Interview | ZVIZMO | 伊東篤宏 + テンテンコ


今までの常識が通用しなくなるとき

 蛍光灯の放電ノイズをコントロールする自作デヴァイス“オプトロン(OPTRON)”を楽器然として扱い、あらゆるフィールドを点滅させる伊東篤宏と、ハンドマイクでのテクノポップ歌謡からハードウェアを駆使した硬質なマシン・ライヴまで、縦横無尽のアウトプットをフラットに見せるテンテンコ。両者によるデュオ“ZVIZMO”が、2017年の1stアルバム『ZVIZMO』以来約3年ぶりのフル・アルバム『II』を引き続き「Black Smoker Records」からリリース。前作よりも削ぎ落とされ、精錬された音を用い、スリリングなライヴ感でビルドアップした力作となっています。デュオ演奏の発端から現在に至るまでの経緯を、お2人にメールで伺いました。

 なおBlack Smoker Recordsのオンライン・ストアでは、10月7日(水)一般発売の『II』を9月30日(水)より先行販売。スペシャルな10″ダブプレートや、CD + 10″ダブプレート + Tシャツの限定バンドルパックも販売されます。バンドルパックの予約受付は9月10日(木)まで。


取材・文 | 久保田千史 | 2020年9月


――BUSHBASH(東京・小岩)で伊東さんがテンコさんと鎮座DOPENESSさんのコラボレート・パフォーマンス(2016年12月)を観て声をかけた……というのがZVIZMOの馴れ初めだそうですが、その以前から顔見知りではあったんですよね?お2人でスタジオに入ったりするようになる前は、お互いどんな印象を持っていましたか?

I 「当然、テンちゃんの表立った活動(BiS → 非常階段との合作 → BiS解散 → ソロ活動)は知っていたし、様々なアーティスト(だいたいが知り合い)のライヴやイベントでお見かけはしてました。でも話したことはたぶんなかったし、生のライヴは観ていませんでした。非常階段 / INCAPACITANTSの美川(俊治)さんが彼女をとても評価していたので、“元アイドル”の女の子が、安易に単なる選択肢として風変わりな音を出したり、ノイズやらのシーンに身を置いているわけではないだろう、とは思っていました。そして鎮座くんとのライヴで、こちらの予想を大きく上回る彼女のプレイを目の当たりにしました」
T 「私が初めて伊東さんのライヴを観たのは吉祥寺WARPで、大学生のときでした。忘れられないパーティのひとつです。東京にはこんなかっこいい人たちがいるんだ!とまじでショックを受けました。伊東さんはまず、所謂“楽器”ではないものを使って、ものすごく“音楽的”なライヴをする人なんだ!という印象です。めっちゃ良い意味でキャッチーだし、ポップさすら感じる……と思ってました」

――テンコさん + 鎮座DOPENESSさんのライヴ、僕も拝見していましたが、伊東さんはどんなところに惹かれて声をかけたのでしょう?伊東さんは以前、THINK TANKとコラボレートしていらっしゃいましたし、ラップがウィアードにハマるようなビートを求めていたのでしょうか。
I 「あのときのライヴで非常に感心したのは、打ち込みメインの機材であれだけ早く反応できるということと、音色や音質の具合が、“ちょっと変わった音楽やってます”っていうような安易な感じを微塵も感じさせないものだったことでした。ちゃんと彼女の色がある、というか……。鎮座くんの類稀なラップ・スキルと堂々と渡り合っていたのが印象的で、その後物販コーナーにいたテンちゃんに話しかけた覚えがあります。そのときにCD-R作品『とおくのパレード』をいただいたのですが、それもとても良かった。あの頃、エレクトロニクスとオプトロンでバンドなり何なりをやってみたく思っていたタイミングだったので、チャンスがあったらまずはデュオでライヴやってみませんか?というお誘いをしました。ラップがハマるビート、ということは特に考えませんでしたが、マシンビートとしての音の感触や反応 / 対応速度がたぶん、私の好きな感じなんだと思います。そしてかわいい見た目と出ている音のギャップが最高でした」

