Interview | IN THE SUN


座談 | Kim Pueru + LSTNGT + SHV + TIDEPOOL

 秩父出身のトライバル・エレクトロニック・デュオIN THE SUNが、現体制では初のフィジカル・リリースとなったフル・アルバム『Metaphor』を発売してから約2ヶ月。Björkのリミックスでも知られる米ボルティモアの重鎮デュオMATMOSと、世界各地の気鋭レーベルからハイペースにリリースを重ね確実にこれからの東京の電子音楽シーンの一翼を担うであろう若手プロデューサーT5UMUT5UMUによるリミックスを含む同作は、クラウトロックやニューエイジといった古典だけでなく、デコンストラクテッド・クラブ、ゴルジェといった10年代以降に登場した電子音楽の最先端まで、ありとあらゆる時代 / 場所で奏でられた音の記憶、それに関わってきた人々の営みがIN THE SUNというフィルターを通して集積した唯一無二の結晶とでも言うべき、末長く聴かれるだろう作品となっている。

 ジャンルや概念を並べたてて説明すればするほど、そんなちっぽけなカテゴライズをすり抜けて、さらに新しい側面の輝きに気付かせてくれるIN THE SUNの音世界をより深淵まで探索するため、Disciplineのクルーメイトであり、IN THE SUNとは全く違うアプローチで脱構築的な電子音楽を創造しているプロデューサー / DJ・LSTNGTをメインの訊き手役、リリース元「DISCIPLINE PRODUCTION」のオーナーである私SHV(以下 S)をオブザーバーに、これまたDisciplineのクルーメイトであり、IN THE SUNにサックス奏者として参加しているKim Pueru氏が営む東京・青山の名韓国料理店兼溜まり場「豚富」にて、IN THE SUN首謀者のTIDEPOOL(以下 T)、Pueru(以下 P)両名にインタビューを試みた。


進行 | LSTNGT
企画・文 | SHV (Discipline | KLONNS) | 2022年4月
写真 | 吉河千尋
取材協力 | 豚富

――まずはIN THE SUNの成り立ちについて。メンバー紹介とか、あとバンド編成時代のことを僕は聞いたことなかったので、簡単に教えてほしいです。
T 「今のメンバーは基本自分が中心でやっていて、あとKenta Suzukiさん(g, electronics)とPueruくんですね。メンバーは固定的にはしたくなくて、その時できるメンバーでライヴとか制作をするっていうテーマでやってます」

――でも高野(直紀)くん(TIDEPOOL)がいないってことはないよね。高野くんを中心とした、流動的な感じで。
T 「そうですね」

――バンド名の由来は?
T 「HOLIDAY IN THE SUNっていうハードコア・パンクっぽいバンドを3人組でやっていて、メンバーが1人抜けて2人になって、じゃあバンド名どうするか?ってなったときに、ちょっと文字を減らしたっていう」

――それはKentaさんと?別の人?
T 「中学の友達ですね」
S 「最初にIN THE SUNを観たの、2013、4年くらいなんですけど」

――どこで観たの?
S 「記憶にあるのは秩父です」

――あ、そういうところに行くシーンがあったんですか?秩父シーンが。
S 「俺が観たのは“秩父4D”かな。秩父でアンダーグラウンドのフェスみたいなのがあって。で、そのときは普通に高野くんはドラムで、アナログ・シンセとギターの3人。たぶんみんな同い歳くらいの人ですよね?」
T 「そうです」

――そのときはハードコア・パンクとかノイズみたいな?
S 「俺のイメージではTHIS HEATとか。あと、もう少し最近のだとFACTORY FLOORとか感じましたね。ダンス・ミュージックをバンドでやっているみたいな」

――めちゃくちゃ最高ですね。なるほど。
T 「そんな感じですね。その頃のメンバーとの話によく出ていたのはTHIS HEATでしたね。実際THIS HEATのパクリみたいなステッカー作っていました。あとはCANとかDAF、NEU!とかみんな好きで。今でも好きです」

――今もIN THE SUNのアカウントとかに使われているロゴ、書体が特殊な感じですけど、何か意味があったりするんですか?
S 「あれ誰が作ったんですか?」
T 「あれはKentaさんが作ってくれて」

――何体っていうのかわからないけど、アラビアっぽい書体にしている理由があるのかな?って。
T 「特に意味とかはないですね……。音楽的にそういうのが好きだから、たぶんそういうことになっていくんだろうな、っていう気はします」
S 「Kentaさんが入ったのはいつでしたっけ?」
T 「たぶん2015年。SHVくんが観たちょっと後くらい」
S 「(KLONNSの)前身バンドで大阪で対バンしたときは、もうKentaさんでしたよね」
T 「その頃SHVくんと喋ったことなかったですよね。ずっと認識はしていたけど」
S 「Twitterとかでは繋がってましたよね」

――でもそういうコミュニティがあったんですね、その頃。
S 「どうだろう……。というか同世代がそもそもそんなにいなかったですもんね」

――始まりがクラブ・ミュージックではなかったということですよね。
T 「そうですね」
S 「ポストパンクとクラウトロックってクラブ・ミュージックの元祖的なとこあるじゃないすか?」

