Interview | 横沢俊一郎 × 片岡メリヤス


嘘でもいいから信じていたいことってありますか?

 2ndアルバム『絶対大丈夫』を4月29日にリリースしたシンガー・ソングライターの横沢俊一郎(以下 Y)と、バンド“むせいらん”(現在活動休止中)のべース・ヴォーカルとしても知られるぬいぐるみ作家・片岡メリヤス(以下 K)。かねてからお互いのファンであるというおふたりに、出会いのきっかけから、各々の活動や作品、SMAPの推し、好きなお菓子までオンラインのチャット形式で語ってもらいました。

 対談を記念して、横沢俊一郎 × 片岡メリヤスのコラボレーション・アイテムをCORNER PRINTINGが制作。片岡が描いた横沢のキャラクター“横沢くん”がすやすやと眠るイラストを刺繍したキャップ(サンド | グレー)、同イラストと“横沢俊一郎をよろしく”の文字をプリントしたコインケース(イエロー | ブルー)を期間限定で販売します。


取材・文 | 仁田さやか | 2020年4月
写真提供 | 横沢俊一郎・片岡メリヤス

――まずはおふたりの出会いについてお聞かせください。
K 「スカイブルー100ですね。スカイブルー100とむせいらんがオルグ(* 1)で2013年に対バン(* 2)して、すごく変だけど好きになって。忘れてたことを思い出したような、そんな音楽をやってて。青春的なおぞましい感情とか、すごくきれいだなって思ってたこととか。対バンしたときは2人組で、そんなスカイブルー100に新メンバーが!」
* 1 東京・南池袋ミュージック・オルグ | 2014年12月に閉店
* 2 2013年7月15日開催「ゲットー酒場」 | 出演: WOODMAN / むせいらん / スカイブルー100 / nakayoshi group / chimidoro | フード: 吉田史織(パスカール)

――その新メンバーが横沢さんだったんですね。
Y 「もともと2人組だったところに僕が加入した感じですね」
K 「そう、横沢くんが入って、むせいらんのメンバーとわーーーーーってなった!めちゃくちゃいいじゃん!って。密かにソロでいける……って思ってた(笑)」
Y 「嬉しみが深いです……。とりあえず僕はむせいらんとスカイブルー100が対バンしたときまだ音楽やってませんでした」
K 「やってなかったんだ!」
Y 「曲が作れなかったんですよ。メロディはできても歌詞ができないとか、自信がないとか。いろいろで」
K 「意外……。バリバリやってての加入だと思ってた」
Y 「全然でした。それで何かやりたいな、って思ってた時にスカイブルー100がメンバー募集してて、ダメ元でメールしたら新宿のサイゼで会おう、ってなって。2時間くらいひたすら質問されて。“好きな人いるのか?”とか音楽に関係ないことばっか。その後路上ライヴ観させられました」
K 「スカイブルー100のことはなんで知ったの?」
Y 「Myspaceで100曲くらい公開していた頃によく聴いてたんですよ。すごい人いるな、って思ってました」

――ということは、音楽を始めたのはスカイブルー100から?
Y 「そうですね。とりあえずスカイブルー100に入ったら曲の作り方がわかって。“曲作らないんですか?”って言われたから作ってリーダーに聴かせたら“天才ですね”って言われて。あ、俺天才だったんだ、って思って、そこから曲を作れるようになりました」
K 「すごい。そして天才って言ってくれるリーダー!」
Y 「本当にすごいと思います。それで、スカイブルー100で初めて人前で自分の曲を演奏したのがメリヤスさんの展示でした」
K 「知樹(渡邉知樹)とやった“zoo103”(* 3)。あれ良かったなー。展示前に上野動物園とか羽村動物園とかにみんなでスケッチにも行って。スカイブルー100はスケッチの出席率100パーだったね」
* 3 2014年1月29日-2月2日 東京・国立 room 103で開催

Y 「スカイブルー100はむせいらんの追っかけでしたからね。すごく楽しかったです。あの時書いたフクロウ、壁にずっと貼ってます」

横沢俊一郎 × 片岡メリヤス

――フライヤーにはスカイブルー100の名前はないけど、そうだったんですね。
K 「あのときは急にライヴを頼んだのかな?ゲリラ的に1日に2回くらいやってくれた」
Y 「隙あらばライヴできるように、常にギターとか持ってたから、それでやることになった気がします」

