文・写真 | Maeda (ZENOCIDE | No Sanctuary | CORNER PRINTING)
Main Photo ©Carry on Screening
ブリストル編
KLONNSとドライバー・Jakaとの別れを惜しみつつ、本日は最終日となるブリストル編。ChrisとCharlieは昨日のロンドン公演後に一旦帰宅して、自分たちの車で来るとのことでBAD BREEDINGヤング・チームのJimmy、IdorisとBB車に乗り込んで出発!BB車はテーブルを囲む仕様の内装で、いつでも宴会ができそうな車でした(これまでもこの仕様だったら、俺らは飲みすぎて10日間持たなかっただろう笑)。最終日ともなるとやはり疲れが溜まるもので、今から帰れるKLONNSいいな!とか頭によぎっておりましたが、これから起こる素晴らしい出来事でそんな考えも吹っ飛ぶのでした。

ショウの前にTHE MØBの家に行くとは聞いていたのですが、どんどん山道になり、これはどこに向かっているんだろう?と思っていると目的地「Rockaway Park」に到着。存在を知らなかったのですが、この場所はTHE MØBのMark Mob(Mark Wilson)が中心となって立ち上げたDIYスポット。



ここが本当に素晴らしいところで、たくさんの芸術的なオブジェや作品、実際に人が住む手作りの家、ライヴ会場、レコーディング施設、菜園、カフェ、宿泊施設、シルクスクリーン工房などを全て兼ね揃え、まさにひとつの村といったポジティヴなエネルギー溢れる場所でした。
ここでまずシルクスクリーン工房を営む「Carry on Screening」のお二方からとてもフレンドリーな歓迎を受け、本場のブリストル・サイダーをいただく。穴が空くほど観た『UK / DK: A Film About Punks and Skinheads』(1983, クリストファー・コリンズ監督)のDISORDERハウスに出てくるサイダーもこんな感じだったのかな?と想いを馳せながらKANPAI。感無量。そしておいしい。Carry on Screening内もいろいろ見学させてもらい、これこれ、こういうのが見たかった!という感じでプリント屋冥利につきました。BOLT THROWERのオリジナル・パッチなどもあって感動。



次にブリストル・サイダー片手にRockaway Park内各所を案内してもらいました。パンク大工のFlashも登場、実際に彼らが自分たちで造り、住んでいる家も案内していただいて、アットホームな雰囲気に癒される。そしてTHE MOB HOUSEも案内してもらい、まず入口のドアが木彫りのTHE MØBモチーフになっていて感動。ドアを開けて進むと貴重なアートワークなどもたくさんあってすごかったです。そしてMark Mobとご対面。Markのアート作品も本人による説明のもとで観ることができて嬉しかったです。ミーハー心爆発、写真も一緒に撮れました。未来が見えない20歳頃、明け方に「Another Day, Another Death」(1983『Let The Tribe Increase』収録曲)をよく聴いていた思い出が蘇りました。全ては繋がっているとあのときの自分に教えてあげたい。




Rockaway Parkは、自分の中で昔想像したパンク・コミューンがさらにハイブリッドな進化を遂げたような場所で、自分がやりたいことにも近く、今後の指標となるものでした。かたちは違えど埼玉・戸田公園のCORNER PRINTINGとの共通性も感じ、やっていることは間違っていないな、と思えたのも嬉しかった。ここに連れてきてくれたChirsをはじめ、BAD BREEDINGのみんな本当にありがとう。言葉にしていない想いを察してくれて本当に優しい。

そんな想いに浸りながらRockaway Parkを後にし、本日の会場であるブリストルの「The Golden Lion」に到着。UKっぽいパブに演奏スペースが併設されたところで、キャパは100ちょい。とても良い雰囲気の会場です。今日の企画者「Shitty Futures」(地元ブリストルのThe Golden Lionや「Exchange」で定期的にパンク・イベントを開催しているDIYコレクティヴ)のかた(名前を聞くのを忘れてしまったのですが、とても優しい雰囲気の女性パンクス)にご挨拶し、リハ・スタート!こちらは日本と違って機材全てを持ち込むスタイルなのですが、毎度ながらBAD BREEDINGのセッティングの速さに驚かされます。PAも、とても気さく & 音をわかっているかたで、良いライブができる予感。出演予定だったSAY, GODは残念ながらキャンセルでしたが、メンバーのLottifer(通称ゴス姉、とてもテンション高く楽しいかたです)がフードを作ってきてくれて、本日のご飯にありつけました。ユーロもそうでしたが、ご飯やビールを提供してくれる文化、本当にありがたい。



パブでヴィーガン・カレーとビールを楽しみながら開演まで待っていると、ブリストルっぽい年季の入ったパンクスから若者まで、年齢層幅広くわらわらと集まってきました。Rockaway Parkのみんなも来てくれた!ユーロもそうでしたが、どのショウも年齢層が幅広く、しかもしっかりライヴを観てくれるという印象が強かったです。私たちのような無名のバンドでも、良ければきちんと反応があり、物販も買ってくれるという日々にとても勇気付けられました。
そうこうしているうちにイベント・スタート!1バンド目はウェールズ・カディフのSHISHU。ミッドテンポで押す現行ハードコア的なリフに、時折スラッジ要素やノイズ要素など織り交ぜたグルーミーな雰囲気のバンドで良かったです。メンバーが物販を買ってくれたり、テープをプレゼントしてくれたりで嬉しかった(聞くのを忘れたけれど、バンド名の由来はもしかして“死臭”とかなのかな?)。