――プレテクノみたいなね。
S 「電子音楽っていうよりは、プレ電子音楽みたいなところを目指していたのかな?って思っていました」

――聞いてると、最初の頃からそういう意識があったということは、高野くんがドラムを始めたきっかけもそういうことになるんですか?
T 「IN THE SUNに関してはそんな感じですかね。本当に最初にドラムを始めたきっかけは青春パンクとかになっちゃうんですけど(笑)」
S 「機械的なドラムっていうか、同じパターンを反復する感じは当時からありましたよね」
T 「今も意外と、クラウトロックとかはずっと意識してますね。剤電さん(鏡, KLONNS, XIAN)が(『Metaphor』について)“プログレみたい”って感想をくれて、めちゃくちゃ嬉しかったです。今回の音源を作る前に、自分なりのプログレっぽいのを作ろうと思っていたので。全然プログレ詳しくないですけど」

(Pueruがエビ料理を持って登場)

P 「4つ打ちとかそういう風にしたくないって言ってたもんね」
S 「剤電さんが言ってたのは、最近のART ZOYDって全然良くないらしいんですけど(笑)、そのすごく上手くいった版みたいなことを言ってましたね」

――ART ZOYDっていうバンドがいるの?
S 「ART ZOYDはフランスのチェンバーロック / プログレのバンドですね」

――若干脱線するけど、チェンバーロックってどういうことを言うの?
S 「チェンバーロックっていうのは、ざっくり言うと室内楽っぽい編成のプログレッシヴ・ロックっていうイメージですかね。UNIVERS ZEROとかZNRとか……」

――なるほど!最近僕が好きなアーティストで、Slikbackとかと一緒にやっているEschaとYtemっていう人がいるんだけど、彼らが“Chamber Version”っていうエディットの曲を出していて、めちゃ好きなんすよ。脱線しましたが、そういう経緯があってIN THE SUNの曲を作ったり、テーマができたりしてるっていうわけですね。それで、『Metaphor』の前にもKeigo Kurematsuくんのジャケットでデジタル音源とかも出したりしてると思うんですけど、フィジカルで出すのはIN THE SUNとして初めてですよね?
T 「現体制では初めてですね」
S 「バンド時代のCDがありますよね。俺は持ってます」

――今作は『Metaphor』っていうタイトルとかも含めて、作曲に統一感があると思うんすけど、意図というかコンセプトみたいなのってあります?
T 「統一感があるっていうのは嬉しいです。今回はあえていろんなタイプの曲を作ったので。理由としては、今後活動していく上でいろんなことができるようにしたかったんです。ジャンルを定めたくないというか。でも最終的にまとまるように考えていたので、統一感があるって言われてすごく嬉しいです」

――『Metaphor』を初めて聴かせてもらったときに思ったのが、そのちょうど半年くらい前に2人編成でのライヴのときにやっていた曲だったんですよ。以前のIN THE SUNの曲とちょっと変わったな、って思って。前はけっこうビートが早くて、もっとアグレッシヴな感じがあったのに、めちゃくちゃサックスを生かしてメロウな感じもあったり、けっこうシネマティックなサウンドに振り切っていたから、急に変わったと思って。そのライヴ動画を僕がインスタに上げたときにTeam RockitのGregorianがめっちゃ反応してきて。僕としてもそのライヴがめちゃくちゃ良くて最高だな、って思っていて、それがこの『Metaphor』になっていたから、とんでもないものができてしまったと思って。だからけっこう、僕としては統一感を感じたっていう。
T 「嬉しいっす……。たぶん、時代的にはまとめたほうがわかりやすくていいんだろうな、と思ったんですけど、そこはあえてやらないっていうところですかね。飽き性なので、飽きないための工夫というか……(笑)」
S 「ひとつのジャンルで簡単に語れる感じはないですよね。IN THE SUN節みたいなものはあると思いますけど」
T 「IN THE SUNはライヴを中心に考えていて、タムを使うという前提があるので、タムを使える曲であればどんなジャンルの曲でもやっていいんじゃないか?っていうのはあるっすね。そうすればまとまるんじゃないか、っていうのはあります」

――たしかにたしかに。ライブの構成もし易いし。
S 「そういう意味ではゴルジェの概念と通ずるところはあるんですね。ゴルジェってタムを使うっていうルールがありますよね?」

――それ、Kazuki Kogaさんのインタビューとかでも言ってた気がする。
T 「ゴルジェに関しては正直意識してなかったです」
S 「意図せず合流したってことですよね?それはおもしろいな、って思いました」

――その話でいうと、今作を出したときに北海道のIndus Bonzeさんが反応してて、そこでゴルジェ界隈との接点が生まれて。で、同時期にKazuki Kogaさんも新作をworld’s end girlfriendさん主宰の「Virgin Babylon Records」からリリースして、東京にもライヴで来ていて観たんですけど、やっぱり通ずるものがあるんですよね。ゴルジェはたぶんタムとか、そういうゴツゴツしたテクスチャで攻めていく感じがあるんですけど、同時にものすごいアニミズムっぽい、山岳信仰とか民族的なものをかなりモチーフにしてるところがあって、音もそうなんだけど、どっちかっていうとそういう部分での結びつきがかなり強いのかな?って。
T 「ゴルジェの人が食いついてくれてたのは、今回マスタリングをしてくれた大城 真さん(BasicFunction | 夏の大△)が以前Twitterで“IN THE SUNがニューゴルジェを開拓してるからチェックした方が良いぞ。”ってつぶやいてくれたのがけっこう広がって。それがあって今回もチェックしてくれたのだと思います。ゴルジェは全然意図していなかったんですけど……(笑)」