――テンコさんは鎮座DOPENESSさんとのコラボレーションは急に決まったっておっしゃっていた気がするんですけど、限られた時間でどんな準備をして臨みましたか?あれだけフリーな表現方法の人物が相手だと、フィジカルな瞬発力、対応力みたいなものが要求されるんじゃないかと思うんです。実際、観ていても、シーケンシャルなパートはあるものの、もっと人力の“演奏”的な部分を重視しているように感じました。ZVIZMOにもそこが活かされている気がして。
I 「間違いなく活かされてます(笑)!」
T 「何をしてもまじで答えてくれるのがセッション!! あたりまえのことですが、これがうまくいけばいくほど、聴いていても、やっていても楽しいと思える。なので、私はわざと、事前にスタジオでやったものをほとんどやらないということをやりました。準備としては、最低限、知り合い~仲良く話せるようになるくらいの人間関係を築いたことかな?この日はたしか、サンプラーSP-404(Roland)に気に入ったドラムの音を入れて、シーケンスというより、指で叩いてリズムを作るのをがんばった気がします。結局、うまくいくのはテクニックより、相手を信用できるかなのかな?と思っていて、それはZVIZMOも超当てはまるものだな、と思います」

――その後、少なくとも2017年6月のBar Issheeでお2人の演奏を拝見したときには、“ZVIZMO”という名前ではありませんでした。この名前は、どんなタイミングで、どんな意味で命名されたのでしょうか。
I 「Bar Issheeの前に、今はなきBULLET’S(東京・西麻布)のイベントで初めて2人でライヴしましたね。それを観てくれたIssheeさんから、ぜひBar Isshee でもやってみませんか、とお誘いをいただき、2017年の6月に再びデュオでやりました。当時はまだ続けてやっていくかも何も決めてなかったのでユニット名もありませんでした。Black Smoker Recordsからのアルバム・リリースが決まったタイミングで2人であれこれ考えて命名しました。テンちゃんが、特に意味はない擬音みたいな感じが良いと“ズビビ”とか幾つか候補を出し、私がアルファベット表記した際にキャッチーになるようにいじくり回して決めた覚えがあります。語感と字面重視で、特に意味はないです」
T 「たしか1作目のアルバムを作るタイミングで、名前を付けました。伊東さんのオプトロンが出す音、私が出すリズムの音の見た目を名前にしたいと思って、最初“バババババ”とか“ザザザザザ”、“ズバババ”みたいな名前にしたいと提案しました。そしたら伊東さんが、私の案とアフリカン(?)な言葉(?)の音色を混ぜてくれて、“ズビズモ”となりました。それで、見た目をアルファベットで“ZVIZMO”したほうが、記号っぽくて良いってなったんだったと思います!たしか!」

――Black Smokerからのリリースは、どういう経緯で決まったのでしょう。伊東さんソロ作品からの関係性はあるにせよ、それだけでリリースするようなレーベルとは思えません。テンコさんは「Black Smokerから出せるとは思ってもいなかった」と述懐されていますが、どんなレーベルだと思っていましたか?
I 「私がJUBEくんとK-BOMBにリリースの相談をしました」
T 「Black Smokerは、ヒップホップとかノイズとか、もはやそんなジャンルに縛られずに、唯一無二な存在となった人たちがいるレーベルっていうイメージです。なんだこれ?! よくわかんないけど、めっっちゃカッコイイじゃん!って思うものが揃ってる」

――1stアルバム『ZVIZMO』を初めて拝聴したときは、ライヴよりもぐっと緻密に作りこまれた内容にびっくりしました。なんか、もっとライヴ・レコーディングみたいな感じを予想していたんです。でも、その場でお2人がセッションしているようなライヴ感も伝わってきて、いい感じのバランスでグルーヴが出ているな~って思いました。実際は、どんな過程を経て作られた1stだったのでしょう。
I 「けっこう長くセッションして、それを2人がそれぞれ良いと思う箇所を抜き出し、それに音を重ねたり引いたりのミックス編集をして作りました。2ndと比べると、1stは編集作業量はかなり多かったですが、セッションのライヴ感がなくならない様にはしたつもりです」
T 「ほぼライヴをやるときのように、セッションを何本か録音して、その中から面白かった箇所を抜き出して、そこにさらに音を足したり、引いたりして……という感じです!」

――あたりまえかもしれませんが、録音中のスタジオでも、やっぱり、オプトロンは光っているんですよね(笑)??
I 「はい、変わらず光ってます(笑)」
T 「光っています」

――1stは、2ndもそうなんですけど、ビートが多彩なのにトータルのムードは一貫していますよね、でもコンセプチュアルな印象は受けませんでした。言語での擦り合わせをしていなそうな感じというか。実際のところはいかがでしょう。“こういう感じで~”みたいなお話は、お2人でされるのでしょうか。
I 「言語での擦り合わせは、最初の段階ではほぼしません。セッションの際、明確なテーマを決めているわけではないので、曲としての輪郭と構造が明確に見えてくる編集作業の際に多少、話をすることはあります」
T 「こういう感じ~という話は一切していません。不思議なんですが、共通して思い描くZVIZMO像がお互いに似てるのかな?と思います。お互い何が好きかとか、やっぱりZVIZMOって名前が持つ雰囲気とか、ヒントはたくさんあるな、と感じてはいます」

