Interview | HiiT FACTORY


ひとつ前に進み始めたこと、脱皮し始めていること

 ノスタルジーというよりは研究オリエンテッドな姿勢で1990~2000年代の日本ダンスポップ・ヒッツを“再現”し、当時のレジェンダリーな作家陣もサポートする楽曲群で異彩を放ってきたグループ・HiiT FACTORYが、デビューから3年目にして初のフル・アルバム『Manufactures 1995-2002』をリリース。現メンバーでの活動開始から2年間の集大成でもある同作は、これまでになかった側面を開示しつつ、その先をも見据えたターニングポイント的な内容となっています。本稿では、現在のHiiT FACTORYが何を考え、どう動いてきたかについて、メンバー・Airu(以下 A) + Reyuna(以下 R) + Yuzuka(以下 Y)にじっくり語っていただきました。

 なおHiiT FACTORYは、東阪リリース・ツアー「Anomaly Tour」の東京編を開業26年目を迎えた渋谷の名門クラブ「WOMB」にて5月9日(土)に開催。


取材 | 南波一海 | 2026年3月
撮影 | 山口こすも

序文 | 久保田千史

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たくさんの人を巻き込んで、世界が変化していくところを体感してほしい

HiiT FACTORY | Photo ©久保田千史

Interview | HiiT FACTORY

このグループには太陽が必要

HiiT FACTORY | Photo ©山口こすも

――まずはグループの近況をお聞きしたいなと思っています。
Y 「ワンマンのチケットが全然売れていないです(笑)!今はそれしか頭になくて。『Anomaly Tour』というタイトルで、初めて大阪と東京の2箇所でやらせてもらうんですけど、どっちもなかなか厳しくて、どういうふうにお客さんを集めたらいいのかな、みたいな。ライヴのチケットはいつも苦戦してます」

――なんと……楽曲をリリースする度にリアクションがありますし、知られる機会は増えていると思うんです。
Y 「SNS上やYouTubeではどんどん広がっているんだなという実感もあるにはあるんです。でも、音源が聴ければ満足という感じなのかなぁと。自分で言って悲しくなっちゃうんですけど……」
A 「それでYouTube企画をやってみようかという話になりました。それとメンバーそれぞれのインスタライヴでみなさんと交流する機会を増やしたりもして、まずは配信でできることをやってみたりしています」

HiiT FACTORY | Photo ©山口こすも

――ネット上では各地にファンがいるというのは把握できているんですよね。
Y 「パラパラが好きなかたとか、車好きなかた、ディスコ関係のかた、それともちろんTKサウンド好きなかたでHiiT FACTORYを聴いてくださるかたは全国各地にいらっしゃいます。ただ、ライヴを観てもらうとなるともう一歩何かが必要なのかなって」
R 「悩みはずっとあるんですよね。今回のアルバムは、90年代コンセプトを強く押し出してきたところから少しだけ離れつつあるというか。これまではコンセプトに縛られて私たちの人間性とか等身大の魅力みたいなのがまだ出せていないのが原因なのかなと思うところもあって、それを踏まえて、今の20代前半らしい感覚をもっと出してもいいのかなとか」
Y 「曲を聴いてくださったかたが、Xの引用で“これAI?”みたいなリアクションをいただくこともあるので、もしかしたら生身の人間がやってるとは思われてないのかもしれないです(笑)」

――AIでそれっぽい音楽や映像を生成できてしまうから。
R 「“何々っぽい”ことをやることに価値がなくなりつつあるから、私たちはどうなんだという問題に直面しているんだと思います」

HiiT FACTORY | Photo ©山口こすも

――個人的にはそれを人がやるのがおもしろいと思うし、HiiT FACTORYのやっていることはポップアートみたいな側面もあると思っているんですよ。一般に広く流通しているものを、この時代にこういう見せかたをしたらおもしろいよ、という提示をしているわけですよね。真剣に取り組んでいるので失礼かもしれませんが、あまり重く捉えすぎず、もともと軽いものをやっているという感覚があってもいいのかもしれないなと。
R 「たしかにダンス・フロアで流れているべき音楽を家で黙々と聴いてるようなタイプではあるので(笑)、殻を破らなきゃいけないところがあるとは思っています」

