Interview | 少年ナイフ


日常生活と妄想から生まれる

 1981年のバンド結成以来、2〜3年のインターバルで作品を発表し続け、2023年には結成42年目を迎えた少年ナイフ。コロナ禍を経て3年ぶりのリリースとなったフル・アルバム『OUR BEST PLACE』は、初期作品群にも通じるポップパンク・サウンドと、前作の系譜を継いだジャンルの広がりの双方を感じる作品だ。これまでに20枚に及ぶアルバムを生み出し、国内外で精力的にライヴ演奏を続ける少年ナイフの作詞と作曲を務めるギター・ヴォーカルのなおこに、そのバイタリティの秘訣と『OUR BEST PLACE』の制作エピソードについて語ってもらった。

取材・文|h-shallows | 2023年2月
写真 | 太田智子


――3年ぶりの新作アルバム『OUR BEST PLACE』のリリース、おめでとうございます。前作から3年ということで、ちょうどコロナ禍を経ていますが、アルバムを構想し始めたのはいつ頃でしたか?

 「オリジナル・アルバムとして、今作が20枚目くらいなんですね。年数で割るとだいたい2、3年に一度はアルバムを出していて、コロナ渦は地球上の人みんなが数奇な体験をしたけれど、少年ナイフとしては通常のインターバルでリリースできたと思います。2019年までは毎年海外ツアーに行って、アルバムもコンスタントに出していて。特に2019年は1年の1/3以上海外にいたので、とても忙しくて、新曲を書くどころではなかったですね。2020年3月1日には、AC/DCのオリジナル・ヴォーカリストであるBon Scottの生誕地、オーストラリアのパースでAC/DCのカヴァーをやる市民イベントに呼ばれて。出演バンドは10組くらいだったかな。各バンドが大きなステージ付のトラックに乗って、ゆっくり移動しながら演奏するというイベントなんですけど」

――移動式トラックに乗ってライヴとは、斬新なイベントですね。
 「オフィシャル・ブログにも書いているんですけど、大阪で言うと難波から梅田間のような3、4kmくらいの道のりをものすごくゆっくりトラックで移動しながら、途中にある公園で止まって演奏して、また動き出すという内容で。トータル2時間強くらい、全バンドがずっとAC/DCのカヴァーばかり演奏していました。ちょうどコロナ渦が始まった時期で、日本からシンガポール経由でパースに行ったんですけど、日本からシンガポールの便はみんなマスク姿で、でもシンガポールからパースに向かう便は誰もマスクをしていなくて、私たちだけマスクをしてパースに行きました。さすがにオーストラリアの人たちもコロナが流行り始めていることは察知していて、いつもだったら会った途端に“ワーッ”とハグしますが、それはなくて。ライヴが終わったらみんな興奮してハグハグになりましたけど(笑)。その後、本格的にコロナ渦になって、どこにも行けなくなって。そうなるともともと怠け者なので、曲も作らずに、去年はツアーもがんばったのでゆっくりしようと思って、自転車で近所をうろうろしたり、作ったことのないお料理やお菓子を作ったり、ゆっくり過ごしていました。2020年の9月には、久しぶりに大阪でコロナ対策をしっかりやっているという認証を受けたイベントに出させてもらって。そこからぼちぼち日本でライヴをやり始めて、そろそろ前作から3年経ってしまうので、アルバムを制作しなきゃと思って」

――3年ですと、これまでのアルバム・インターバルが経過してしまいますね(笑)。
 「そうそう(笑)。それで、アルバムを作らなきゃという感じになって。曲自体は2、3年前からモチーフやフレーズをノートに書いたりはしていたんですけど、曲というかたちにまとめ始めたのは昨年の春くらいからでした」

――昨年の春から本格的に制作されたということは、半年ほどでアルバム全曲を完成させたということですか?
 「ええ、そうです、一気に!レコーディングが決まっているとかじゃないと怠け者で動かないので(笑)。モチーフはあったから、それを完成させて曲にして、去年の7月と11月、12月にレコーディングしました」