――なるほどなるほど。今けっこう、海外から見た日本とか、クラブ・ミュージックのテクスチャにしても、日本の伝統音楽的な質感が増えている気がして。しかもそれがニューエイジ文脈だったり、アンビエント文脈と結びついて、日本のオブスキュア的なかたちになったりしているんだと思う。高野くんはそういう部分に対しては、意識的だったりしますか?
T 「前作の『CAMOUFLAGE』のときはすごく意識していたんですけど、次回作を作るにあたって同じことはしたくなくて。今でもそういう音楽は好きで影響されているんですけど、今回はもう少し違ったアプローチにしたかった。実際の楽器は使わずシンセで近い音を作るとか、日本的な楽器は使うけど、違う雰囲気のメロディに乗せるとか。ざっくりいうと無国籍な雰囲気の曲が作れるようになるのが目標ですかね……。まあ、飽き性なんで、いろんなことをやりたいんですよ(笑)」

――たしかにそうですね。それこそIN THE SUNのロゴのフォントにしても、アラビックなんだけど英語だし、無国籍っていう感じは多分にあって。今やれることをやったっていうのを含めても、コンセプチュアルになっちゃってるけど、変な意味で狙ってないっていう、ナチュラルボーンでこれが出来たっていうこと伝えたいな、って思ったんすよ。それはやっぱり高野くんの内面的な部分が影響しているんじゃないかな。人柄もそうだし。TIDEPOOLとしてDisciplineにミックスを提供したと思うんですけど、そのミックスの最後に細野晴臣「プリオシン海岸」が入っていて、感動と共にえらく納得してしまって。僕の中では。これが高野くんを形成してる何かなのかな?って。しかもこのミックスって、アンビエントっぽい曲もあるけど、テクノの曲も入ってるじゃん?それがけっこうおもしろくて。あのミックスについてもちょっと教えて欲しいです。

T 「あのミックスは、けっこう自分のバックグラウンド出ているかもしれない。普段から固定のジャンルで音楽は聴かないし、そういうのがミックスに出たのかな。自分の性格的にいろんなことをやりたがるってのはあるかもしれない……(笑)。それと、“こういうジャンルの曲を揃えました”とかは正直自分がミックスやる上ではあまり面白くなくて。テーマ性のあるユニットだったら、テーマに合った曲を集めるんですけど」

――高野くんが音楽を聴くときにもそういう感覚で聴いてるのかな?って気になっていて。このミックス以外にも、DJしているときの感じもすごくおもしろくて、めちゃくちゃ最近のテクノとかもかけるんだけど、思考がかなりフラットというか。僕はけっこう、“このレーベル”とか“このアーティスト”とか、ラベリングで聴いちゃうんですけど、高野くんにはそれがなくて。ないからこそ、いろんなものを楽しめて聴けるDJだったから、そういう感覚がもともとあるんだろうな、って。
T 「単純に、知らないってのもあるかもしれないですけど(笑)」

――普段、音楽をどういうふうに知ったり、聴いたりしてるの?
T 「だいたい紹介だったり、ネット、SNSも多いですし、あとレコ屋のレビューとかを見て」

――どこのレコ屋?
T 「一番見ているのは京都のMeditationsとか」

――なるほど。そんなテクノ中心じゃないもんね。
T 「そうですね。正直、テクノを普段すごく聴いてるっていうことはないかもしれない。聴いてるときもありますけど。ナチュラルな状態で聴いてるのはニューエイジとかアンビエントとかなのかな。あとはミニマル……」

――最近何か好きなものとかありますか?
T 「本当にYMO周辺ばっかり聴いてる……(笑)。詳しくはないですけど」
P 「半年くらい前はCAN聴いてなかったっけ?」
T 「あ、CANも個人的に再ブームが起きて聴いてましたね。今こそ参考になる気もして!やっぱこの辺はずっと好きなんですよね……。『Flow Motion』(1976)と『Soon Over Babaulma』(1974)が好きです」

――たしかにこの曲はIN THE SUNのルーツっぽい感じがあるっすね。
T 「あと最近すごく聴いたのは『風の谷のナウシカ』(1984, 宮崎 駿監督)のイメージ・アルバムっすね」

――あ、本編の劇伴じゃないやつね。イメージ・アルバム全部出してるもんね、ジブリ。
S 「そのシリーズ、正月にSOILED HATEのO.Tatakauがうちに遊びに来たときに持って来てた気がするな(笑)」
T 「坂本龍一の“commmons: schola”で鈴木敏夫がゲストの会だったかな?そのときに、イメージ・アルバムのほうは久石 譲が“まず自分の好きなように作ってください”って言われて作ったのがあれで、その後にオーケストレーションした、という話をしていて。久石 譲のナチュラルはここなんじゃないか?って思って。“Metaphor”っていう曲は完全に意識しました。Pueruにもサックスを入れてもらうときにイメージ・アルバムの話をした気がしますね。久石 譲は『あの夏、いちばん静かな海。』(1991, 北野 武監督)の曲も好きですね。あとルーツで言うとPhilip GlassとかSteve Reichはよく聴いちゃいます。今日もReich聴いて来ましたけど。ああいうメロディの重ねかたみたいなの、憧れるっすね。ナウシカのイメージ・アルバムはベースの感じとかをめちゃくちゃ意識しています」

P 「いつも車の中でかかってた気がする」

――ちょっと脱線しちゃうけど、今って(音色が)プリセットっぽい曲が多くなった気がしていて。僕もそういう音像を求めていて、あえてDAWのソフトシンセのプリセットの音を強めに前に出すみたいなミックスをすると、今っぽく聞こえるみたいな感じがある。僕の場合はCroatian Amorとかがナチュラルでそういうことをやり始めたから。『Love Means Taking Action』のピアノみたいな。このイメージ・アルバムは、その源流として聴くと興味深いね。

