Review | 見えないものと戦ってトマトベーコングラタンを | 東京・池ノ上「PUTTO CAFE」 | AVE

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01/29/2021
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　否応なしに「日常」を考え直すきっかけとなるのが緊急事態宣言。2回目。今月も美味しい“喫茶店のご飯”について文章を連ねる。毎月決まって提出するものがあるというのは本当に嬉しいことで……連載を持たせていただきありがとうございます。改めて！

　「1人で喫茶店に行くことも駄目なのかな。読者さんは何か思うだろうか」。そんなドギマギした気持ちで覗いたお店、池ノ上にあるPUTTO CAFE。外は小雨、時間は16時。ちょうど落ち着く時間帯だからかもしれないが、店内は1組のみ。立派な構えの老舗店にはもったいない光景だった。

　毎日太陽が登りきった頃に意気揚々と議論し合うワイドショーでは「飲食店が感染を拡大させている」そんな論調も目立つが、今目にしている光景こそ多くの飲食店がぶち当たっている壁 / 現状なのではないだろうか。なんて柄にもなく批評めいた感懐を述べてしまうほど、日々目にするテレビでの報道はわたしを徐々に苛立たせていた。こんなときこそ「生活」「食事」の質を上げなければ…。毎日、前日の残り汁で食べる鍋ばかりではさすがの鍋好きのわたしも昆布を見たくなくなってしまう!!! そんな心の健康を保つためにも今回は老舗喫茶店のグラタンをいただいてきました。

　お腹が減りすぎて、目の前の料理たちが美味しそうすぎて…「サラダ到着 → サラダ完食」「スープ到着 → スープ完食」「グラタン到着 → グラタン完食」「なぜかコーヒーを食後で、と頼む」4回目の連載とは思えないほどの初歩的なミスを連発。。（故に別撮りの写真たちです……）。PUTTO CAFEさんは手作り & 食材にこだわっていて、グラタンランチも日によってソースやメイン食材が変わる。この日食べたのは『トマトベーコングラタン』。

　器から溢れるほどのチーズ、ぎっしり詰まったマカロニ、冷えた身体があたたまる熱々で塩の効いたトマトソース。スープもクルトンがほろほろに溶けて美味しい……。グラタンの最後の一口を頬張った瞬間に食後のコーヒーがテーブルに届く。それはそれは素晴らしいタイミングで、冷める前に飲み干してしまった。

　喫茶店のコーヒーカップって本当に可愛いですよね。コーヒーカップなんて何処で見ても可愛いのに、喫茶店でお目にかかるのが1番。1番可愛い。変な苦味がなくスッキリしていて、口当たりの良さ抜群のホットコーヒーでした。

　食後のコーヒーを飲みながら考える。みんながそれぞれの「見えない敵」と戦っている。飲食店の敵はコロナか、政治か、世論か……なんて頼まれてもいないのに考えたりしながら。

　また、それと同時に考える。わたしにとっての「見えない敵」。コロナウイルス、それのせいでうまく進めないもどかしい気持ち、それのせいにしてしまいがちな自分の弱さ、神経を張り巡らせながらしか投稿できないSNS、誰かを羨ましく思ってしまう気持ち、不確定な未来、二度寝したくなる寒さ、「Clubhouseって何なの！やらないと置いていかれる感じ?!」ってちょっとした新たな恐怖、エトセトラ。

　1ヶ月後にはまた1つ見えていたらいい。見えるようになっていたらいい。3ヶ月、半年、1年。まだわからない。時間がかかってでも1つでも多くの「見えない敵」に打ち勝てるように、今できる最大限の心身の健康を。美味しいものを食べてよく眠り、悔いのないよう仕事に向き合う。そんな日々の先に光がありますように。会いたい人に会える時代が戻ってきますように。
　
　「見えない敵」について考えながら食べる目の前のトマトベーコングラタンはとろけそうなくらい美味しかったです。

　“自分”というひとつの見えない敵とも戦うべく、平日毎日弾き語り / カヴァー動画投稿という「#100日チャレンジ」を始めてみました。自分の弱さに打ち勝って100曲歌い切りたい！相谷レイナのSNSで是非ご覧ください。