――ものすごいスピード感ですね。今あつこさんはロサンゼルス在住でいらっしゃると思いますが、レコーディングはどのようにやられましたか?
 「7月12日は“ナイフの日”と勝手に決めて、その前後の土日などに日本でライヴ・ツアーをしているんですけど、そのときにだいたいあつこが帰ってきて、ジャパン・ツアーに参加するという流れになっていて。昨年も7月にあつこが帰って来るから、ついでにレコーディングもやっちゃおうということで、レコーディングして。ただ、そのときは曲が全部はできていなくて、2曲ほどは完璧にできていなかったんですけど、あつこが帰る日がやって来てしまって。それで3ヶ月空けて、11月から12月にかけて私のほうでレコーディングをして、2曲は私がベースも弾いています」

――どちらの曲でベースを弾かれているんですか?
 「“MUJINTO Rock”と“Nice Day”です」

――普段はなおこさんがデモを作って、全員でバンド録音をやって、最後にヴォーカルを入れるという進めかたですか?
 「そうです!基本は私が作詞と作曲をしていて、今回のアルバムでも、カヴァー曲を除いて全部自分が作っています」

少年ナイフ

――デモを作られる際は弾き語りのようなかたちで、他のメンバーにそれぞれのパートを委ねるやりかたでしょうか。
 「昔はパソコンのソフトに打ち込んで、デモをみんなに渡していたんですけど、時間がかかるし、面倒くさいので、この頃はスマホのヴォイスメモにギターを弾きながら歌ったものを録音して、メンバーに送って、そこから各メンバーにベースやドラムを考えてもらっています」

――ベースやドラムのアレンジもなおこさんがある程度決められていますか?
 「“Better”という曲は、2020年の7月12日(ナイフの日)にジャパン・ツアーができなかったので、同日にウェブで新曲を公開しようと思って、あつこがLAの自宅で録音したものと、私がドラムのりさちゃんと録音したものをリモートで合わせて作ったんですけど、ベースラインもドラムもだいたい信頼しているので、任せています」

――阿吽の呼吸ですね。アルバム『OUR BEST PLACE』のアートワークは久しぶりにメンバーの写真が用いられていますが、日本を思い浮かべる畳のロケーションは意図されたものですか?
 「写真を撮ろうと思ったときに、和風なのがいいな、と思って、欄間や葦簀、畳がある大阪市内の某所がパッと浮かんで、そこで撮影しました。衣装はベースのあつこがデザインして、縫っています。ずっとジャケットが絵ばかりだったので、今回はメンバーの写真にして、気分を変えたいと思って。深い意味はないんですけど」

――久しぶりに「バウムクーヘンの話」という日本語タイトルの曲が収録されていますが、ジャケットを含めて制作過程で日本を意識されましたか?
 「特に意識はしていないんですけど、日本語の歌詞を入れたいとずっと思っていて。先に英語で作ってしまうことが多くて、そこに日本語をはめるのは難しいと思っていましたが、“バウムクーヘンの話”だけは歌詞が先に日本語でできて。一生懸命英語も考えてつけたんですけど、前々から日本語の曲も作りたいと思っていたので」

――アルバム・タイトルは『OUR BEST PLACE』、私たちにとって最高の場所ということですが、タイトルに込められた想いはありますか?
 「アルバムのジャケット写真を撮ってからタイトルを考えたんですけど、やっぱり畳の部屋ってくつろげると思って、『OUR BEST PLACE』に決まって。それから、少年ナイフの音楽を聴いてくれる人に楽しんでもらえるように、少年ナイフの音楽がみなさんの“BEST PLACE”になるといいな、と思って付けました」

――素敵なテーマですね。ちなみに、なおこさんにとっての“BEST PLACE”はどこですか?
 「最高の場所は、今はテニスコートです(笑)。テニスにずっとハマっていて、音楽と全然関係ないんですけど。ライヴしているとき、とか言ったほうがいいんだろうけど(笑)」