――隙あらば、というのは、ライヴがやりたくてやりたくて……という感じだったんですか?
Y 「スカイブルー100というのがそういう精神性のチームだったんですよね。なんか人生と音楽を一致させるのに必死というか。みんなで会ったら絶対に1回は歌ってましたからね。路上でも人の店でもどこでもライヴしてました。なんというか、歌詞も全部本当に起きたことをそのまま書いているだけなんですよ」
K 「路上でのライヴは本当によくやってたよね。シンボパン(東京・立川)でライヴしてくれたとき(* 4)も終わったあと、立川駅で路上ライヴをやってたよね」
* 4 2014年12月12日「冬のシンボパンまつり2014」オープニング・パーティ「スナックメリヤス」

Y 「ライヴの後に路上ライヴをするっていうのはよくありましたね」
K 「そういう、しつこいくらいなところが胸に引っかかる」
Y 「シンボパンも楽しかったですね。優しいけど、優しいだけじゃなくて、すごい力が試されてるというか」
K 「あれは地獄だったと思う(笑)。私とシンボさんが変な歌を歌って、その後スカイブルー100登場という……。投げた感じ」
Y 「ああ、そうでしたね。観てる側は地獄じゃなかったですけどね。変な緊張感があったのは覚えてます」
K 「でも私はすごく嬉しかった!スカイブルー100が目の前にいて、目の前で演奏!ただのファンですね」
Y 「スカイブルー100もむせいらんのただのファンだったんですよ。加入前からお互いに“ただのファン”で、そこに僕が入るのって、かなりハードル高かったんですよ。特にひさつね(あゆみ)さんの目が怖かったですね(笑)」
K 「あは!」
Y 「大丈夫?こいつにだまされてるんじゃないの?みたいな空気感じました。たぶんですけど、ライヴとか曲作りとかで、ちゃんと入ることのできる人間だって認められたんだな、って思いました」
K 「スカイブルー100に加入っていうのはハードル高いけど、でも横沢くんは難なく乗り越えてすごい勢いで馴染んでたというか」
Y 「そう思ってくれたのを感じてすっごい嬉しかったんですよ」
K 「横沢くんの言う通り“見せてくれた”感じ」
Y 「とにかく心の底から嬉しかったってことが言いたいです。ありがとうございます」

――今日はお互い質問を考えてきてもらうことにしていましたが、まず、メリヤスさんから横沢さんへの質問をお願いできますか。
K 「子供のころ友達いましたか?」
Y 「友達って思ってた人は常にいたと思います」
K 「どんな遊びしてましたか?」
Y 「何歳頃までかによりますが、スーファミやったり、鬼ごっこやかくれんぼをしたり、ビーダマンで遊んだりしてましたね。ミニ四駆を外で走らせるとかも。あとザリガニとりよくしてました」
K 「いじいじしてたわけじゃないんですね」

横沢俊一郎 × 片岡メリヤス

――なぜその質問をしたんですか?
K 「幼少期に劣等感とかあるのかな?って。私はけっこう劣等感が強かったから」
Y 「どういう劣等感ですか?」
K 「追いつけないことばかり。運動、勉強、体力もだし、ゲームも自転車もないとか」
Y 「背の順だとどの辺でした?」
K 「前から5番目くらい、常に日本人の平均体型をキープ」
Y 「補足すると、さっき答えた遊びができたのって、群馬に住んでた10歳までの話ですね。10歳までは劣等感っていう概念がなかったです」
K 「10歳以降は?」
Y 「引越し先の地域性にやられて終わりました」
K 「けっこう田舎?」
Y 「そんな田舎ではないですが山の上の新興団地だったんで、遊べる場所があんまなかったです」
K 「群馬時代と世界が違う感じ?」
Y 「山だけど木もないし、さっき話してたような遊びはほとんどできなくなりました」
K 「遊びより人間関係が重要になってきたってこと?」
Y 「たぶんそうですね。群馬はどこかに行けば誰かいたけど、引越し先は遊べる場所の取り合いみたいなのもあった気がします。だから、家で遊ぶことが増えましたね」
K 「そこで何かしらのずれを感じたのかしら?」
Y 「たぶんそうですね。初めて1対全員みたいなのを体験しました」
K 「それ!私が感じていたやつ。自分の脳とか身体の性能では……同級生を意味不明に感じてた」
Y 「なるほど……。メリヤスさんは子供のころどんなところに住んでたんですか?」
K 「中野生まれ中野育ち。めちゃくちゃ都会っ子だから外に出られた。中学生のときに地元だけで遊んでいられなくて、原宿行ったり池袋行ったり。広くて気持ちが楽になった」
Y 「スカイブルー100に入ってメリヤスさんたちに会って、同じような気持ちを感じました気がします」
K 「ぱあああ~ってね」
Y 「外ってこんな広いんだなぁっていう」
K 「うんうん。次の質問。横沢くんと横沢俊一郎の違いありますか?」
Y 「本名というか正式には横澤俊一郎なんですよ。どっちも自分って感じがしないんですが、横沢のほうが好きだし正しいなって思います。横沢はめちゃめちゃ頭がよくて天才でいいやつだなって思います。横澤はなんか役所にしかいない気がします。スカイブルー100以降、自分の中で発見されたものが横沢って感じかもです」
K 「嘘でもいいから信じていたいことってありますか?」
Y 「昨日まさにそれを考えてましたが、ないと思いました」
K 「正直!」