――生身のライヴは人にしかできないことですし。実際、ライヴはいつも盛り上がってますよね。
A 「私自身はその場をすごく楽しんでいますし、その場に来てくださったお客さんにも楽しかったと言っていただけたりするので、楽しませる自信はあります。あるけれど、そこに来るまでのきっかけがもうちょっと欲しいのかなって。クラブとかでライヴすることが多いので、もしかしたら抵抗があるのかもしれないですけど、もっと気楽に来ていいよって思っています」

HiiT FACTORY | Photo ©山口こすも

――ともかく、そういった現状があり、今回のアルバムで変化が訪れているわけですね。
Y 「今回めちゃめちゃ変わりました。HiiT FACTORYのオリジナリティはどこにあるのか?みたいな問いがずっとあったじゃないですか。これまで活動してきて、メンバーそれぞれが知識を蓄えたり、少しずつ経験を積んできたことで、今後の自分たちが取り組んでいきたいことが見え始めてきたんです。そこで今回のフル・アルバムではメンバーが作詞をしたり、Reyunaだったら作曲したり、制作の部分に踏み込んでいったのはけっこう大きいことだと思っています」
R 「ただ、私たちのオリジナリティはこれです、みたいなものというよりも、メンバーがHiiT FACTORYとして活動してきた学びとかが滲み出たものがそれなのかなと現状では思っているんですよ。1作目、2作目、3作目と出す度にジャンルが全く変わったりするけれど、引きで見たときにやっぱりそのアーティストの作品でしかないというか。そういうことってあるじゃないですか。私たちは90年代というところをきっかけに音楽を学んで、自分たちを表現をしていく中で、あとで振り返ったときにオリジナルになっていたらいいなと思いながら一生やり続けていくのかなとは思ってます」

――アルバム冒頭の「Introduction」は作曲がReyunaさんです。トラックを作られたんですか?
R 「いろいろと力を貸していただきながら、なんとか。以前からたまにLogicを触ってはいたし、作曲にも興味があったんですけど、なかなか一歩が踏み出せない中、やってみない?とスタッフのかたに声をかけていただきました」

――すごいと思います。ご自身の描くものはできましたか?
R 「近づけられたと思います。これとは別に最初に自分で作ったものがあったんですけど、それがとてつもなく暗くて(笑)」
Y 「すごかったです。持ってきてくれた曲をスタジオで流したんですけど、この次にA・Tさんの曲が来るけどこれで大丈夫?ってなりました(笑)」
R 「PORTISHEADが好きなので、トリップホップっぽいものを作りたかったんです。それがあまりにも暗すぎたので、もっと明るいものを、ということでこれになりました。たしかにアルバムのオープニングの曲だし、もっと勢いがある感じにはしたほうがいいよなと。結果、私は気に入っているし、よくできたかなと思います。このアルバムを作る前から、さっきも話したオリジナリティの問いがあった中で、メンバーが作った曲を最初に持ってこられたのはよかったなって思います」
A 「私は途中経過をほぼ聴いていなかったので、完成したフル尺を聴いたときは、すげぇ……ってなりました。Reyunaの才能が開花した瞬間を感じました」
R 「どの視点(笑)。ありがとう。一発目からかましてやろうっていう強い気持ちだけは持って作りました」