――半年でアルバムの曲を全て作ってしまうというのも、もしかしたらテニスの賜物かもしれないですね。私もバンドをやっていますが、2、3年のインターバルで40年以上アルバムを作り続けていらっしゃることは本当にすごいことです。普段は曲をどのように作っているのでしょうか?
 「メロディを作ってから歌詞を付けるのがすごく難しくて。メロディからできたこともあるんですけど、基本的には歌詞を先に考えています。少年ナイフの場合は基本英語の歌詞にしたいので、メロディができた後、歌詞をつけようとすると英語の語彙力が足りず難しいところがあって。まずは英語の歌詞を作って、韻を踏んで。それができればメロディはいくらでも浮かんでくるので」

――メロディがいくらでも浮かぶというのもすごいです。ギターとメロディは同時ですか?
 「メロディとギターはリンクしているから、同時ですね」

――歌詞はどのようなときに浮かびますか?
 「日常生活でおもしろいと思ったもののモチーフや単語をノートに書いておいて、それを基に歌詞を作ろうと思ったときに広げていくやりかたです」

――よく散歩しているときや旅行しているときに歌詞や曲ができるというかたがいますが、なおこさんは生活の中から曲が生まれるのですね。
 「そうですね、食べ物の歌は実際に自分が食べておいしいと思ったものでもあるし、ほとんどの曲は日常生活と自分の妄想から生まれています」

――今回はどの曲からどういった時系列で作られましたか?
 「“Girl’s Rock”は20年前に『Girl’s Like To Dance』というコンピレーションに入っていた曲を再録したもので、今回ボーナス・トラックのために英語の歌詞を付けました。次にできたのが2020年7月に発表した“Better”で、2020年の春頃に作っていました。その後がたぶん“バウムクーヘンの話”。わりと昔からバウムクーヘンを食べたときに“バウムクーヘン♪バウムクーヘン♪”というメロディが浮かんでいたので。それ以外の曲はだいたい同じ時期にできたんですけど、最後に作ったのは“Nice day”ですね」

――『Girl’s Rock』の再録のきっかけは?
 「収録されていたコンピレーションはもう販売していないし、サブスクにも入っていないけれど、ライヴで演奏するとお客さんがとっても喜んでくださるので、ぜひ音源としてまた出したいと思って、今のメンバーで若干アレンジを直して再録しました」

――再録の際、アレンジを変えられたポイントはどちらですか?
 「当初の録音を聴いて、テンポが速いからもう少しゆっくりのほうが聴きやすいと思ったのと、イントロをもう少しシンプルにしたほうが良い感じになると思ってそこをいじりました」

――今回の少し落ち着いた再録版も素晴らしいです。続いて制作された「Better」について、アルバムの中で特にハードな「Ocean Sunfish」から、ミドルテンポで明るいギター・ポップ「Better」の流れに痺れます。「Better」はギター・リフが印象的でしたが、どのように普段ギター・リフを作られていますか?
 「“Better”はコロナになったけど、そのうちに状況が良くなる、ということを歌った曲で、ギター・リフはたぶん曲を考えているうちに浮かんできたものです。ギター・リフは自然と舞い降りてくるんです」

――けっこうギター・リフを考えるのに苦戦するかたも多いと思いますが、すごいですね。2020年3月頃に作られた曲ということで、この時期はちょうどコロナの流行り始めで、先行きが見えなかったですよね。
 「去年くらいのほうが、コロナが続きすぎてみんな疲れていたんじゃないかな、と思いますが、2020年の夏くらいはもうすぐ収まるだろうという期待があったと思います。“Ocean Sunfish”はおばけマンボウが東京湾に出現して襲ってくるという内容の歌詞なんですけど、次の“Better”で状況が良くなるっていう流れです」

――「Ocean Sunfish」でマンボウがモチーフになっているのは、日常の中でマンボウに出会われたなどのエピソードがあるのでしょうか?
 「少年ナイフの曲は地元の大阪を歌詞に入れたりしているんですけど、たまには東京も入れてみたいと思って。そうしたらゴジラのようなものが浮かんで、それがマンボウだったら……といろいろ妄想が膨らんで、お化けマンボウが東京湾に出没したという想像です(笑)」

――「Ocean Sunfish」の歌詞は実体験ではなく妄想から生まれたものなのですね。お化けマンボウはまだ出現していないようでホッとしました(笑)。途中で登場するシャウトがまたかっこいいですが、叫び声はなおこさんの声ですか?
 「私です(笑)」