S 「音がロウなほうが想像力の介入する余地がある気がしますね」

――Croatian Amorもそんなんだけど、Elysia Cramptonとか。FMシンセっぽいのをバカテクで弾く、みたいな。Fire Toolzもそうなんだけど。そうするとFMっぽい音源でもめちゃくちゃ新しいものに聴こえたり。フュージョン・メタルみたいな。IN THE SUNの曲作りは、高野くんがメインで1度作ってからメンバーに聴かせたりする感じ?
T 「基本はそうですね。曲としてある程度かたちにしてからKentaさんに音を入れてもらってます。返って来たやつを自分がまたエディットし直すっていう感じですかね。ひとりで全部作るときもありますし、Kentaさんが送ってくれたビートを基に作ることもあります」

――KentaさんもStudio Oneでやってるの?
T 「KentaさんはAbleton Liveでやってます」

――じゃあステムで渡してるの?
T 「そうです。基本、オーディオのみでのやりとりです」

――けっこう、今回のアルバムはPueruさんの存在が大きい気がして。Pueruさんのレコーディングとかアレンジはどんな感じなんですか?
P 「事前に聴かせてもらって、あとはもうスタジオで一発ってことが多いかな」
T 「それを自分がエディットして。(サックスの)入りとかは決めたりしましたよね?」
P 「うん」
T 「たぶん“Metaphor”とかは“後半は頭のちょい前から入ってください”とか」
P 「あと“繰り返しっぽいフレーズがいい”とか」
T 「そうですね。そういう感じで何回も録ったりして」

――スタジオで録ってる?
T 「そうですね。秩父のSTUDIO JOYっていうところですね。昔からの知り合いで」

――Pueruさんが遊びに行ったときとかに録ってるんだ。じゃあメイド・イン・秩父っていうか、埼玉の奥地で製造された音源なんですね(笑)。
P 「あそこのスタジオ、夕焼けがやばいんだよね。山があって、そんなに栄えてる感じでもない街があって、夕焼けがでっかいく降りてくる感じは、なんかディストピアじゃないけど(笑)」
T 「サックスに関しては、自分が考えたメロディを吹いたりっていうのもありましたね。KentaさんとPueruくんにいろいろやってもらって、それを素材に自分が曲を構築しています。2人とも自分とは違う視点で音を入れてくれるので助かります。新しいアイディアも湧きますし……!素材をたくさんいただけるのはありがたい(笑)」

IN THE SUN | Photo ©吉河千尋

――なるほど。『Metaphor』はそういうやりとりを含めて制作期間はどれくらいかかったんでしょうか?
T 「半年ぐらいでやったんじゃないかな?」
P 「コンスタントに曲はずっと作ってるよね」

――曲作りとか、どういうときにやってるんですか?
T 「電車の中」

――あ!そうなんだ!
T 「KORGのGadget。あれでMIDI打ってデモを作るんですよ」

――なるほど。いや、僕めっちゃ疑問だったんですよ。高野くん、東京に働きに出るじゃん。距離あるじゃん。帰る時間長いじゃん。それでさ、土日もけっこう、めっちゃ飲んでるじゃん(笑)。この人いつ曲作ってるんだろう?って思うわりにはめっちゃ量が多くできるから。
T 「スマホでMIDI打ち込めるんだ、ってわかってから急に曲がめちゃくちゃできるようになりました」

――じゃあもうスマホでやってるんだ。
T 「電車でMIDIを打ち込んで、家に帰って酒を飲みながらシンセをいじるパターンですね……(笑)。電車の時間が長いんで、作るのにちょうどいいんですよね」

――なるほど。最近は僕の周りでもけっこうそういう人がいる気がするな。
T 「むしろPCより操作性がいいから、MIDI打ち込むのがめっちゃ楽です。ヴェロシティとかPCでカチカチやってんの超嫌になるんで(笑)」

――それけっこう意外。僕は逆にこれ(スマホ)だと全然出来なくて。でも使ってみようかなと思いました(笑)。
S 「俺の場合は、家でPCに向かうと全然できないですね。歩いてるときとかが一番曲を思いつく」
T 「歩いてる時は思考力が活性化されますもんね」
S 「KLONNSの曲は全部歩きながら作ってますね、楽器に触ると何もアイディアが出てこなくなるから。全部頭の中で組み立ててからデモ音源をDAWで作る。それをメンバーに具現化してもらってます」
T 「自分も一緒ですね。PCの前だと思い浮かばない。一度ある程度の素材を作って、それを膨らますかたちじゃないと、全然はかどらないですね。PCで一から作ったことはないです」

――それ聞いて安心しました。今3ヶ月くらい家で作業を続けてるんだけど、何もできない(笑)。たしかに仕事行って、11:30くらいに一番いいアイディアが浮かんで、もう帰って曲作りたいって思うんだけど、終わる頃には忘れてる。
P 「打ち込もうと思ったときには、すでに削ぎ落とされてるものとかもあるしね。それって悲しいよね。どこに行っちゃうんだろうね。俺だいたい(浮かんだ曲などを)口でやるんだけど(笑)」
S 「俺、iPhoneのシンセで弾いて画面収録で残してます(笑)。イヤフォン繋いでおけばどこでもできるし」