HiiT FACTORY | Photo ©山口こすも
Reyuna

――続く「She doesn't mind ~彼女は問題ない~」については前回のインタビューを読んでいただくとして、3曲目が「ミスティックダイアリー」。これはShinnosukeさん作曲で、作詞はYuzukaさん、ラップの作詞がReyunaさんです。
Y 「曲のデモが上がって、グループのDiscordに“作詞お願いします”とポンって連絡があって。私はメンバーの中では一番アニソンが好きなんですけど、ちょうどこのデモが送られてくる前に、Shinnosukeさんのソロ曲“My Funny Bunny Nite (feat. Reyuna (HiiT FACTORY))”のPV撮影をしていたんですよ。その合間に私がBGMで『幽☆遊☆白書』のハウスっぽい主題歌をかけていたら、“ああいう感じのゴールデンタイムに流れてそうなアニソンっぽい歌詞を書いてみない?”という提案がスタッフのかたからあり、わかりましたという感じで取り掛かりました。私は小学生のときに『金田一少年の事件簿』がすごく好きで観ていたんですけど、特に私がハマったのはその後のスピンオフで、高遠遙一(CV 小野健一)という陰のあるキャラクターだったんです。それで、もし自分がアニメの世界に入ったとしたら、高遠遙一とどんな恋愛をするかを想像して書きました(笑)」
A 「照れてる。顔が赤くなってる!」

――そんな背景が(笑)。
Y 「推しへの愛です。アニメも漫画も映画もそうなんですけど、夜寝る前にその日観た作品を振り返るんですよ。そのときに、自分がその世界に入りたくなっちゃうんです。子供の頃は、自分があの世界にいたら推しを助けるためにこういう行動するだろうな、とか、推しと結ばれるためにこんなアプローチするだろうな、みたいな妄想をよくしていたんですけど、その頃の記憶を掘り返して書いた曲が“ミスティックダイアリー”ですね」

――Reyunaさんはそれを受けてラップを書いたんですか?
R 「これはもう難しかったです。自分があまり書いてこなかった日本語でのラップというオーダーをいただいていたので。Yuzukaから推しへのラブソングというのは聞いていたんですけど、私はそのアニメを観たことなかったので、私なりに90年代の邦楽で好きなところを考えたときに、ラルクとかBUCK-TICKとかにありそうな、ちょっとキザでロマンチックなシーンみたいなのを書ければいいなと思って書きました。Yuzukaは私のヴァースを“『るろうに剣心』みたいでよかった”っていうふうに言ってくれて、自然とアニソン的に解釈してくれたのでよかったなと思いました」

――AiruさんもYuzukaさんの説明を受けて歌ったのでしょうか?
A 「ここまで詳しくは聞いていなかったんですけど(笑)、ゴールデンタイムのアニメみたいな雰囲気、推しへの愛というのは事前に聞いていたので、自分の中でどんな雰囲気が合うか探って、竹井詩織里さんの歌いかたが合うんじゃないかなと思って、竹井さんをイメージしながら歌いました」

――4曲目の「Don't you want me?」は作曲がおなじみ石坂翔太さんで、作詞がミラッキさん。TKサウンドですね。
Y 「聴いた時は、完全にglobeだと思いました。“wanna Be A Dreammaker”(1998)みたいな曲がほしいよね、みたいな話をスタッフさんたちとしていたんです。それで石坂さんに、ちょっとシリアスなのを1曲、とお願いしてできたのがこの曲です」
R 「これはメンバーみんな大好きです」
A 「デモが来たときに、この歌は絶対にglobeのKEIKOさんが合うと思って、そこからglobeを聴き直しました。キーが高めの曲なので、声の出しかたは研究しましたね。サビに“ふるえる 君の瞳”という歌詞があるんですけど、そこだけちょっと裏声にして、あえてちょっと震えさせる感じでヴィブラートをかけて切なく歌う意識でレコーディングしました」

