Review | 今こそのめり込むとき | 東京・松陰神社前「コロラド 松陰神社店」

文・写真 | 相谷レイナ

　あたりまえだけど、世の中にはわからないことが多い。今日紹介する「コロラド 松陰神社店」もそのひとつ。コロラドといえば街中でよく見かけるチェーンの喫茶店。あのハッキリしない赤茶色のロゴに見覚えアリアリである。……なのに、松陰神社のコロラドはチェーン店「コロラド」のベールを纏った純喫茶なのである。たしかに、メニューはつるつるにラミネートされていて、フォントなんかも大衆的で……なのに純喫茶なの！

　突然手書きのオプション・メニューが現れる。フランチャイズってこういうこと？なんて頭に浮かぶけれど、この違和感をはっきりさせるのは野暮な気もした。違和感が楽しくて心地よい。

　下北沢で出会ったある人に「純喫茶が好きだ」と話していると、昔働いていたお店を教えてくれた。「松陰神社前にあるコロラドっていうところで学生時代働いていて、良い純喫茶ですよ！」（コロラド?!）と思いつつ、教えてもらった場所を訪れると、ただあたりまえに「コロラド」があった。でもやはり何か違った。

　……壁が黄色すぎる（黄色っていうか茶色?!）！良い意味で、自由なルールに支配されているのか？と疑った。昔わたしが働いていた大阪・堀江の喫茶店と似ていて心地がよかった。

　あらゆるものにロゴが入っていて「あ、チェーン店に来てるんだ！」と感じながらパクりと。焼きハヤシドリアセット。　ハヤシライスが美味しい、、、ときどき普遍的な味が食べたくなる。アイスコーヒーもちょうどいい……。難しいことを考えていても仕方ないよ、と教えられているような味だった◎安心しますよね、なんか。

　結局ただチェーン店に来ただけなのか？と自問自答するたびに、目の前の張り紙（5月の定休日について手書き――筆ペンのようなもので書かれたペライチ）が私を惑わせてくる。なぜか小学生の頃に通っていた、友達のお母さんが開いている書道教室を思い出した。チェーン店にしてはやたらと近い感覚へと訴えてくる。レジも現金しか対応していないし、何がチェーンで何がチェーンじゃないのか。やっぱり世の中にはわからないことが多すぎて、まだまだ生きていかないといけない！「コロラド 松陰神社店」、同じ違和感をぜひ感じてみてくださいね。

　先日初めてフルバンドセットでライヴをした！ギター・GIVE ME OW、ベース・風香、ドラム・ひで。純粋にめちゃくちゃ楽しくて、“人”を感じて、曲を覚えてきてくれて練習してくれることがただただ温かく感じた。普通にめっちゃ笑っちゃった（初めてだから少し許してほしい！）。クールにキメることも、ただただ音の楽しさを感じることも、言葉を訴えかけることも、ひとりでのライヴ以上に広がる可能性と表現の幅。バンドセットでどんどんライヴしていきたい、見えない景色が見えてくるかもしれない。

　日々挑戦しているとあたりまえに時間は足りない。無駄なことを考えないくらいにのめり込みたい、って前も書いたことがあるかもだけど、然るべきタイミングでいつもそう思う。こんなにも追いかけ続けられるものに出会えてよかったって、報われないように感じる瞬間も時々あるけれど、基本的には救われている日々だ。

　そしてアルバム。いよいよアートワークまで決まった！のでもうすぐ発売日の情報が上がってくる頃だろうか……？お待たせしました。誰かの日々の抜け道になりますように！

　今月はこのあたりで、どろんっ。

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