――単純に僕は曲作りが遅いので。KLONNSもIN THE SUNも早いからさ。Pueruさんもいっぱいいろんな活動をやってるし、すごいなーと思って。そのわりにはみんなめっちゃ飲みに行ってるから、「よくやってるな、みんな」って思ったんだけど、そういうこともあるわけなんですね。
T 「あと細野晴臣さんがラジオで、『銀河鉄道の夜』(1985, 杉井ギサブロー監督)の劇伴を作ったときは適当にまずMIDIを打ち込んで、そこからコードをどんどん積んでいくやりかたをした、って言っていて。スマホだとそのやりかた、すごくフィットしていると思う。現に適当に打ち込んだのを無理やり形にするパターンとかも多いですね。電車で適当に打ち込んで“あ、これいいじゃん”みたいな」

T 「この曲、めっちゃ悲しくなっちゃうな。映画を思い出しちゃう(笑)」

――「プリオシン海岸」がDiscipline Mixに入っていたときに、ようやく全ての合点がいった気がしたんです。「高野くんだわー」って(笑)。単純に『銀河鉄道の夜』のイメージが、小学校のときにみんなで観たイメージと繋がっちゃって、完全に地元のこととか思い出しちゃう。
T 「自分は『銀河鉄道の夜』観たの、わりと最近なんですけど、同じこと思ったっす。秩父のこととか。小学校の頃の記憶とか」

――曲作りのことは聞けたんで、次にライヴのことなんですけど、DISCIPLINE PRODUCTIONのYouTubeアカウントに上がってるライヴ動画がKentaさんの照明の演出でやってると思うんですけど、照明の演出がめっちゃすごくて。IN THE SUNっていうとあれ思い浮かべるんですけど、あれはどういう経緯が?
T 「照明については、もともとKentaさんがヴィジュアル的なこともやりたいって言っていて。でも映像投影みたいなのはやめたいよね、っていうのが2人の間であったんですよね。ライヴ前のセッティング作業が大変そうで。あと、セッティングとか機材にこだわるようなことはしたくないっていうか。どんな場所でも気軽にできたら、っていうのがあって。となると、単焦点のプロジェクターをステージの上に置いて、映像と照明の両方を兼ね備えたようなかたちだったら、プロジェクターをステージに置くだけだから手間もかからず、ヴィジュアル的にもいいんじゃないか?っていうことで始めたっすね」

――あ、あれは単焦点のプロジェクターなんすね、照明じゃなくて。
T 「映像投影だと機材の力や映像を作る技術も必要になる。もともと自分たちにはそんな技術も財力もないですし。そういう方向に行っちゃうと勝てない……(笑)。それは音楽を作る上でもそうで、できる限りアイディアで違うことをやる、っていうのもありますね」

――照明はケンタさんの方で制御してやってるんですよね?
T 「そうですね。映像ソフトで音と同期させるパターンもあるし。毎回考えながらやってますね。もうちょっと進化できるんじゃないか?っていう話をしていて。実験中です」

――なるほど。最近Kentaさんがいないから、やれていなかったりするじゃないですか。また5月くらいから一緒に?
T 「そうですね。5月から」

――じゃあ5月3日のレコ発小岩編では新しいイメージのIN THE SUNが観られそうな感じですかね。楽しみです。
T 「IN THE SUNはアイディア勝負なんだと思います。現状でいかに違ったことをやるか、みたいな。この機材がないとライヴができない、曲が作れない、みたいな方向にはできる限り行かないようにと考えています。今後いろんな技術が発展していくと思うんで、VJもそうですけど、どんどん簡単になっていくと思うんですよね。そうなったときに、アイディアが強みになっていくと思う。オリジナリティがある人はどんな機材を使ってもオリジナリティが出るんじゃないかな。目標ですね」

――最初からそこには乗らないってことですよね。そういう考えかたもあるんだね、おもしろいっす。
T 「自分はそれ、強いっすね」

――なんでだろう?
T 「もともと勉強してきた人に勝てないっていうのはあるかな(笑)。ソフトも発達していくし、最先端にはついていけない」

――自分の中のアイデアで勝負したい?
T 「そうですね」

――なるほど。高野くん自身の方向性が、そういう意味ではIN THE SUNにも出てる。曲にしても、やりかたにしても。
T 「時代遅れっぽく聞こえるかもしれないですけど」

――いや、そんなことないんじゃない?むしろ、確実にそうなるっていう未来を想定した上で、自分たちがやれることを探しているっていうことじゃないですか。そのレールに乗らずに自分の遊び場を作ろうとしてるっていうことだから。あくまでそこは肯定しつつ、自分のフィールドを耕そうとしてる。
T 「そう言ってもらえると嬉しいです。でも単純に自分が付いていけないからそうしてるって感じですかね。クラブ・ミュージックとかのスピード感にもついていけない。新しいジャンルとか、言葉もスピード感すごいですよね。そういうシーンもめちゃめちゃ尊敬してるし、憧れてるけど、ついていけないからそういう考えになるっていう感じですかね」

IN THE SUN | Photo ©吉河千尋

――そうなんだね。やっぱり高野くんの良さってそういうとこだから、もちろん聴くには聴くし、新しいものも好きだと思うんだけど、そういう部分じゃないところも、たぶん温かさみたいなのを大事にしている人柄が出ているし、そこが魅力に繋がっているのかな?っていうのがあると思います。ちょっと話がごちゃごちゃしちゃったけど、Disciplineって時代性に対して微妙な距離感だったりバランスを取っている人の集まりだと思うんですよ。例えば、みんながどんどん最先端を求めていったら高野くんはたぶん、嫌になっちゃうと思うし、そうじゃない微妙な価値観の中での共存みたいなところがあると思うんで。
T 「みんな時代性を意識しつつも、あまり気にしていないですよね」

