Column「平らに_のびる」


文・絵 | 小嶋まり

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 わたしの田舎の住処は、低山に囲まれた日本のどこにでもある代わり映えしない場所なのですが、湖も川も海もあり、冬はカモや白鳥などの渡り鳥がいたり、尾の長いヤマドリにランニング中に遭遇したりします。やはり見慣れない生物を発見すると、あれはなんだったんだろうと調べたくなります。真っ青だったり麗しい緑だったり、珍しそうな姿をしていても日本では割とコモンだったりと、見た目だけでは判断できない、計り知れない生態があります。

 他にも、鳥の存在が気になる事件はいくつかありました。数年前、家の前でカラスが車に轢かれ、息絶えていました。これはどうすればいいのだろうかと眺めていたら、2羽のカラスが現れ、信号の上に停まって大きな声で鳴き始めました。すると、どんどん他のカラスが集まってきました。盛大なレクイエムに応え、群れをなして仲間を弔うカラスたちは、害鳥なんて呼ばれるべき生き物ではありませんでした。

 ある日はランニング途中の道端で怪我をしたミミズクに遭遇しました。夜中前でしたが、なんとか助けたいと藁にもすがる思いで警察に電話。すると農林水産省の担当のかたに繋いでくれて、遅い時間にもかかわらず適切な対処法を教えてくれました。人類もこんなに親切なのかと、人間も捨てたもんじゃないと思いました。

 最近は、過ごしやすい気候なので家の窓は全開です。そうすると、聞き慣れないさえずりがどこからともなく聞こえてきて気になってしまい、正体を探ったりしています。幼い頃はブンチョウやセキセイインコをヒナから育てあげ手懐けてきたので、なかなかの鳥好きではありますがなんら知識はない、というわけで、この夏の終わりには鳥図鑑を買い、近所で見かけた鳥を調べたりしてます。

 家から車で10分足らずの湖沿いにはバードウォッチングに最適な公園もあったりしますが、なんせ無知な己一人では限界があると思い、日本野鳥の会、そして地域の支部にも入会してみました。どうやら父の知り合いが支部長だそうで、思わぬ交流が生まれるかもしれないという期待もあります。調べてみると、日本野鳥の会の会員の中心層は60代から80代だそうで、わたしはきっと若いほうなのではないでしょうか。恐る恐る探鳥会にも参加してみようと思います。

 最近、これからわたしは一体どうなるんだろうという漠然とした不安にシクシクと涙することもあり、希望が持てないことが多々ありましたが、これからは名も知らぬ存在をどんどん明らかにしていく、謎解きのような機会に飛び込めるかもしれないと思うと、少しワクワクする気持ちを取り戻せた気がします。

 先日、庭にバードフィーダーを設置したのですが、食物が豊富な秋にはなかなか鳥は寄ってこないようなので、ほんの少しの期待を胸に、毎日エサの殻が散っていないかちょいちょい見に行っています。
 いろんな興味を見つけながら、自発的に楽しさを追求する術を知る人間になれたらなぁと思います。

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正編 | トーチ (リイド社) 「生きる隙間」
小嶋まり Mari Kojima
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ライター、翻訳、写真など。
東京から島根へ移住したばかり。