――かっこいいです!DEEP PURPLEや70sハードロックを彷彿とさせるソロのユニゾンも印象的ですが、お化けマンボウからハードな音像をイメージされたのですか?
 「お化けマンボウはやっぱりハードロックやヘヴィメタルや、と思って。一番好きなのは70sブリティッシュ・ハードロックで、前作の『アドベンチャーでぶっとばせ!』や『嵐のオーバードライブ』などのアルバムはわりとオーセンティックなハードロック色が強かったんですけど、今回はこの曲だけ。やっぱり自分が好きなことをやりたいということで、今日着ているTシャツもJUDAS PRIESTです」

――ずっと何のバンドTを着ていらっしゃるんだろうと気になっていました。
 「シャウトもRob HalfordやBruce Dickinsonみたいな感じで入れてみたいと思って、入れました」

――かっこいいですね。ハードロック色を前作と比較して抑えたのは意図されたものですか?
 「“バームクーヘンの話”のように初期少年ナイフ的なめちゃくちゃ変わった曲ができたので。あとちょっとはこれまでと違ったアルバムにしたいと思っていました。とはいえ深くは考えずに、なんとなく作っていたらこうなったという感じです」

――そういった意味合いでも「バームクーヘンの話」はキーポイントになる重要な曲だと思いますが、バームクーヘンを題材にされたのはなぜですか?
 「自分がすごくバウムクーヘンが好きで。ドイツではそこまでメジャーなお菓子ではなく、ほんの数軒のお菓子屋さんが作っているだけだけど、日本ではバウムクーヘン職人さんがドイツから来て広まり、とても人気が出たという話をテレビでやっていて。そこからバウムクーヘンの歌詞を書き始めて、ジャックと豆の木のような感じで、バウムクーヘンの木がどんどん伸びて、そこに住みながら枝が伸びては切って食べて、伸びては切って食べてを繰り返したら楽しいだろうなと想像して書きました」

――リズムもストレンジ・ポップな質感でおもしろいですし、ギターとベースの掛け合いが巧みですが、このベースのフレーズはあつこさんがなおこさんのデモを聴いて考えられたものですよね?
 「はい。あつこが頑張って考えてくれて。あつこが弾いたベースラインは、緻密に練られたものが多いと思います」

――あつこさんの緻密なベースラインもサビで繰り返される「バウムクーヘン」というフレーズも頭から離れないキラー・チューンだと思います。アルバムでは「バウムクーヘンの話」「Vamos Taquiltos」「Spicy Veggie Curry」と食べ物の歌が続きますが、「Vamos Tequiltos」もエピソードがあるのでしょうか?
 「あつこが日本にいるときはだいたい私の家に泊まるんですけど、メキシコ料理を作ってくれたことがあって、それがタキートスなんですね。とても珍しくて、おいしかったので、歌詞にしようと思いました。LAにはメキシコ料理屋さんがたくさんありますし、あつこはメキシコ料理が好きなので」

――タキートスは食べたことがありませんが、タコスをロール状にしたようなものなのでしょうか?
 「そうですね。そのロール状のものにチーズをかけて焼くという濃い料理です。メキシコがスペイン語圏なので、スペイン語で“やった”とか“Come on”という意味の“Vamos”を付けました。私はテニスを観るのも好きで、好きなスペインの選手が多いんですけど、その選手たちが点を入れたときに“Vamos!”と言うんですよ。それを歌詞に取り入れてみようと思って。メロディラインもメキシコ音楽のマリアッチ風にしたいと思って作ったんですけど、全然違う感じになりました」

――メロディラインのリズムの取りかたが印象的で、ラテン調のエッセンスを感じました。
 「メキシコ風にと考えていたんですけど、あまり上手くできなくて、聴き返すとQUEENのようだな、と思います(笑)。ラテンのパーカッション、ウッドゥン・アゴゴを入れたりもしました」