――そうだね、たぶん好きなものがそれぞれにあって。だから別に、皆の興味が全員一致するわけではないと思うから。こういう意識があって、こういう場を作って、こういう技術で、っていう考えかたもあると思うんだけど、それぞれの人間性を出したままいられる場所みたいな、変に作らなくても滞在できる場所みたいな感じにはなってるかな?って。Disciplineのブッキングとかもね、今SHVくんがメインでやっていて、それこそ最先端な人もたくさん出てるけど、たぶんそこだけに陥らないようにしていたりするじゃないですか。
S 「そもそも“最先端”って何なんだろう?って思うこともありますけどね。ものすごいスピードで移ろいゆくトレンドを追いかけることもおもしろいんですけど、自分が元々持っている、一番信じているものってあるじゃないすか。自分の場合はハードコア・パンクですけど。アンテナは張りつつも、自分は自分って言う感じです。自分の手綱は常に自分で握っている状態で。トレンドやムーヴメントだけが全てじゃなくて、その裏側にも確実にいろいろなことが多様に存在しているわけじゃないですか。Disciplineはあくまでプロデューサーっていうか、曲を作っている人の集団だし、流行に合わせてコロコロ変えるのって、難しいし、必ずしも良いとは限らないって思うんですね。ある種の普遍性みたいな領域に達したいというか、クラシックを目指したいっていう気持ちはありますね」
T 「自分も普遍性はめちゃくちゃ最初からテーマにしてます。初めてNEU!とかCANとかを聴いたときに全然古い音楽って思わなかったんですよね。いつの時代の音楽かわからなかったというか。そういう感覚はいまだにあります。そういう音楽が好きです。Philip Glassとかもそうです。“この時代にこういうのがあったよね”っていうおもしろさもあるんですけど、自分はそこじゃないところを、というか。ハードコア・パンクも、初めて聴いたときに普遍的に感じました」
S 「トレンドはありつつも脈々と続いている歴史というか、クラシックは大切にされてるジャンルですね」

――今あるムーヴメントとかを否定したいわけでは全然ないし、そういうのがないと僕ら(みたいな音楽)もないと思うしね。そういう感覚を持った人がDisciplineには多いのかなっていう印象はあったりはしますね。でもおもしろいね。ハードコア・パンクをやってるSHVくんにしても、普遍性を求めている高野くんにしても、曲の作りかたはすごく現代のテクノロジーを使っているというか、その部分には変なこだわりはないんだよね。そういう技術的な革新に変に嫌悪感を示してるわけじゃなくて、もうちょっと違う話ってことだよね、たぶん。
S 「そういうのは思考停止ですよね。最先端であることと、ある意味保守的であることは別に両立できると思うんです」

――僕も、結局そういうところがあって。新しいものも古いものも、全部自分にとっては並列というか、その中で自分がおもしろいものを見つけられたら別にいいし、変に人と同じようなことをしなきゃいけないっていう不安を持ちたくないっていうか。特に今、個の時代と言われてるにも関わらず、結局フィルターバブルによって、みんな同じ方向を向いている感じができちゃってるから、見えなくなっているものがどんどん増えていると思うんですよ。だから、そういう意味でも僕はIN THE SUNの曲だったり、やりかただったり、高野くんのヴィジョンっていうのがものすごい、ある種の希望みたいに見えているっていうのがあって、そういう意味ではジャンルレスな感じとか、けっこう救われるんですよね。前に高野くんが僕のライヴを観てくれて、LSTNGTの曲のキックはクラブのキックじゃないって言ってくれたときも、本当は綺麗な音圧の出る曲を作りたいんだけど、できないんだよね。でも、それでもいいのかなって。もちろん技術的に足りないところをどうにかする必要はあるけど、よくわからなくなっちゃったものが出来上がってることに対して意識を持ったほうがいい、って思って。ついこの間もリリースされたCroatian Amorの新譜を聴いて思ったのが、改めてレコーディング、ミックスの良さとかそういうのじゃなくて、そもそも自分たちは何を表現したくて音楽をやっているのか?みたいなことのほうが重要というか、結局そこがないと続けられないし、やっていく意味もないって思っていて。そういう意味で『Metaphor』はすごく開けたアルバムというか。TzusingとかSlikbackとかのミックスに入ってもおかしくないような曲にもなってるし、なんならT5UMUT5UMUさんのリミックスとかは、そこにも対応できるクラブ仕様なものにエディットされてるから、そういう考えかたでも聴けるっていうのを、カセットテープでパッケージングできたような気がしていたんですよ。クラブ・ライクなシーンにもすごい刺激を与える内容になってるんじゃないかな。だからこそ“源泉”っぽい感じっていうか。たぶんさっきジブリのイメージ・アルバムを聴いて、高野くんの頭の中もそうだと思うんですけど、“源泉”を求めているし、自分も紡ぎだそうとしている気がするっていうのが伝わってきて、そういう意味ではMATMOSとT5UMUT5UMUさんのリミックスが入っていて良かったと思います。現代のダンス・ミュージックのテクスチャへのアプローチや親和性の高さも表現できてる。
S 「MATMOSがリミックスしてくれたの、けっこう感動しました。だって俺、高校生の頃、TSUTAYAで(MATMOSの)CD借りてましたもん(笑)。2019年に高野くんに誘ってもらってKLONNSで神楽音でのMATMOS来日公演に出させてもらったりとかもありましたけど、そういう流れの上で実現したのもよかったです。脈絡もなくオファーしたわけじゃないので」
T 「Drew(Daniel | MATMOS)がKLONNSのシャツ買ってましたもんね(笑)。彼は日本のハードコア・パンクとか超好きで。EARTHDOMで感動してましたもん。“あのサインがある!”って(笑)」
S 「そういう彼のバックグラウンドも知れてよかったです」