――Airuさんはどの曲も参考にするシンガーがいるんですか?
A 「そうですね。特に今回のアルバムはちゃんとメリハリをつけようって思っていたので。歌いかたを全曲で変えたかったですし、成長した自分を見せたいなって思って、この曲はこの人でやってみようみたいなのは自分なりに考えていました。これまでの自分の歌いかたがある程度固定されてしまっているというのをメンバーにも言われていましたし、ライヴやレコーディングの度に“ここを変えて歌ってみて”というアドヴァイスはよくいただいていたので、今回は事前にイメージを決めてやらねばって思っていました」
Y 「今回はこれまで以上にそれぞれが思い描く理想像があったんですよね。例えば、それこそ“Don't you want me?”だったらKEIKOさんの高音に近いものが聴けたらファンの人が喜ぶだろうなとか、曲の世界観とAiruの歌声とのリンクが強ければ強いほど曲の完成度や聴いたときの満足感が高くなるだろうなと思ったので、普段からライヴのときに話し合ったり、ReyunaがYouTubeの参考用の映像を送ってくれたりするんですよね」

HiiT FACTORY | Photo ©山口こすも

――先ほどのオリジナリティという観点で言うと、1曲毎に参照元がいくつかあるというのは逆のことをやっているようにも感じますが、その上で見えてくるものこそがオリジナリティということですよね。
R 「表現の幅を一度広げてみない?という感じです。今持っているのもこれはこれでいいけど、ヴォーカルはひとりしかいないので、引きで見たときにできる表現が平坦に見えてしまうというか。だったら一旦そこから離れて、手札を増やしていければ歌っていても楽しいだろうし、それを聴く人も歌も楽しいと思うし、もっと深くなるんじゃないかなと思ったんです。私は前回のアルバムでラップをそうしてみてファンの方々からも好評をいただいたので、Airuもやってみたら?ってなりました」

――曲によってヴォーカルのアプローチが違うのはそういう経緯だったんですね。東新レゾナントさんやPellyColoさんがしっかりと固める中盤以降もアルバムの聴きどころです。
R 「“Move your body next to me”は、これまでの中西(圭三)さんや葉山(拓亮)さんに書いていただいた曲のようにクライマックスを飾る雰囲気のものが多い中で、ライヴの中盤で踊れるような曲のイメージです。だから私も海外のダンス・フロアで踊っているようなイメージで作詞しました。コーラスが多くて、個人的にはTHE SUPREMESみたいな感じだなと思っています」
Y 「90年代とか80年代とかのグルーヴィなサウンド感はリスペクトしつつ、ライヴの変化球として入れたい楽曲だと捉えてます。あと歌いかたで言うと、この曲はReyunaがAiruにめちゃめちゃ厳しかったです(笑)。録音したものを3人のグループLINEに送ってもらうというのを1ヶ月くらい繰り返して完成しました」

――1ヶ月!それはたしかに厳しい。
A 「参考に聴いた音楽を1日10曲くらい挙げて、その感想も書いて。TLCとかMariah Careyさん、XSCAPE、Des'reeさんあたりを集中して聴いて、感想を送って、ボイスメモを送って。ふたりから“もっとこうして”という意見をもらって」

――超スパルタじゃないですか!みなさん真面目すぎるというかなんというか。
A 「いろいろ考えすぎてプレッシャーでした。この曲のレコーディングが終わったときはホッとしました(笑)。あとはライヴでやるだけです」
R 「私たちだけで私たちのために作るのだったらいいんですけど、そういうわけではないじゃないですか。しっかりと作品として出したいという思いがあるので。この曲は英語詞ですし」

HiiT FACTORY | Photo ©山口こすも
Airu

――Airuさんは英語が苦手と言ってましたもんね。改めていろんな人からのディレクションを受けて歌入れをしているんだなと。
A 「自分に知識がないぶん、いろいろ教えてくれるのでありがたいです。英語の歌詞についても、自分が苦手な発音を入れないようにしてくれていて」
R 「“th”の発音が苦手なのでそれは全部抜いて、とにかく発音のしやすいものを、ということで書いてます」
A 「そのぶん、また知らない新たな単語が出てきたりして、これはなんて発音するんだろう?みたいなこともありました」
R 「制作も後半に行くと歌詞を書いてくださいというテンポも上がって、何曲も同時にお願いしますみたいなことも増えていったので、苦手な発音とかに気を遣っていられなくっちゃったりしました」
A 「でも、一番苦戦したのこの曲でした。これ以外はそこまでじゃなかったと思います」

