文・撮影 | Takashi Makabe / Zodiak
7/16、Forever Records・東瀬戸さんのツイートでar/gee gleimことRichard Gleimの訃報を知る。
ar/gee gleimは、主に1980年代のドイツ・デュッセルドルフのパンク / ニューウェイヴ・シーンを撮影していた写真家(80年から出版されているドイツの音楽雑誌『SPEX』(残念ながら今年から休刊)も彼の写真を多数使用していた)。彼の残した写真のおかげで、敬愛するジャンルであるノイエ・ドイチェ・ヴェレ(ジャーマン・ニューウェイヴ)シーンを多く観ることができ、シーンの空気感のようなものを感じ取ることができる。そんなar/gee gleimの新しい写真集が今年の春にリリースされ、ちょうどそのタイミングでドイツに居たので本屋で発見した時は嬉しすぎて内容を確認せずにレジに持って行った(好きなアーティストの新しいリリースは、楽しみや驚きを重視したい為、内容を確認せずに買う制限を勝手に自分で設けている)。内容は240ページを超える写真と解説で、膨大な量に圧倒される。DER PLANの特殊ステージや若かりしDAF、PALAIS SCHAUMBURGの1stアルバムのリリース・ライヴなど、当時産まれてもいない自分にとっては欲望を満たしてくれる記録写真たちである。特にFÄHNLEIN FIESELSCHWEIFのメンバーが並んだ写真は、デュッセルドルフ空港のモダンな内装と相まって、美しさに満ち溢れた写真になっている(涙)。また、最後のページにはオーディオCDが張り付いており、PALAIS SCHAUMBURG「Kinder der Tod」、Andreas Dorau「Demokratie」、WIRTSCHAFTSWUNDER「Metal」など絶妙な選曲の音源も付いてくる。
資料価値の高い写真を残していただけたことに感謝。安らかな眠りにつかれますよう、お祈り申し上げます。
Takashi Makabe 真壁昂士 | Zodiak
https://takashimakabe.com/
グラフィック・デザイナー / DJ。
美術展示 / 映画チラシ、音楽作品のカヴァーから書籍まで多岐に亘ってデザインを手がける。アラブ首長国連邦「Bedouin Records」アート・ディレクション、東京 / 大阪のクラブ「Circus」グラフィック・デザイン、Ryo Murakami主宰「Depth Of Decay」、小柳カヲル主宰「Suezan Studio」諸作に携わる。音楽作品ではZomby、Merzbow、SHE LUV ITほか、書籍では『ゲーム音楽ディスクガイド──Diggin’ In The Discs』、『フューチャー・デイズ──クラウトロックとモダン・ドイツの構築』、『クラウトロック大全』などのデザインを担当。
インダストリアル / ベース・ミュージックを主軸に用いながらも不定形なスタイルが異色のDJとして、2018年にドイツ・ベルリン「Berghain」で開催された「Bedouin Records Label Showcase』に出演。