――まさにそれ考えてたってすごいですね(笑)。
Y 「すごい質問ですよねこれ。ないと思ったけどあるかも……」
K 「私はまだ答えがわからなくて、横沢くんに聞いてみたかったけど正直でいいなと思いました」

横沢俊一郎 × 片岡メリヤス

――どうしてそういう質問が思い浮かんだんですか?
K 「そういうことって、よく転がっているので」
Y 「昨日裏アカで、“ちょっと先の未来以外『信じる』という行為に及ぶ必要性がない”“天気予報を信じて傘をもたないとか、約束通り友達が来ることを信じて待ち合わせ場所に行くとかそれ以外なんも信じる必要がない”っていうツイートしてました。“自分の人生を丸ごと何かに預けなければ生きていけないような情けないやつになりたくない。疲れて死ぬ気もなくなったらそうするけどその時は横沢俊一郎も終了する”」
K 「裏アカ!覗きたい(笑)」
Y 「裏アカはバンドメンバーしかフォローしてないです(笑)」
K 「“その時は横沢俊一郎も終了する”っていうの、わかるなー」
Y 「メリヤスさんの人形の顔に同じようなものを勝手に感じてるんですが、どうなんでしょうね」
K 「片岡メリヤスを命がけでやってる感じです」
Y 「やってるように思います。だからすごく好きだし、あの顔みてるとすごく安心します。って、なんか上から目線な感じになってしまいましたが、ただのファンの感想です」
K 「ありがとう」

――メリヤスさんは、アルバム『絶対大丈夫』を聴いてみてどうでしたか?
K 「じーーーーーん。いろんな良かった~という気持ちになる」
Y 「あーーーー。作って良かったです」
K 「曲が良かった~ということの外側への良かった~まで及ぶ良かった。私、登山するんだけど、森林限界を越えるとハイマツが育っていて、そのハイマツの小道を歩いてるときに思う感じ。すごくわかり難いけど。簡単に言ってしまえば、気持ちいい場所ということなのかな?それだけじゃないんだけど。横沢くんにも良かったね~って思うし、私も良かったし、これから聴く人も良かったね」
Y 「そのことしか考えてないと思います。多分メリヤスさんもそうだと思いますが。それを自分ができていたとしたら、すごく嬉しいです」
K 「そういえばアルバム収録曲からMVを作るって聞いてたけど、どの曲になったの?」
Y 「1曲目の“誰にもわからない”ですね」

――MVを観ましょうか。

Y 「正直なMVの感想聞いてみたいですね」
K 「そわそわしていてまだちゃんと画像処理して脳に飛び込んできてない。曲聴いちゃう」
Y 「あ、なら良かったです。映像が曲を殺さないように、ということにけっこう時間を割いたので……」
K 「じゃあ正解を作ったということか。結局曲が一番残るっていいことだね。曲のそれぞれのパートはみんなで一緒に考えるの?」
Y 「ほとんど俺ですが、前回よりはメンバーが考えてる比重高めです。“君のほっぺ”のイ
ントロとかはキーボードの清水瑶志郎の即興ですし。ドラムは寺田くんにほとんど任せてます」

K 「そうなんだ、さすがです。最後にひとつ、困ってることありますか?」
Y 「恋がうまくいかないことです。先週失恋しました」
K 「ああああ~~最高です」
Y 「困った」