――続いてが「Twilight」。これぞHiiT FACTORYというユーロ系のダンス・ミュージックですね。
A 「パッと聴いた時、仮面ライダーの曲だったPANDORA feat. Beverlyの“Be The One”となんなく雰囲気が似ていると思って、そこを意識して歌ってみようかなって。ミックスヴォイスっぽく、喉を開いたような高音を歌えたらいいなと思って取り組みました。自分の強みは一応高音かなと思っているので、聴いてもらいたいですね」

――この曲の作詞はReyunaさんですが、どんなイメージで書きましたか?
R 「レイヴ・アンセムみたいな感じにしたかったんです。ちょっと薄暗くてブルーで霧がかった感じの世界観というのがぼんやりとあるんですけど、みんなで団結して、ひとりぼっちじゃないよ、みたいなことを音とフロアで昇華できたらいいなって考えました。曲の最後のあたりは、みんなで歌えるように言葉を4つ並べています」
Y 「これはハイパーテクノだけどトランスっぽさもあって。私たちはユーロ系の楽曲も多いですけど、いつもと違う新しい雰囲気もあって、ライヴでもひと味違ったハイパーテクノ・ゾーンを作れるんじゃないかなっていう期待をしてます」

――7曲目が「Effluve」。こちらは日本語と英語が半々くらいの曲ですが、Yuzukaさんは「ミスティックダイアリー」と同じく物語を想像して書かれたのでしょうか。
Y 「Reyunaのパートとの差別化を考えたときに、私は実際の経験を落とし込んだほうがいいのかなと思って、好きになったことのある人をちゃんと思い浮かべて書きました。楽曲を聴いたときに、夜の雰囲気というかディーヴァ感がすごくある曲だと思ったので、感応的な雰囲気のある歌詞にしたかったんです。それで、私の中でエロティックな感じ……私は香水の香りから想像が膨らむことが多いので、そういう香りをイメージして書き進めたのがこの曲ですね」

――近年は(世間的に)恋愛モチーフの曲が減ったと思うのですが、ひと昔前はそればかりでしたよね。その意味でYuzukaさんの書く歌詞は平成を感じます。
Y 「今は“私らしさを認めて”とか、“あなたも強いから大丈夫”みたいな感じの鼓舞するような楽曲が多いですよね。私はHiiT FACTORYの活動を始めてから好きで聴いている楽曲は安室ちゃんとかEARTHとか、恋愛感情に寄り添ったものとかムーディなものが多いので、私も書くんだったらそういうものを書きたいなって思ってました。 あとは、『金田一少年の事件簿』にしてもそうですけど、昔はミステリー漫画とかスポーツ漫画と言いながら恋愛が同じくらいメインになってるものも多かったじゃないですか。それが好きで読んでいたというのもあるので、自分の触れてきたものが影響しているんだろうなと感じます。あとは幼稚園とか小学校とかの毎学年全クラスで、かっこいい!好き!みたいなのができるタイプの人間なので(笑)、 想像だけだったらいろいろ書けますね。それと、マハラジャでアルバイトさせてもらっているんですけど……」

――そうなんですか!?
Y 「前に話しませんでしたっけ?半年くらい黒服のバイトをしています。 普段からハウスとかハイエナジーにたくさん触れる機会があって、フロアで男女が踊っている姿を想像しやすくなったというのもありますね。DJさんが流している曲をShazamしてプレイリストを作ったり、休憩時間にDJさんに挨拶に行っておすすめの楽曲を聞いたりする生活を送ってます」

――いよいよすごいことになってますね(笑)。
Y 「最初は普通は遊びに行っていて、お立ち台で踊っていたんですけど(笑)、そこでマハラジャの社長に声をかけてもらったんです。バイトしなよって」

