映画作家・波田野州平が初のフォト・エキシビション「Before Us」を東京スクエアガーデンにて開催


 『TRAIL』(2012)、『影の由来』(2017)などの作品で知られ、昨年は「現時点プロジェクト」での作品『私はおぼえている』が「ジョグジャカルタ国際ドキュメンタリー映画祭2022」にて“最優秀国際長編ドキュメンタリー賞”を受賞して話題となった映画作家・波田野州平が、写真作品では初となるエキシビション「Before Us」を5月23日(火)から6月9日(金)にかけて東京・京橋 東京スクエアガーデン 1Fオフィスエントランスホールにて開催。

 2019年から1年に亘って再開発に伴う東京駅周辺の変遷を撮影した初の写真作品集『Before Us』を2021年に刊行している波田野。同書の版元である「DOOKS」の相島大地がキュレートする写真展「Before Us」では、写真を最大2800mmのターポリンに出力し、Y字の壁面を14面使用して展示。作品集『Before Us』と連動し、感染爆発を挟んだ現在に2019年の街を現出させることで、時間を捉える試みとなっています。

波田野州平写真展 "Before Us"

 2019年、私は東京駅周辺を歩き回り、変わりつつある街を記録していた。
 はじめは海だった所に土が盛られて街が作られた。しばらくして踏み固められた地面が激しく揺れて街は崩壊した。なんとか再建したかと思えば次は空から破壊された。しかしその度に街は作り直され、今日まで続いてきた。その来歴を知り、ここは変わり続けることだけが変わらずにある場所なのだと、何度目かの再開発を進める街を撮影しながらその強靭さに感心していた。そして撮影を終えた2020年の春、今度は目に見えないウィルスが街を変えた。
 あれから3年が経ち、ここはかつての街に戻りつつあるのか、それとも新たな街に変わりつつあるのか。そう思い、写真を見返して私は困惑した。写っていたのは、街の記録ではなかった。ここに焼き付けることができたのは、この街は「捉えきれない」ということだったのだ。しかし、今はなくなったものとこれからできるもの、かつてここにいた人と今その上を歩く人、それらが渾然となって生まれるこの捉えがたさこそが、私たちが東京という街に誘惑され続ける理由にほかならない。

――波田野州平

波田野州平写真展
Before Us
捉えきれない都市の記録と、その誘惑

2023年5月23日(火)-6月9日(金)
東京 京橋 東京スクエアガーデン 1Fオフィスエントランスホール
10:00-19:00 | 土日祝日閉館

写真: 波田野州平
プロデュース: 株式会社POD
キュレーション: 相島大地(DOOKS)
設営: 関田孝将 / 市川拓生
フィルムスキャン: プリズムラボ吉祥寺
印刷: タペ・ストーリー

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波田野州平 Official Site | http://shuheihatano.com/