――傷心のタイミングですみません……。
Y 「いえ、割と立ち直りも早いので」

――付き合っていたんですか?
Y 「こいつ俺のこと好きなのかと思ったら片想いでした!」

――(笑)。では、横沢さんからメリヤスさんへの質問をお願いします。
Y 「SMAPで誰が一番好きですか?」
K 「誰だろう……うーん。結婚するなら稲垣、話してみたいのは木村、友達は草彅、香取は無理、中居は仕事をしてみたい」
Y 「最高の答えです」
K 「森は……親戚……かなあ」
Y 「俺もけっこう近い感じかもです」
K 「これおもしろいね(笑)」
Y 「顔は稲垣、木村はかっこいいの天才、香取は怖い、中居は優秀、草彅はたぶん一番好き、森はエモいです」
K 「同じ感じだね」
Y 「そうですね。でもこれ人によってけっこう変わるんで最近いろんな人に聞いてました」
K 「そうなんだ!聞いてみよー」
Y 「むせいらん全員聞いてみたいですね。結婚の稲垣と無理な香取の理由聞いてみたいです」
K 「稲垣は干渉してこなそうだから。香取は横沢くんと同じ。怖い」
Y 「好きな野菜はなんですか?」
K 「野菜は全部と言っていいほど好き。虫って言われるくらい食べる。果物は断然ビワ!」
Y 「それはすごい」
K 「毎日サラダ食べる量、引くと思う」
Y 「どれくらいか気になりますね」
K 「カブの生喰いが好き」
Y 「え、あれ生で食べられるんですか?固いような」
K 「固い食べ物が好き。おせんべいとかも好き」
Y 「すごい生きてる感じしますね」
K 「好きなお菓子ありますか?」
Y 「キャラメルコーンとルマンドかな。あと苺タルト」
K 「ルマンド好き~」
Y 「ルマンドは完成してます。メリヤスさんは何が好きですか?」
K 「麩菓子。なんなんだろうねあれ。心を掴んで離さないよね」
Y 「固いところが好きです」
K 「(と言いながら今ルマンドを食べています)」

――横沢さんから、メリヤスさんの制作に関しての質問はありますか?
Y 「作りやすい季節はありますか?」
K 「春と秋。アトリエが底冷えするから冬は辛い。夏は暑いとファーがううっとなる。精神的な話をすると、季節はあまり関係なくて、展示のスケジュール次第でエンジンかかる。季節によって気持ちが変わることはないかなー?たいていいつもフラットに取り組んでいる」

横沢俊一郎 × 片岡メリヤス

――以前、制作中に横沢さんの曲をよく聴いているって伺いました。
Y 「俺の曲は制作中にはあまり向かない気がします」
K 「制作前の準備の時、窓を開けたり、材料を出したり、片付けたりするときに聴くことが多い。あと、車でよく聴く。私は運転できないけど。制作中は曲を聴いちゃうと手が止まるので、聴くのは基本ラジオ」
Y 「俺は自分が制作期間のときは音楽自体ほとんど聴かないです。変わっちゃうのが嫌で」
K 「わかる!むせいらんの制作やってる時はむせいらんしか聴いてなかった」
Y 「そうなりますよね」
K 「ラジオってリスナーが主役だからいいよね」

――横沢さんからの質問は他にありますか?
Y 「あ、では聞きたかったことまとめて言うと、苦手な色、使ってるパソコン、昔モテようと思ってやったこと。あれば」
K 「苦手な色はマゼンタ。克服しつつある。パソコンはMacBook Pro、何もしなくてもモテた」
Y 「とりあえずひとつずつ。マゼンタめっちゃわかりますね。僕の友達に聞いてもマゼンタ的な色でした」
K 「ぬいぐるみを作るようになってから苦手意識和らいできたけど、その前は本当に無理だった」
Y 「なんでなんですかね?」
K 「生理的に。でもこの子作って克服できると思えた。かわいいとかかっこいいとか良いと思えるものにマゼンタがなかったんじゃないかな」
Y 「これはかわいい。かっこいい青と真逆の存在みたいな感じですかね。最後に、何もしなくてもモテたっていうの突っ込みたいですね。一番かっこいい答えで腹が立ちます」
K 「はは(笑)」
Y 「ちなみに僕は“ペンギンの絵文字を使う”です」
K 「あー確かにかわいいかも~」
Y 「かわいいと思われたかったんでしょうね」
K 「私もペンギン好きだもん」
Y 「ペンギンは自分に似てる気もするし愛おしいです」

――今回の対談を記念して、これからメリヤスさんに横沢さんのグッズをCORNER PRINTINGで作ってもらうことになっていますが、どういうデザインになりそうですか?
K 「横沢くんのイラストを描いてキャラクターを作って、それをグッズに合わせて展開していくっていうのがいいかなって。例えばコインケースだったら、“横沢俊一郎をよろしく”みたいな文字を添えてもかわいいかも」
Y 「えーいいですね。コインケースはめちゃくちゃ使いそう。楽しみしかないです」
K 「ちょっと描いてみるね。LINEで話すの初めてやった。おもしろかったからまたやりたい」

――AVE | CORNER PRINTINGで定期連載やってほしいです!
Y 「あ、俺もやりたいです。これならいつでもやりたいです」
K 「次はルマンドと麩菓子を食べながらやりましょう!」

片岡メリヤス Instagram | https://www.instagram.com/kataokameriyasu/
横沢俊一郎 Instagram | https://www.instagram.com/yokosawaband/

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