――「Vamos Taquiltos」の後に、“食べ物3部作”といった並びで「Spicy Veggie Curry」が収録されています。“spicy”で“veggie”なカレーを選ばれた理由はありますか?
 「スパイス・カレーを作るのに凝っていた時期があって、カレーの歌を作ろうと思いました。私は何でも食べるので、いろんなカレーを作るんですけど、野菜のカレーが好きな人も多いと思って。“スパイシー・カレー”だけだとメロディが付けにくいので、“ベジー”を加えるといい感じのメロディになるな、って。自分が最初に影響を受けた、70年代後半のRAMONESやBUZZCOCKSのような感じの曲も何曲か作ろうと思って、“MUJINTO Rock”や“Spicy Veggie Curry”を作りました」

――まさにRAMONESやBUZZCOCKSを彷彿とさせるサウンドがかっこいいです。「MUJINTO Rock」を1曲目に持ってこられた背景はありますか?『OUR BEST PLACE』というタイトルにも関連性があるのでしょうか?
 「偶然タイトルと関連性が合ったのかもしれないです(笑)。曲のタイトルをカードに書いて並び替えながら、テンポや始まるキー、曲調などを考えながら順番を決めたんですけど、一番元気な曲が“MUJINTO Rock”なので、最初がいいかなと思って」

――歌詞は無人島ということで物もボーダーもないという内容を歌われていますが、どのようなテーマで作られましたか?
 「政治的な意図はないですけど、自分だけの島があったら楽しいと思って作りました。英語では無人島に該当する単語がなくて、“desert island”では人が住めないような荒れた島の意味で若干違うし、無人島という日本語を海外の人にも知ってもらえたらおもしろいと思って、あえて“MUJINTO Rock”にしました」

――たしかに無人島は英語で直訳が難しいですね。2曲目の“Nice Day”もBUZZCOCKSを彷彿とさせるメロディラインと、ギターに合いの手を入れるように上り下りするベースラインが印象的でした。ベースはなおこさんが弾かれているんですよね?
 「1、2曲目のベースラインは、あつこがアメリカに帰ってしまった後に録ったので、私が考えたものです。BUZZCOCKSやRAMONES、THE JAM、マージー・ビート的なTHE BEATLESとかも思い浮かべながら弾きました。最初に影響を受けたバンドはTHE BEATLESなので、そういった曲にしようと思って作りました。“MUJINTO Rock”のベースラインは、あつこに“単純すぎる”と言われました。私は何も考えずにベースを弾くので(笑)。パンキッシュなポップパンクなのでそれでいいかなと思って。歌詞も、生活していてストレスがあったりしてもポジティヴに考えて、朝起きてお日様を浴びて、楽しく行こうぜ、という内容です」

――元気で明るく、2曲目に相応しいナンバーですね。「Afternoon Tea」はりささんが歌われていますが、各曲のヴォーカルを誰が歌うかはどのように決められていますか?
 「どのアルバムでもベーシストとドラマーに1曲ずつは歌ってほしいと思っていて。“Vamos Taquiltos”はあつこが作ってくれた料理だし、あつこはメキシコ料理が好きなのであつこに、“Afternoon Tea”はりさちゃんが甘党なので、適任かな、と思ってお願いしました」

――アルバムのラストに収録されているのはPILOTのカヴァー「Just A Smile」ですが、なおこさんが選ばれたものですか?
 「はい。PILOTが出始めた頃はそこまで知らなかったんですけど、だいぶ後になってからPILOTの良さを知って大ファンになりました。BAY CITY ROLLERSは日本でも人気があったので知っていたし、どちらかといえば好きだけど、BAY CITY ROLLERSは自分たちで曲を作って歌うロック・バンドというよりはアイドルっぽさがあって。PILOTを知って、まさかそのメンバーがBAY CITY ROLLERSに入っていたとは驚きでした。PILOTは自分たちで曲を作っているということで、BAY CITY ROLLERSとは違うタイプで、メロディラインがすごくポップで歌もかわいらしいですし、大好きです」

――PILOTの中で「Just A Smile」を選んだ理由は?
 「“January”と“Magic”がカラオケにも入っていて有名ですが、あえて外して3番目くらいに有名な曲をやろうと思って。PILOTはイギリスでもあまり知られていないので、私たちがカヴァーして聴いてもらおうと思いました」