――おそらく、音楽をやっていない時間、お2人でごはん食べに行ったりもすると思うんですけど、そういうときはどんなお話をしているのでしょうか。下世話な話とかもしますか(笑)?
T 「ムカつく奴の悪口とか(笑)?っていうのは冗談で、ほぼ音楽の話ばっかりですね。お互い最近見つけた面白い音楽教え合ったりしている気がします」
I 「わざわざ何もないときに2人で会うことはほぼありません。何か打ち合わせする必要がある場合や、ツアー時やイベントの前後には一緒にごはんに行ったり、駄話はしてますが、簡単な用事はメールや電話で済ませてます」

――2ndは、1stよりも引きの要素が強いように感じました。音数が少し減ってもっとミニマルな印象で、そのぶん、音それぞれの練度が上がっているような気がします。1stのときと比べて、制作の環境などに変化はありましたか?
I 「 そう言っていただけると嬉しいですね。今回もほとんどの曲をセッション・ベースで作っていきましたが、オーヴァーダブや音の切り貼りは前回より少なくなってます。ほとんどの曲で音を厚くする必要をあまり感じませんでした。曲の構造も、セッションでのプレイほぼそのままを活かした曲が多いです」
T 「ライヴもよりたくさんやってからの、2ndのレコーディングだったので、最初の基となるセッションの段階で、もうこのままでも良いかも?と思えるところがたくさんありました。1stより音がより生き物っぽく、勝手にウネウネ、ガサガサ動いてくれる印象でした」

――録音地は引き続きsoupですね。soupでの録音ならではの魅力というのは、どういうところでしょう?
I 「何と言っても出音が良いということと、エンジニアのTaoru氏が、わりと我々の音を解ってくれているのでやり易い、ということですね」
T 「圧倒的に音作りがし易いな、と思っています。ライヴと同じ感覚だけど、スタジオっぽくそれぞれの音にも集中できたり。あと、エンジニアの野口さんが圧倒的に耳が良くて、さらにこちらの意図とか面白さみたいなものを、場合によってはこちら以上にわかってくれていたりして、そこがデカいなと思ってます。例えば、ちょっとズレたビートをあえてそのままちょうど良く残してくれたり。私だったら、サササッて直してしまうかもしれません」

――1st、2nd共に、“エクスペリメンタル”とされるであろう要素を多分に含みながら、ポップに成立するように意識していらっしゃるように感じます。実際はいかがでしょうか。お2人にとっての“ポップ”って、どんなことでしょう?伊東さんと初めてお話したとき、なぜかDEPECHE MODEの話になって胸アツだった記憶があるのですが(笑)、やっぱり実験的な挑戦とポップの並走は大事なのでしょうか。
I 「オプトロン・プレイヤーという立場で個人の意見だけをいえば、オプトロンはストイックに実験的で前衛的な方向を突き詰めることもできたのかもしれませんが、個人的な音楽的ルーツ、影響を受けたものがモロにパンク~ポストパンクみたいな、我儘かつ快楽思考を多分に含む実存主義的なものだったりしたので、オプトロンのような音楽用の道具 = 楽器ではないものを無理矢理、音 / 音楽の場で使うなら、音楽的な、楽しげで多方向に開いたポップなことを敢えてやったほうが、個人的には笑えるし、楽しいと思って今に至ります。私の言う“ポップ”とは、大衆文化に寄り添い、共同幻想をきちんと許容する、時代ごとのムードや評価の表れだと認識しております。その上で敢えて実験的に、前衛的に、という“考え”は、もはやあまりありませんが、そもそも蛍光灯を音楽的に使用すること自体がかなり無謀であり“実験的”なので、いかにそれを無頓着な顔でしれっとポップなフィールドでやるかのほうが私にとっては興味深いです。意識的な“誤用”ってやつです」
T 「よりエンターテインする意識があるかどうかなのかなぁー、と思っています。私個人としては、必ずしもポップである必要は全くないと思っているし、ポップじゃないものも大好きだけど……挑戦とエンターテイメント(ポップ?)を組み合わせると、たまにものすごいパワーを持つときがある!と感じています。例えば、去年参加させてもらった『BLACK OPERA』では、出てくる人たちもみんな曲者だらけで、普段はわりと孤独な挑戦をしていると思うのですが、オペラというエンターテイメントを通すことによって、個々が持っているパワーが全部掛け算的にデカくなっていて、得体の知れない巨大な影響になるという現象を体験しました。
だから、ZVIZMOではそれも可能なんじゃないかな?と思って、ポップなだけじゃないポップさ、というのはめちゃめちゃ意識しています」

