Review | 思い込みとモーニング | 東京「名曲・珈琲 新宿 らんぶる」


文・写真 | 相谷レイナ

 クラシックが響く店内。煌びやかなのにどこか寂しげな街・新宿にて初めてモーニングをいただきました。

 訪れたのは「名曲・珈琲 新宿 らんぶる」。いただいたこちらは、定番メニューだという『琥珀セット』(950円)。食欲をかき立てる絵に描いたような分厚いトースト、サラダ、甘酸っぱいベリーのヨーグルト、マイルドな口当たりの珈琲。

 一人暮らしを始めてから、朝はバナナジュース(引越し祝いにいただいたミキサーを使って作ります)か青汁、張り切っている日はプロテイン、その3択。少し早起きしてしっかりと身体に美味しいものを入れてあげると、こんなにも1日の過ごし方が変わるのか、底力って本当に出るんだ、なんて当たり前のような気づきを手に入れた。小学生の頃、家庭科の教科書に「朝ごはんをちゃんと食べましょう!」と大きい文字で書かれていたことを突然思い出してみては、「いや、あれは保健体育の教科書だったかも……」なんて至極どうでもいいことを考える余裕ができるくらいに、朝を制するものは生活を制する、と感じたわけです。

 醸し出す堂々とした佇まいは老舗店だからこそ。約200席あるというだだっ広い店内を彩る大きなシャンデリア、じっと見つめてくるベートーヴェン(らしき肖像画)、Mステごっこができそうな階段、年季の入った立派な椅子や柱。お客さんも様々で、ビジネスマン、仲の良さそうな夫婦、“新宿の夜”を擬人化したような髪がツンツンの男性。様々な境遇の人がそれぞれでトーストを頬張っている状況に、気を抜くと笑ってしまいそうになる自分がいた。

 「朝を制する人は生活を制する」なんてただの思い込みかもしれないけれど、人生には思い込みが幸せへと繋がることもあるような気がする。最近の私はというと、「#100日チャレンジ」なるものを始め、平日は毎日弾き語り動画をSNSで更新している。100日連続更新のゴールはまだまだ先で、毎日それなりの時間がかかるし、正直先が思いやられる瞬間もあるが、チャレンジを始めてから、嬉しいお仕事の話や出会いが格段に増えた。それはもしかしたら、100日チャレンジをしていなくても出会えていた出来事かもしれない。でも「100日チャレンジという新たな努力を始めたから最近なんかうまくいってる!」と一旦思い込むようにしている。本当にそうかもしれない、というか「そうだ!」と思い込んでいる。一種の願掛けをしてみることにした。ちゃんと日々前に進めているは努力のおかげだと思うと、もっと頑張ろうと思えるし、もっと頑張ればさらに進めるのでは、とも思う。ちゃんとポジティヴに前を向ける。そんな風に最近はポジティヴな思い込みを心がけるようにしている。じゃないと、コロナ、地震、ピリピリした空気、ずっと腹が立つワイドショー、放っておいたら下をすぐ見ちゃう状況でしょう。「自分の機嫌は自分で取る」が必要な時代に生きてしまっている。でも生きなきゃ!

 モーニングの話からここまで話が脱線するのは本当にマイペースな一人っ子だと痛感します。今月も“喫茶店のご飯”、お付き合いいただききありがとうございました。ホッと一息つきたいとき、いや、集中して仕事や読書をしたいときでもいいかもしれません。「名曲・珈琲 新宿 らんぶる」で自分の機嫌をとってあげてください。今月はドロンします。また来月!

名曲・珈琲 新宿 らんぶる

〒160-0022 東京都新宿区新宿3-31–3

9:30-18:00 (LO 17:30)
無休

※ 営業時間は変更となる場合があります。

相谷レイナ Reina Aitani
Twitter | Instagram
Official Site @YOSHIMOTO MUSIC | http://yoshimoto-me.co.jp/artist/aitanireina/

相谷レイナ | Photo ©Seiya Fukutokuよしもとミュージック所属のシンガー・ソングライター、相谷レイナです。好きな寿司ネタはトロたくです。2020年に上京しまして、東京にフィッティング・インすべく試運転中です。お気に入りのお店をレビューしていきます(マンスリー寄稿)。