2バンド目は私たちZENOCIDE!ありがたいことに徐々にヒートアップするお客さん、そして盛り上がりの中で終了。頭の中に余計な考えがない、真っ白な状態でやり切れたと思います。

そしてトリのBAD BREEDING!昨日のロンドンからも感じておりましたが、本日もさすがブリストル、お客さんも彼らの音楽に対して理解度が深く、会場と一体化するような素晴らしい演奏でした。このツアーで強く感じたのは、2年前に日本で観たときよりもさらにアップデートされた進化系アナーコ・パンクに成長しているということ。CRASSやFLUX OF PINK INDIANSなどをはじめとする伝統的UKアナーコ・パンクを、怒りと悲哀や苦悩でアヴァンギャルドに包み込んで加速させたような現代オリジナル・スタイル。素晴らしい。あー、これで最後なんだ……。という少しセンチメンタルな気分になりながらもブチ上がりました。


終演後も物販は盛況で、ブリストルのオールド・パンクスのかたたちもいろいろ買ってくださって嬉しかった。そしてDOOMのBri(Brian Talbot)が来てるぜ!まじか!? となって写真を撮ってもらいました。Gabbaの友人の日本人のかたもおり、Gabbaの話はもちろん、MASSIVE ATTACKやBanksyなどのブリストルっぽい話も聞けておもしろかった。ZENOCIDEにとってブリストルは、バンドのスタート時から多大な影響を受けているAMEBIX、DISORDER、CHAOS UKなどが生まれた特別な地であり、ここでUK / ユーロ・ツアー最終日にライヴができたことは一生の思い出になるでしょう。個人的にもずっと大好きだったAMEBIXへの私的伏線を少し回収できた感もあり、紆余曲折ありながらもバンドを続けてきて本当に良かったと思いました……。
その後もパブで酒を飲みまくり、英語が通じず頼んだものと全く違う酒が来たりしつつ、BAD BREEDINGとついにお別れの時間。お別れは辛いものですが、またすぐ会うんだろうなという予感のほうが強く、前向きな気持ちで別れることができたと思います。


その後、毎度ながら行き先もわからないままバンに乗り込んで出発!今日のPAの人も乗っているし(相変わらず気さくでテンション高め)、これから何かあるのか?宿泊先はどこなんだろう?と思いながら走っていましたが、到着した宿泊先は前述のSAY, GOD・Lottifer(ゴス姉)宅でした。布団やシャワーなども貸してくれて、本当にありがとうございます。今回のツアーで人の家に泊まることはなかったのですが、最後は鮨詰めで寝るというツアーっぽい経験ができてよ良かった(笑)。そして今日は伝統のUKアナーコ・パンク / ブリストル・パンクに触れられたすごい1日で、少し無理してでも日程に入れておいて良かったな、と思いながら就寝。
翌朝は13時にヒースロー空港発の便なので、早起きしてブリストルを出発!そういえばIdorisだけ家が遠いらしく、昨日一緒に泊まったので、彼ともここでお別れ。BBのドライバー・Daleが空港まで送ってくれて、無事ヒースロー空港に到着。ダンディなDaleともここでお別れで、ZENOCIDEメンバーのみとなりました。


フライトまで時間が少しあり、たまたま入った店でフル・イングリッシュ・ブレックファストを食べることができました。あー終わったねーという感じで食べるフル・イングリッシュ・ブレックファストは最高でしたね……。行きは北京経由でのフライトで、怒られたり、荷物がどこにあるかわからないなどけっこう怖い思いをしたので、帰りは直行便にして本当に良かったです。14時間のフライトで日本に無事到着。

今回の初UK / ユーロ・ツアーではみんなの助けがなければ到底成し得なかった経験をすることができました。BAD BREEDING、KLONNS、ドライバーのアポ兄、Jaka、Dale、Swamp Booking、各地でサポートしていただいた全てのみなさん、休みを取らせてもらったCORNER PRINTINGのみなさん、理解してくれた家族、そしてメンバーのYvki、Nobu、KYΔWΔ、本当にありがとうございました。この経験や良い影響を無駄にすることなく、日本でも少しずつかたちにできたらな、と思っています。
■ 2026年3月18日(水)発売
KLONNS / ZENOCIDE
No Sanctuary
https://linkco.re/5PGFqBCV | Bandcamp
[収録曲]
| KLONNS
01. Curse
02. Candy
| ZENOCIDE
03. Dirt!
04. Holy Sword And The Filthy Soul
[Vinyl]
2026年6月1日(土)-
1,818円 + 税
販売店: Record Shop BASE (東京) / RECORD BOY (東京) / record shop DIGDIG (岡山) / DISK SHOP MISERY (広島) / disk union / PUNK AND DESTROY (大阪) / REVENGE RECORDS (大阪)