――伊東さんの今回のドローイングは、どことなくマヤ文明とか、南米感があるように感じたんですけど、トータルで無国籍なものになっていますよね。あっ、でも1stの生き物がもしアルマジロだったら、やっぱり南米なのかな……。どんなイメージでこの絵を描かれたのでしょうか。
I 「具合的に南米のイメージがあったわけではありません。2ndアルバムは曲のタイトルに動物の名前が使われているものが少なくありません。それもあって、なんとなく有機的にも人工的にも、生き物にも建物にも見えるイメージで描きました。1stはなんとなく2人の共通イメージが(なぜか)“U.M.A.”だったので、あんな感じになりました。ジャケの生き物たちは、モデルは実在の生物ですが、架空の生き物です。ちなみに私個人は、中南米の様々な美術も音楽も、遺跡も動植物も大好きです」

――テンコさんは、1st、2ndで伊東さんの絵を見てきて、どんな印象を持っていますか?
T 「めっちゃすごい。特に今回のは、柔らかいか硬いか、生き物なのか機械なのか、いろんな捉えかたができそうな不思議な絵だな、と思っています。それってまさしくZVIZMOにぴったり!で、とても気に入っています!」

――両作でデザインに河村康輔さんを起用している理由を教えてください。
T 「文句なしにかっこいい作品を作るし、めっちゃ良い人だからかな。伊東さんはもうめちゃめちゃ河村さんとの歴史があるから、切っても切り離せない関係なのかな?と思ってます!」
I 「今やすっかり有名デザイナーとして知られる河村康輔氏ですが、2005、6年くらいからチラシのデザイン等でお世話になっていました。私のBlack Smokerからの1stソロ・アルバムから、アルバム・デザインはほぼ全て河村氏にお願いしております。彼のヴィジュアルセンスを信用、信頼しています」

――収録曲「MAVO」は、巻上公一さんもレパートリーにしていた「マヴォの歌」のZVIZMOヴァージョンですよね。1920年代の日本におけるダダイストたちの、言わばアンセムなわけですが、どういう経緯でこの曲のことを知ったのでしょう。
T 「私は伊東さんに教えてもらって初めて知りました!」
I 「私は巻上さん1stソロはリアルタイムで聴いていて、芸術運動としての“MAVO”にテーマソング的なものがあったことを巻上さんのおかげで知りました。大正時代の話なので、当然、当時の録音物はないし、巻上さんの努力で辛うじてだいたいの曲調を捉えて記録できたことは、実はかなりの文化資産だと思います。いつかカヴァーして多少なりとも継承したいと考えていました。今回、作品としてかたちにできて、本当に良かったです。テンちゃんが唄うと、たぶん無国籍感が上がるし、時代性もより不明になるだろうと思ってましたが、本当にそうなりました(笑)。大変気に入っております」

――お2人にとって、ダダイズムはどんな意味を持ちますか?また、今それを取り上げる理由もあれば教えていただけると嬉しいです。CABARET VOLTAIREが復活してアルバムを出すっていうのも、リンクしている気がしてきた~(笑)!
I 「前述の通り、このアルバム自体は特にコンセプトがあるわけではなく、ダダイズムも敢えては意識してはいません。個人的には、ダダイズムが生まれた背景と、その結果としての人々の行動の歴史はとても興味深いですが、無理矢理現在に繋げる必要はないと思っています。ただ、潜在意識下での、現在の社会状況や自分自身の立ち位置、“音楽”の在りかたや聴かれかたに対する疑問等が、何らかの影響をアルバムにも与えている可能性はあります。敢えて芸術運動に絡めて言うのならば、個人的にはダダイズムよりも遥か昔のバロック様式的なものに興味がありますが、コンセプトとしてそれを出したり、反映したわけではありません。CABARET VOLTAIREは、当時(80年代初頭)の私が個人的に最も影響を受けたバンドのひとつですが、新譜は“期待せずに期待”してます(笑)。それよりも、CABARET VOLTAIREのベーシスト兼ヴォーカルのStephen Mallinderの1stソロ・アルバム『Pow Wow』がつい最近再発になったことにはグッときてます。名盤です。みなさんぜひ!なんで私が宣伝してるのかわからんけど(笑)」
T 「私は、今あるものを常に疑い続けるべし!と思ってるし、ZVIZMOの演奏は“こういうものを作ろう”と思っていなかったものが生まれた瞬間が一番面白いと思っていて……。だから私個人としてもだけど、特にZVIZMOはダダイズムとはより切り離せないものなんじゃないかな。今、世間一般の日本の雰囲気、めちゃめちゃ形式化されているように私は感じています。それをやる意味とか本質じゃなくて、とりあえず決まってることをやっていれば安心、OKみたいな?それってとても恐ろしいことだなと思っていて……。だから、絶対ダダイズム的な考えを忘れたくないし、忘れて欲しくないです」