HiiT FACTORY | Photo ©山口こすも
Yuzuka

――お立ち台で踊っていたらスカウト!おもしろすぎますよ。
Y 「今日もこのあとは出勤です(笑)」

――それは本当におつかれさまです。ReyunaさんとAiruさんは「Effluve」に関してはいかがでしょう。
R 「私はYuzukaとは逆のタイプなので、なんとか自分の頭のなかでギャルを思い浮かべました。サウンド感としてはCharli XCXとかのあたりが合うかなと思いつつ、今時の海外のティーネイジャーみたいなイメージのラップを書きました」
A 「私はYuzukaから実恋愛の歌詞というのを聞いていたので、ふぅー!ってひとりで盛り上がっていました(笑)。Yuzukaは以前にも“Shinin' on, Movin' on”でそっち系の歌詞を書いたんですけど、今回は大人の色気系の恋愛曲が来たぞと思ってテンション爆上げで歌いました」

――次は「Aero state」。アルバムも終盤です。
Y 「もうサウンドに魅了されました。 一番好きな曲です」
A 「私も大好き」
R 「曲のコンセプトとしては、フルティガー・エアロというジャンルというか美学があって、それをイメージして作ったと聞いて。私は浮遊感みたいなことなんだろうと思って、作詞の際に横浜に行って、山下公園で海を見ながらガーッと書きました。風景を見て感じた詩みたいな感じです」

――フルティガー・エアロでピンと来ましたが、HiiT FACTORYのいくつかの曲は架空の都市感というか、かつての横浜にあった不思議な異国っぽさがあるのだと思います。
R 「たしかにそれもあるかもしれないです。特にこの曲は世界に入って聴いてほしいので、あまりフックになるような歌詞は使わず、でもちょっとトリップできるようなものにできたらいいなと思って書きました」
Y 「今回のアルバムのジャケットデザインはこの“Aero state”に影響を受けていると聞いたので、アルバムの後半の楽曲だけど、存在感としてはすごく大きいものなんだと捉えています」

――Airuさんは歌ってみていかがでしょう?
A 「この曲は吐息感というか、ほぼ裏声で流れるように歌った楽曲です。自分はゲームはファンタジーものが好きで、水の精霊みたいなキャラクターが好きなんです。そういう透明感のある歌声を表現できたらいいなと思って、自分は水の精霊だという気持ちでレコーディングに臨みました。いざライヴでやるとなるとたぶん、吐息すぎて聞こえないので、中間のうまい具合で披露できたらいいなと思っています」

HiiT FACTORY | Photo ©山口こすも

――最後の言葉はフランス語ですよね。
R 「そうです」
Y 「今は毎週、Reyunaと私でDTMを教わっているんですけど、そのときにフランスのハウスがいいよねっていう話になって。ハイエナジーとかにもフランス語が入ってる曲があるとかいろんな話をしていて、HiiT FACTORYもやってみたいということになったんです。ちょうど大学でReyunaも私もフランス語を専攻してたのもあって、書けるっしょ、ということで」
R 「私も英語以外の言語でやってみたかったんですよ。カッコよくできたので聴いてほしいですね」

――アルバム本編のラストは「Hack up feat. 音武者」です。これは今までとは違ったタイプの曲になりました。
Y 「私たちのスタイリストさんが音武者さんのスタイリングをやっていらして。とある撮影でボーカルのYu-kiさんとご一緒する機会があって、ミクスチャーやりたいですよね、みたいなところからご縁ができて、実現したのがこの楽曲です」
R 「バンドとHiiT FACTORYを融合させるとなったときに、レイヴ・サウンドということでビッグビートの案が出て、コラボしてできた曲です。個人的にはTHE PRODIGYとかRAGE AGAINST THE MACHINEとかすごい好きだったので嬉しかったんです」
A 「私はうしろのほうでアラビアンなコーラスを歌っています」
R 「この曲でさらに幅が広がって、ここからまた広がっていくのが楽しみだなっていうのもありますし、今のHiiT FACTORYを体現するようなラップを書けたので、みなさんに思いが伝わったら嬉しい曲ですね」