IN THE SUN | Photo ©吉河千尋

――今、なかなか海外のアーティストも行き来し辛いけど、そういう交流があるとまた変わるっすよね。
T 「さっき小峰さん(LSTNGT)がクラブ・シーンに刺激をあたえる作品になるんじゃないか?って言ってくれましたけど、今回の音源はクラブシーンには受けないだろうと思ってました。正直、DJで使えるような曲じゃないな、って」

――でも難しいっすよね、ライヴアクトとしての電子音楽を作るって。機能性を重視した音楽を作るか、そうじゃないかっていうのが、自分の中でけっこうわからなくて。機能性を重視した音楽にすると、あまり自分が作りたいものじゃなくなっちゃう。クラブ・ミュージックに親和性のあるライヴアクトの難しさみたいなものってけっこうある。よく高野くんと話す内容がそういう話だったから。例えば、今はめちゃくちゃクラブ・ライクなテクノのアーティストとかがライブをやったりしているわけじゃないじゃないですか。
S 「むしろそのほうが多いですよね」

――要は、ライヴをするアクトとしてのエレクトロニックの概念みたいなものが徐々に変化してきている気がするんです。高野くんはライヴでやることも想定してタムを入れたりっていうのをあえてテーマにして作品をまとめたり、キーとして使ったりするけど。ものすごく難しいことをしていると思って。
T 「エレクトロニックな音楽は元々ライヴを意識していないことが多いですよね。一昨年くらいかな、Surgeonのライヴに関してのインタビューがすごく良くて。音源と同じライヴをやることは、時につまらないことがある、みたいな話をしていて。自分が悩んでいたり、考えてることがすごく腑に落ちたんですよね。パフォーマンスに対しての意識というか」
P 「身体性の話とかじゃなかったっけ?」
T 「今は詳しく思い出せないんですけど。やっぱり作り手からすると、音源と同じようにやりたくなるじゃないですか。すげえ気持ちはわかるんですけど、そのインタビューを読んで、ライヴでのミスも含めてライヴ性なのかな?と思ったんですよね。誰がやっても同じようなライヴじゃ実際つまらないですしね……(笑)」

――でも90~00年代くらいまではライヴアクトとしてのテクノ・アーティストってけっこういたし、意識としてそういうのがあったけど、今って基本的にないし、なんなら海外のアーティストが来るときに機材持って来られない問題がけっこうあったりして。ライヴじゃなくてDJでっていうパターンが日本に来る人は多かったから。あとはMac1台とかね。ライヴアクトっていうもの自体の考えかたの違いみたいなのがけっこう、エレクトロニックのミュージック・シーンである気がして。高野くんはそこにも意識を持ってるのかなって思うんです。
T 「それはかなりあるかもしれないです」

(TIDEPOOLがSteve Reich「2×5」を流し始める)

――あとIN THE SUNの今後の展望や告知とかあれば聞いておきたいです。
T 「今年中に何回か音源を出したいですね。シングルをデジタルのみで、とか。Pueruくんとの共作とかもあるんですけど、IN THE SUNとして出してもいいかも」
S 「あと5月3日(水・祝)に『Metaphor』のリリース・パーティ小岩編をBUSHBASHで、7月23日(土)深夜に延期になっていたリリース・パーティ下北沢編のリヴェンジをSPREADでやります。BUSHBASHのほうはでライヴアクトを中心としたデイ・イベント、SPREADのほうはナイトの時間帯でワールドだったりトライバルな質感のある電子音楽のパーティの中にIN THE SUNを組み込むという趣旨で組みました。どちらも違った素晴らしい体験ができると思うのでぜひ両方足を運んでいただけると嬉しいです!」

(TIDEPOOLが坂本龍一「SELF PORTRAIT」をかけ始める)

――一貫してるね、高野くんの趣味は。
T 「あと普段は何聴いてるかな。Nyege Nyege Tapesとかは衝撃的でしたけどね」

――その辺との親和性は強いと思うんだけどね。あとTzusingの名前とか出したけど、こないだのリミックス・アルバムがすごく良くて。勝手な妄想だけど、あれにIN THE SUNが入っていてほしかったな、って。
T 「SVBKVLTもBPMに捉われてない感があってすごくいいですよね。Nyege Nyege Tapesとかもそうで」

――機能性以外の要素が重要視されてる。
T 「もはやクラブミュージックの枠を超えてる感があるっていうか」
S 「BPMに捉われていないからこそ、すごく有機的なダンス・ミュージックになっているのかもしれないですね」

――Tzusingのリミックスアルバムの話だけど、人選は多岐に渡ってて、それぞれの参加ミュージシャンの曲調のBPMになってるから全員バラバラで。それこそ(Tzusingのリミックス・アルバムに参加している)Tera Octeとかは、元々自分たちでデュッセル・コアっていうのを謳ってて、それが要はトランスのスクリューのBPMで、102ぐらいなんですけど。本当に多岐にわたっておもしろすぎるっていうか。Slikbackも入ってたし。
T 「Slikbackは両方のレーベルを横断してますよね」

――Slikbackってコラボアルバムを常に出してて、ついこないだの作品ではKΣITOさん入ってたよね。多分KΣITOさんって、ある意味ではその辺と一番親和性が高い人だよね。日本のaraabMUZIKだと勝手に思ってます(笑)。
T 「三宅 純もよく聴きますね」
P 「“こういうニュアンスのサックスって吹ける?”って送ってきたもんね」

