Review | 中野の話とフルーツパフェ | 東京・中野「ノーベル」

文・写真 | 相谷レイナ

　人生2度目の中野にて。素晴らしいフルーツパフェと出会った。喫茶店のご飯を毎月紹介する、と銘打ってはじまったこの連載。「デザートはご飯に入るのか、いや、入らないよなア。がっつりご飯を今日も頂こう！」なんて葛藤を繰り返し、腹十分目、十二分目まで大満足の喫茶店ご飯を毎月頂いてきた。が、いよいよ自分の中の甘党が疼き出し、喚き出し、黙っていられなくなり……フルーツパフェ、食してしまいました。

　美しい盛り付けに感動するとともに、うさちゃんリンゴを見るといつもこの形にリンゴを切ってくれていた母のことを思い出す。ややノスタルジックな気持ちに。ミルクボーイさんのネタで印象的なかさ増しのコーンフレーク（やスポンジ）は入っておらず、アイスクリーム + フルーツのシンプルな構成で、後味がすごく爽やか。パフェを食べると口の中に複雑な感触が残ることが多いが（パサパサ、カサカサするけど、めっちゃ甘い、みたいな）、フルーツの瑞々しさだけが残ってパフェを食べた罪悪感も少ない（= 女の子の味方のようであり1番の敵）。いつでも思い出せるようにここに記しておきます。

　初めて訪れた喫茶「ノーベル」は中野駅前の商店街ど真ん中にあるビル内に位置しているが、そのビルというのが“1Fパチンコ・2F喫茶レストラン / サウナ・3Fカプセルホテル”というなんとも絶妙なラインナップでおもしろい。

　細部まで作り込まれた食品サンプルたちが入口で出迎えてくれる。そういえばこんな沢山の食品サンプルに出会うのは久しぶりだな、と感じて立ち止まってまじまじと見ていたら、着いてきてくれた友達にやや変な顔をされた。幼い頃に家族で時々外食をした地元奈良の百貨店レストランフロアでは、うどん、ラーメン、トンカツ、ピザ、あたりまえのように各店舗の入口に食品サンプルが並べられていたのに。不景気ってこういうことなのかな、なんて考えたりした。

　冒頭にも書いた通り、人生で2度目の中野。1度目は上京する直前。中野に住もうかな、と考えていた時期があったので（駆け出しのアーティストや役者さんは中野に住むもんだと思い込んでいた）、物件の内覧のために訪れたが、駅から徒歩17分のゲキ狭マンションだったので「中野とは縁がなかった」と自分に言い聞かせて諦めた。それでも約半年ぶりに来る中野は、ところどころに古き佳きレトロが散りばめられていて、めちゃくちゃ心地よかった。『写ルンです』で収めたものを少し。　

　緊急事態宣言が明けた。桜が咲いた。4月がすぐそこまでやってきている！新年度が始まる！学生でもないので私の生活が何か大きく変わるというわけではないが、自分なりの区切りを作って、メリハリを持って、また新しい季節を駆け抜けていきたい。新曲のレコーディングやあらゆるものの撮影なんかも動き始めておりまして、来月の連載ではそんなお話もできたら！今月はこのあたりで、どろんっ。

〒164-0001 東京都中野区中野5-60-7 タイガープラザ 2F

9:30-20:30 (LO 20:00)
モーニング 9:30-11:30 | ランチ 11:30-14:00
無休

※ 営業時間は変更となる場合があります。