Column「アグネスの5次元パーラー」


文・撮影 | アグネスパーラー

| 第17回: 辛いジンジャーエール

 最近、ラジオをよく聴いています。実家にいた頃は聴いていたけど、上京してからはすっかり遠のいてしまっていたので、もしかしたらすごくもったいないことをしていたかもしれません。

 どんどん展開していく会話や知らない音楽との出会い、耳からの情報だけなのに頭の中の想像はどんどん膨らんで、聴き終わった後の充実感がすごい。ほぼ音楽をかけないで語りだけの番組もあれば、音楽メインの番組もあって、そのときどんな気持ちか、どんな番組を今聴きたいのかがけっこう大切な気がしています。昔、どの絵本を寝る前に読んでもらいたいか、自分で選んだときのような感覚に似ているのかな。

 今はリアルタイムで聴けなくても配信があるので、現在放送中の番組も、過去の番組も試しに聴けて、とても便利。本当にすごい世の中だと実感しています。でもシステム的にはすごいけど、いろいろな番組を聴いていると人間そのものはあまり変わっていないな、と思います。20年ほど前からリスナーの悩みはほぼ変わっていないし、新しい音楽を探しながらも懐かしい音楽を求めたり、ニュースもずっとひどいことばかり。便利にラジオを聴けるようになったその先には何があるんだろう。

 このあいだ小学生のときにピアノの発表会で弾いた「雨に濡れても」という曲がふいに流れたことがありました。懐かしすぎて胸が張り裂けそうになって、でも同時に普段はあの曲を弾いたことを考えずに生活しているのが少し不思議に感じられました。大切な思い出だし、今の自分を作ってきたのに、過去のいろんなことをどんどん忘れてしまって、ちょっと切ない。改めて歌詞を読んだらすごく良くて、子供の頃にはわからなかったことをラジオをきっかけに知れて良かった。どこに何が転んでいるのかわからないものです。ちょっとしたことで琴線に触れるできごとがある。

 先日久しぶりに辛めのジンジャーエールを飲んだら舌も喉もびっくりして、初めて飲んだときと同じ感覚をまた体験して、知っているはずなのに、と驚きました。人間って進化もするけど、どんどん退化もするんだな。ピアノの発表会の曲と辛いジンジャーエールのこと、全く違うようでいて似ているような気もする。こういうことが実は生活の中にいっぱい転がっているのかもしれません。

 ということで、また生姜かよ、と思われしまいそうですが、辛めのジンジャーエールを作ってみました。生姜と唐辛子、辛いけど癖になっちゃう。冬はホットで、夏はアイスで、楽しめます。

[材料(1杯分)]
| ショウガ 100g
| 水 300g
| 砂糖 200g
| 唐辛子 3本
| シナモンスティック 1本
| クローブ 3g
| レモン 2個

[手順]
01 | ショウガはピーラーで薄く切るか、すりおろす。唐辛子は輪切り。鍋にレモン以外の材料を入れて、沸騰したら弱火で20分ほど煮込む。
02 | レモンの果汁を絞って、01に入れて火を止める。
03 | 好みの分量でシロップをお湯や炭酸水などで割っていただく。

※ 辛みが強すぎる場合は水や砂糖を増やしてください。
※ オール・スパイスやブラック・ペッパーなどのスパイスを入れてもOK。

アグネスパーラー agnesparlour

アグネスの5次元パーラー | illustration: あお木かな
illustration あお木かな
2010年よりオリジナルのシロップなどを使ってドリンクをメインにしたケータリングの活動を開始。ライヴ、展示、パーティ、蚤の市、商店街のお祭りなどに出店。執筆活動として鳥取のベーグル店「森の生活者」発行のジン『森と生活者』に寄稿中。

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