T 「三宅 純のラジオを聞いていたら、彼はMiles Davisを崇拝していて、NYに住んでいたときに初めてMilesのライヴを観たら、昔やっていたのと同じことをやっていてジャズにショックを受けた、って話があって。ジャスは常に新しいことをやるっていう。そういう考えかたは好きです。伝統芸能っぽくなっちゃったり、方法論が見えちゃうと嫌なんですよね。ひとつ言おうと思ってたことがあって、IN THE SUNを聴いてくれた人が“これどうやって作ってんだろう”って思ってほしくて。それが目標ですね。そういうふうに聴いてもらえないかな?って」

――それはテクニカルに?それともアイディア?
T 「両方ですね」
S 「めっちゃわかるっす。KLONNSの曲もそういう意識で作ってます。自分たちの場合はハードコア・パンクっていうカテゴリからは絶対に外れないけど、“何がどうなってこうなった?”って部分がないとつまらない。滲み出てくるその人の個人史だったり、ある種の誤解やエラーみたいなものが音楽をおもしろくすると思っていて。最近、音楽のレビューとかで“FFO(= For Fans Of)”で語られる場面って多くて、もちろんそれも必要な情報だし、指標としてすごくわかりやすいんだけど、FFOで捉えきれない部分を大事にしたい」

――僕も絵を描くようなイメージで曲を作ってるから、変な話、鉛筆で書いてるときに、ちょっと指で押したりゴシゴシしたりするじゃないですか?僕は基本的にそういうイメージで作っていて。ゴシゴシしないままでは出せないんだけど、最近は逆にあえてゴシゴシしないまま出してみたらどうなんだろう?とかも考え始めて。僕にとってのゴシゴシはディレイとリヴァーブなんですけど。たしかに「これ何なんだろう?」みたいな、その人特有の何か、垢みたいなのが見えると震えますよね。
T 「今って昔より気軽に音楽が作れるようになっているので、そういう意識は大事だと思う」

――今度IN THE SUNが共演するTasho Ishiさんのインタビューで「すごく面倒くさいことをやっている」的なことをって言っていたけど、すごくおもしろいと思って。あのかたもやっぱりかなりの意識を持ってやっている感じがあるけど、それって伝わり辛いんだろうな。作っている側の意識の問題で、たぶん傍から見たらエゴで、見えていないんだから存在しないのと同じ、って言い切ることもできるんだけど、やる側としてはたぶんそれがないと必然性がなくなっちゃうっていうか、AIが作ったものと同じになっちゃうから、その辺の葛藤みたいなものがエレクトロニック・ミュージックをやっている人にはあって、それをナチュラルに無視できてどんどんやれる人もいれば、一定の距離を保ちつつ自分の考えを擦り合わせる人もいて、その速度感みたいなのは、どんどんこれからも乖離していくと思う。
T 「その話にも通じるかもしれないけど、楽器ができるアーティストって強いな、って思いました。自分の演奏を入れるだけで色が出るじゃないですか。今の時代性には合ってないかもしれないんですけど」
S 「Hegira Moyaさんとかね。Ultrafogもいつ頃からかギターを弾いてますよね」
T 「今後、どんどんフォーマット化された音楽が増えていくのであれば、すごい強みになるのかな。小峰さんもハードのシンセを置いてますし」

――あれはもうエゴだけですけどね。
S 「あるだけで違うと思いますよ」
T 「こないだBUSHBASHで、PAの牧野さんがタムにコンプをあまりかけずに音を作ってくれたんですよ。それが良くて。胴鳴りが強調されててめっちゃ良かったな。タム叩いただけで気持ちよかった。知らないことがまた発見できて良かったですし」

――ライブってね、やっぱりいろいろ気にするところってあったりするから、やるだけで得られるものは多いですけどね。うまくいかなかったときも含めて。

――Tzusingのリミックス・アルバムの話に戻ると、Tera Octeがめちゃおもしろくて。リディム・スクリューなんだよね(笑)。
P 「デジタル・クンビア以降の遅いテクノみたいだね」
T 「昔、Dick el DemasiadoとIN THE SUNでライヴしたことあるんすよね。デジタル・クンビアの第一人者的な人ですよね。今思うとなんで秩父に来たんだろう(笑)」

――いろいろ回り回ってるよね。なんでも1個に絞ることが必要だとは思えないんだよなー(笑)。

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"RAW TEMPO" IN THE SUN "Metaphor" Release PartyRAW TEMPO
IN THE SUN "Metaphor" Release Party

2022年5月3日(火・祝)
東京 小岩 BUSHBASH
17:30-
2,000円(税込 / 別途ドリンク代)
予約

Live
IN THE SUN / MANISDRON / Tasho Ishi / TENTENKO x PLASTICMAI

DJ
CHIRO / SHV

IN THE SUN 'Metaphor'■ 2022年3月4日(金)発売
IN THE SUN
『Metaphor』

Cassette Tape + Digital DCP004 1,200円 + 税(別途送料) | Limitation 100
https://disciplineproduction.bandcamp.com/album/metaphor

[Side A]
01. Fossil Bed
02. Metaphor
03. Bondage
04. Grandmama

[Side B]
01. Shady Woods
02. TV
03. Nostalgia
04. Bondage (Matmos Remix)
05. Shady Woods (T5UMUT5UMU remix)

〒107-0062 東京都港区南青山2-2-15 ウィン青山106号

| 月-金 11:30-23:00 (LO 22:00) 
土日祝定休

※ 土曜日 貸切予約制 (15名様以上) 17:00-22:00 | 当日予約不可

※ 営業時間は変更となる場合があります。