――そして10曲目、11曲目にはそれぞれ「New Emotion」と「Fifth Element」のリミックスが収録されています。アナログのみに収録されていたトラックに、さらに手を加えられているんですよね。
Y 「BPMがちょっと上がっていたり、サンプラーの音も若干変わっていたりとか、アルバム仕様になっています。私はこのヴァージョンも好きで、マハラジャでDJさんにかけていただいたこともあります(笑)。流しても違和感なさそうだからということで」
R 「ヴァイナルでしか聴けなかったものが音源になるのがすごく嬉しいですね。いろんな人にもっと聴いてもらいたいな」
Y 「初めて聴くかたも多いと思うから、ノリノリになってもらいたいよね」

――駆け足でしたがアルバム全曲について触れてきました。仕上がりとしてはいかがでしょうか。
R 「自分たちでここまで試行錯誤しながら参加したのは初めての作品で、HiiT FACTORYがひとつ前に進み始めたこと、脱皮し始めていることを味わってほしいなと思います。ここからさらに変わっていくと思うので、私たちの新たな一歩を感じていただけたらなと思います」
Y 「『Manufactures 1995-2002』というタイトルは、HiiT FACTORYの人気曲をファン投票で決めて、それをベスト・アルバムにしようという架空のコンセプトなんです。私はそれをしっかりと表現できたアルバムなんじゃないかなって思ってます。 A・TさんのようなA面曲や、デビュー当時からお世話になっているTKサウンド、あとはハウスとかユーロみたいな楽曲だったりを幅広く捉えた作品になりました。ここから私たちの世界がどんどん広がっていく可能性を感じていただけたら嬉しいなって思っていますし、みなさんにいい意味で驚いてほしいなって思ってます」
A 「もう反応が気になりすぎます。これまでのどの作品とも違うので、これまで知ってくれているかたにも、新規のかたにも届いてほしいなと思っています」

――そしてなによりライヴに来てほしい、というところですよね。
A 「そこはもう絶対です!」
R 「私たち、不安で悶々としていますから(笑)」
Y 「よかったら遊びにきてください」

HiiT FACTORY | Photo ©山口こすも

HiiT FACTORY solo show "Anomaly Tour"HiiT FACTORY solo show
"Anomaly Tour"

| 2026年4月18日(土)
大阪 北堀江 ヒルズパン工場

開場 18:00 / 開演 18:30
4,800円(税込 / 別途ドリンク代)
https://hiit-factory.stores.jp/items/6996809ac67993481c002da3

| 2026年5月9日(土)
東京 渋谷 WOMB

開場 17:00 / 開演 18:00
4,800円(税込 / 別途ドリンク代)
https://hiit-factory.stores.jp/items/69968213444dc8499a01c41d

HiiT FACTORY 'Manufactures 1995-2002'■ 2026年4月15日(水)発売
HiiT FACTORY
『Manufactures 1995-2002』

RCHS-3528
https://lnk.to/hiitfactory_manufactures1995-2002

[収録曲]
01. Introduction
作詞・作曲 Reyuna
02. She doesn't mind ~彼女は問題ない~
作詞・作曲 m.c A・T
03. ミスティックダイアリー
作詞 Yuzuka, Reyuna | 作曲 Shinnosuke
04. Don't you want me?
作詞 ミラッキ | 作曲 石坂翔太
05. Move your body next to me
作詞 Reyuna | 作曲 東新レゾナント
06. Twilight
作詞 Reyuna | 作曲 東新レゾナント
07. Effluve
作詞 Yuzuka, Reyuna, PellyColo | 作曲 PellyColo
08. Aero state
作詞 Reyuna | 作曲 東新レゾナント
09. Hack up
作詞 YUKI, Reyuna | 作曲 音武者
10. New Emotion(Dub)
作詞 Reyuna | 作曲 東新レゾナント
11. Fifth Element (Euro Dance Mix)
作詞・作曲 PellyColo

℗©2026 YOSHIMOTO MUSIC CO.,LTD