、グルーヴィなミドル / スロウ・パートを含む構成、非メタル的な譜割りの歌入れ、などなどを持つバンド群を総じて“ニューヨーク系”って言っちゃう傾向があるよね、という話であります。おそらくはSICK OF IT ALL、BIOHAZARDなどを想定しての言い回しなのでありましょう。近似する言い回しとして、“ニュースクール系”や“ストレートエッジ系”といったものが存在します。我々はBIOHAZARDを“ニュースクール系”とは絶対に言わないしし、どう考えてもSICK OF IT ALLを“ストレートエッジ系”とは呼称しません。まとめると、いわゆる音楽マウンティング的な、決して褒められたものではない種類の会話をしたということであります(笑)。
でも、よくよく考えてみると、我々は全く音楽性の異なるもの……例えばSIDE BY SIDEとALL OUT WARを等しくNYHCとして認識しているわけです。MERAUDERも、BORN AGAINSTも、CITIZENS ARRESTも、TYPE O NEGATIVEも、NAUSEAも、あるいはBRUTAL TRUTHもNYHCとして受容している。しかも、ニューヨークというエリアで活動しているか否かという事実(こっちのほうが本当は大事なんだろうけど)よりも、“NYHC”というイキフンを重視しちゃっている節がある。ニューヨークで活動しているハードコア・バンドでも、聴いてNYHCっぽくないぞ……って思うやつもあるということです。困ったもんだ。当サイトの人気連載「Mosh Sommelier」のSUBZERO回でNgrauderさんとLil Mercyさんも語り合っているように、 “NYHC”ってけっこう音楽的には実体がないっていうか、捉えにくいものなんだよね。しかし、“ニューヨーク系”と我々の考える“NYHC”の相違はそこにあると思うのです。そしてDEALEには、“NYHC”のイキフンがすごくあると思う。1stアルバムに付属するジンに掲載されたインタビューを読んだら一発でわかる話ではあるんだけど……。
BRUTAL TRUTHだったらMOMENT OF TRUTHの話になるし、HEMLOCKを経由してCATTLE PRESS、VILLAINSとかBLACK ANVIL、そしてSUBZEROやDISASSOCIATE、DARKSIDE NYCの話になったりするでしょう?MERAUDERやALL OUT WARだったらBOLT THROWERやステンチ / メタル・クラストの話になって、NAUSEAとAGNOSTIC FRONTの話に繋がってゆく。SHEER TERRORからのHELLHAMMER / CELTIC FROSTという話題も大いにあり。そういう感じがDEALEには全部詰まってる。しかもニューヨークから遠く離れた関東のバンドということもあって、Gであったり、ZOUOであったり、日本特有のムードもたっぷり。そういうところはクリーヴランド的と言えるのかな(笑)。音楽大好きな面々が思い思いのハードコア・パンクを投入して、かつ世界観を共有しているのが素晴らしい。普通に考えたら、めちゃくちゃになっちゃいそうだもん。誰かがMESHUGGAHの話を始めたら、CANDIRIA、DOOMSDAY MOURNING、LOCKED IN A VACANCY、NECKの話もしようぜ!ってなりそうな感じが最高です!そして、SUBZEROを観た次の日にDEALEを観に行くっていうのは、けっこう正解だと思います!
■ STANDOUT Presents
DEALE 1st Album Release Party
2026年4月4日(土)
東京 初台 WALL 3F
開場 17:00 / 開演 17:30
前売 2,500円 / 当日 3,000円(税込 / 別途ドリンク代)
[出演]
DEALE / PAYBACK BOYS / QUETZALCOATL / SECONDARMS / SEWER / STANDOUT
■ 2025年8月15日(金)発売
DEALE
『Deale』
WDsounds
CD WDSD060 2,500円 + 税
[収録曲]
01. 晩餐 (Intro )
02. Deale
03. Vanitas
04. Jade Vine
05. 冷たい混沌 feat. SKI7
06. Martyrs
07. Paradox
08. Non Serviam
09. Struggle feat. Lil Mercy
10. Expression
11. (Theme of) The Eat Disciples