Column「アグネスの5次元パーラー」


文・撮影 | アグネスパーラー

| 第16回: 紅茶にショウガと蜂蜜

 お味噌汁をいただくとき、いつも思い出すことがあります。私の父親は熱いお味噌汁が大好きで、お味噌汁に限らず汁物は何でも、とにかく熱々でないとダメなタイプ。ちょっとでも好みと違うとすぐ温め直す。それがほぼ毎回の食事で行われていて、私は子供の頃から見慣れていたけど、よくよく考えるとちょっと面倒な嗜好な気がします。そしてお味噌汁は煮立たせないほうがいいということを知ってから、あの熱々になったお味噌汁って、もしかしたら本来のおいしさじゃなくなっているのかも、という疑念と共に、今目の前にあるお味噌汁は適温なんだろうか、ということをつい考えてしまうようになって、はっきり言って面倒臭い。そもそもお味噌汁の適温て、いったい何度なんだろう。

 とかなんとかぶつぶつ言いながらも、何でもおいしくいただけるタイプの私は、お味噌汁が適温かどうかなんて実はそこまで気にはしていなくて、熱々でも多少ぬるくてもどっちでも大丈夫なのです。“おいしい”の感覚って人それぞれだし、みんな好きなようにこだわったらいいと思う。私は父親ほど絶対っていうこだわりではないけど、千切りキャベツの鮮度と、餃子や揚げ物にタレやソースはつけなくていい、というくらいかな。最近はたこ焼きとお好み焼きもソースなしがおいしいと思うくらい、具の味を堪能したい。タレやソースはたまに味を変えたいときに少しだけ。

 昔アルバイトをしていたコーヒーショップで牛乳の適温を習ったことがあって、それが思っていたより低くてびっくりしました。色々調べてみるとコーヒーやお茶にも適温があって、必ず沸騰させなければいけないわけじゃないんだと驚愕。しかもけっこう細かい温度設定で、家で気軽にお茶が飲みたいだけのときは難しい。なので私は、沸騰したら火を止めて、沸いた湯がちょっと落ち着いたかな、というくらいで注ぐようにしています。熱い冷たいの感覚も人によって違うしね。味覚ってほんとに謎だなぁと思うけど、さまざまな研究によって出た適温は化学的には絶対なんだろうな、とも思う。ただそこまでわかる舌を持ち合わせているのか、不安。

 最近、数が中途半端になってきているお茶たちを整理がてら飲んでいます。お茶菓子がなくて何か口寂しい時、紅茶にショウガや蜂蜜、ほうじ茶に梅干しをちょっと加えてみる。そうすると身体が温まるし、満足度も高まり、じっとしていたい大寒の時期はこれくらいで十分。自分好みの熱さと味で。

[材料(1杯分)]
| 紅茶 3g (ティーバッグひとつ)
| お湯 150~160cc
| ショウガ ひとかけ分擦っておいて、好みの量で
| 蜂蜜 好みの量

[手順]
01 | 湯を沸かし、沸騰から数秒置いてから茶葉に注ぎ2分半ほど抽出する。
02 | 01をティーカップに注ぎ、すりおろしたショウガと蜂蜜を入れてよくまぜる

※ ショウガは市販のチューブでも。サッと作れて便利。

アグネスパーラー agnesparlour

アグネスの5次元パーラー | illustration: あお木かな
illustration あお木かな
2010年よりオリジナルのシロップなどを使ってドリンクをメインにしたケータリングの活動を開始。ライヴ、展示、パーティ、蚤の市、商店街のお祭りなどに出店。執筆活動として鳥取のベーグル店「森の生活者」発行のジン『森と生活者』に寄稿中。

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