――「Just A Smile」のアレンジで工夫された点はありますか?
 「原曲は冒頭1オクターブ低く歌っていて、2番から1オクターブ上で歌っていて、レンジがめちゃくちゃ広いんですけど、私はそこまで低い声がでないから、高い方だけで歌っているということと、PILOTはギター・リフがいっぱい入っていて、私たちもある程度は入れたいと思って入れたのと、少年ナイフらしい明るくポップで力強さもあるヴァージョンにしたいと思って作りました」

――意図されている通りに、少年ナイフのテイストがばっちりハマっています。アルバム収録曲についてそれぞれ詳細をお伺いしましたが、今作でなおこさんのお気に入り曲を挙げるとしたらどちらですか?
 「えー、難しいなぁ。“Nice Day”と“バームクーヘンの話”と“Ocean Sunfish”も好きだし、“MUJINTO Rock”も……全部です(笑)」

――全部がお気に入り曲である作品なんて最高ですね。アルバムの話から変わりますが、最近はどのような音楽を聴かれていますか?また、ハマっていることはありますか?
 「70年代のファンクやソウルも好きで、家にいるときはそういう音楽を聴くことが多いですね。あと、テニスはずっとハマっていて、自分でするのも観るのも好きです」

――最近リリースされた音楽も聴いていますか?
 「60~70年代のバンドで新しく発見するバンドが、私にとっての新しい音楽なので、あまり最近のバンドは聴かないかな」

――60~70年代のバンドとなりますと、CDやレコードで聴かれているんですか?
 「サブスクで聴いています。AIのお薦めで出てきたものを聴いたら、これおもしろいやん!という感じで発見しています。あとは、ASIAとかのブリティッシュ・プログレも聴きますね」

――結成42年目でいらっしゃるということで、メンバー・チェンジがありながらも長く少年ナイフを続けられた秘訣のようなものはありますか?
 「周りに助けてくれる人がいて、あとは音楽を聴いてくれたり、ライヴを観に来てくださったりするお客さんがいてくれるおかげ続けてこられたと思っています」

――最後に直近のご予定についてお聞かせください。
 「2月27日出発で3月2日からヨーロッパとイギリスでライヴをやる9週間のツアーへ3年ぶりに行きます。42thアニヴァーサリー・ツアーということで、延期になったツアーが2年ぶりに開催できることになりました。北欧のほうで11本やった後に、ドイツを中心にヨーロッパの大陸のほうで19本、イギリス国内で19本やるツアーで、久しぶりにヨーロッパのお客さんに会えるのが楽しみです。体力をつけて、何とかツアーを完走したいです。それから、日本に帰ってきたらナイフの日(7月12日)に合わせて、“712 Day Party 2023”と題したツアーを開催します」

少年ナイフ Official Site | http://www.shonenknife.net/

少年ナイフ『OUR BEST PLACE』■ 2023年2月15日(水)発売
少年ナイフ
『OUR BEST PLACE』

CD DDCB-12117 税込2,750円
https://www.shonenknife.net/our-best-place/

[収録曲]
01. MUJINTO Rock
02. Nice Day
03. バウムクーヘンの話
04. Vamos Taquitos
05. Spicy Veggie Curry
06. Girl’s Rock (2023 Version)
07. Afternoon Tea
08. Ocean Sunfish
09. Better
10. Just A Smile
11. Nice Day (60’s Mix) *
12. The Story Of Baumkuchen *
13. Girl’s Rock (English Version) *
* Bonus Tracks for CD

SHONEN KNIFE presents
712 DAY PARTY Tour 2023
https://smash-jpn.com/live/?id=3889

| 2023年7月1日(土) 東京 新代田 Fever
開場 17:30 / 開演 18:00
| 2023年7月2日(日) 愛知 名古屋 UPSET
開場 16:30 / 開演 17:00
| 2023年7月9日(日) 大阪 心斎橋 ANIMA
開場 16:30 / 開演 17:00

チケット
前売 5,000円(税込 / スタンディング / ドリンク代別途)
一般発売: 2023年4月1日(土)10:00-

オフィシャル先行受付 | 抽選]
受付期間: 2023年3月7日(火)17:00-3月13日(月)23:59
https://w.pia.jp/t/shonenknife/