――その理由に、このコロナ禍は影響を及ぼしていると思いますか?
I 「2ndアルバム制作の後半はコロナ禍に突入していました。録音や編集作業、リリース・タイミングに多少なりとも影響しています。大半の曲はコロナ禍に見舞われる前に、すでにほぼ録音し終えていましたが、アルバム・トータルでの最終ミックスと、K-BOMBのラップ(7曲目「Killller FxxxxxK」)と、「Gloomy Walrus」(3曲目)は、緊急事態宣言真っ盛りの中で制作しました。敢えてCOVID-19を意識してはいませんが、無意識下には何らか影響があるのかもしれません。きっとあるでしょう」
T 「コロナ以前に作っていたアルバムなので、結果論になりますが、より形式化、簡略化、テンプレート化していく世界に、カテゴライズしにくいものをどんどん生み出していくことは、とても意味のあることなのかなと思っています。今までの常識が通用しなくなってきたときに、そういうものが大切になってくるんじゃないかな?」

――今後、ZVIZMOで共演してみたい人などいいらっしゃいますか?テンコさんは近年、Stefan Schneiderさんと繋がりがありますし、今はまだ難しいかもしれないですけど、デュッセルドルフとかでも公演ができるといいですね!
I 「ZVIZMOで海外公演をやりたいとは思っていますが、これから先の数年はどうなるのか全くわからなくなりました。共演してみたい人もいるにはいますが、それより何より、ここから先は、変わらず在り続けるモノ / コトと変化していくモノ / コトを、動きながら冷静かつ大胆に見極めて、具体的に実践していく必要があると感じています。現時点ではまだ全く見えていませんが、ZVIZMO自体も変わっていくかもしれません。音楽をはじめ、あらゆる“文化”をとり巻く環境は2020年以前にはもう戻れませんから、間違いなく大なり小なり変わるでしょう。お楽しみに」
T 「昨年初めてドイツに行ったんですが、日本にはないスクワット文化がめちゃめちゃ面白かったです!!! ハンブルクのスクワットで出会ったFelix Kubinを今一番、日本に呼びたい!! コロナがなくなり、さらにお金さえあれば……」

――お2人の今後の計画を教えてください!
T 「本当は海外に行く計画が何個かあったのですが、コロナの影響で全部なくなってしまいました。なので、とにかく私は今のテンテンコの自信作を作りたい。あとは、柔軟に音楽でチャレンジできるものは何でもやってみたいですね」
I 「個人的な今後の計画は、まずはもうしばらく、何とか生き抜く事ですね。ここ20年で明らかに地球の自然環境的な側面は荒く激しくなっていますよね。地球規模の話ですが、その要因のいくつかが例え人間の責任だったとしても、現時点ではもはやヒトにはそれを止めることができないし、逆らえません。それに伴い、今までの文化土壌も生活様式も政治の有り様も、見直しや改訂を余儀なくされていると感じています。私個人、以前から“生きづらさ”を感じていましたが、何とか生き抜き、より具体的になってきたそれらと向き合いつつ抗いつつ、いかにやりたいことを続けていくか、そして小さくても構わないので日々の中に“豊かさ”を見出していけるかが、当座の自身の計画であり、テーマになります。具体性に欠け、漠然とした回答ではありますが、そんなところです」

伊東篤宏 Official Site | http://gotobai.net/
テンテンコ Official Site | http://tentenko.com/

ZVIZMO 'II'■ 2020年10月7日(水)発売
ZVIZMO
『II』

CD BSJ-018 2,200円 + 税

9月30日(水)先行発売
http://blacksmoker.cart.fc2.com/ca643/576/p-r-s/

10inch Dub Plate
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CD + T-shirts + 10inch Dub Plate
限定生産 | 9月10日(木)受注締切http://blacksmoker.cart.fc2.com/ca644/578/p-r-s/

[収録曲]
01. molluskan beat
02. nocturnal intake
03. Groomy Walrus
04. herbivore’s train
05. intermission-トリバネ蝶
06. 蟹光線
07. Killller FxxxxxK feat. K-BOMB
08. Archaeopteryx
09. MAVO
10.electric bat crash!